インタビュー

女性の生理は、女性のものではなかった。それによって私たちが失ったもの/『生理用品の社会史』田中ひかる氏インタビュー前篇

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 女性の生理が、女性のものではなかった。それによって女性たちは何を失ってきたのか。

田中「ひと言でいうと、自尊心です。女性は生理があるから男性より劣る、と思い込まされてきました。かつては初潮教育で女子生徒にそう教える学校もありましたし、文部省(当時)が『生理中の女子生徒にはむずかしい問題をやらせてはいけない』と通達していた時代もあります。社会に出たら出たで、ごく最近まで『女性は妊娠して出産して仕事を辞めるから採用しない』と公言する企業もありました。さすがにそんなことをいえなくなった現代において、最後に残った女性差別の根拠が生理なのです。妊娠や出産は個人の選択ですが、生理は閉経しない限りほとんどの女性にあります。それによって身体的、精神的に変調をきたすから大事な仕事は任せられない、そもそもオンナは仕事に向いていないと信じたい人がいるのです」

生理と「女性とはこうあるべき」像

 「生理は痛くて、つらいもの」という呪縛にとらわれている女性も多い。

田中「日本には耐え忍ぶ女性が好ましい、あるいは女性は耐え忍ぶもの、という価値観がありますよね。その背景には男性は文化、女性は自然という考えがあり、だからこそ女性は自然の状態に逆らうのはよくないとされます。鎮痛剤を飲むのもピルなどで生理のつらさを軽減するのも、不自然だからダメ。妊娠、出産、生理は、それが辛かろうが苦しかろうが受け入れることが当たり前で、女性は家族や子どものために耐えることが美徳と思われているのです」

 現在は、身体に負担のない鎮痛剤も市販されている。なのに、『生理痛は、陣痛の練習』という根拠のない理由でひたすら痛みに耐えている人もいる。

田中「鎮痛剤の服用に反対する人のなかには、そもそも生理が軽い人も少なくないと見ています。動けないほど痛くて生活のすべてがストップするようなら、薬を飲むしかないですよ。生理は個人差が大きいので、女性同士でも理解し合えないところがありますね。男性にいたっては自分のパートナーが基準になるので困りものです。自分の妻が軽いと、女性の部下が『生理痛がつらいから早退したい』といっても、そんな大げさな、と思ってしまうんです」

 生理における自然というと、昨今話題の「布ナプキン」「経血コントロール」と切り離して語ることはできない。messyでもたびたび疑問視されてきた子宮系女子たちの領域に対して、田中ひかるさんは『生理用品の社会史』で考察を重ねている。昔の女性たちはほんとうにおまたぢからがあって経血コントロールができていたのか? いまなぜ、前時代的な布ナプキンへの回帰が見られるのか? 後篇に続く。

■月経血は「きれい」なのか? 透明化した生理と、女性の生きづらさの関係/『生理用品の社会史』田中ひかる氏インタビュー後篇

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三浦ゆえ

フリー編集&ライター。富山県出身。複数の出版社に勤務し、2009年にフリーに転身。女性の性と生をテーマに取材、執筆活動を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』シリーズをはじめ、『失職女子。~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで~』『私、いつまで産めますか?~卵子のプロと考えるウミドキと凍結保存~』(WAVE出版)などの編集協力を担当。著書に『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。

twitter:@MiuraYue

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