インタビュー

何がトイアンナを恋愛アドバイザーせしめるのか? 『恋愛障害』刊行インタビュー

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『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』(光文社新書)

『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』(光文社新書)

 恋愛やキャリアについてのコラムニストとして、今や多数のメディアから引っ張りだこのトイアンナさん。外資系企業でのマーケティング経験を活かした冷静な現状分析や、切れ味鋭い批評に定評があります。この6月には、初の単著である『恋愛障害 どうして「普通」に愛されないのか?』(光文社新書)を上梓しました。本書は、恋愛において対等なパートナーシップを作れず、長期的に苦しむ傾向や状態のことを「恋愛障害」と名付け、その障害を乗り越えるための具体的な手段、考え方を明快に提示しています。

 「いつも問題のある男性を好きになってしまう」「浮気をやめようと思ってもやめられない」「恋愛がしたいとは思うのに、他人に恋愛感情を持てない」……「普通に愛し愛されない」ことに関するSOSが溢れかえるインターネット。そこでトイアンナさんがメッセージを発し続ける理由は? どうして「恋愛障害」という言葉が今必要なのか? トイアンナさんの哲学に迫ります。

「読んでいて辛くなった」という声も届いた

──トイアンナさんは現在、「AM」「ハウコレ」その他10以上の媒体でコラムの連載、執筆をされていますが、『恋愛障害』はそれらとは別に書き下ろした内容ですね。初の単著を執筆するにあたって、やはりネットでの情報発信とは違うコンセプトを立てられたのでしょうか?

トイアンナ はい。SNSやブログ、WEBコラムでの執筆とは方向性を大きく変えて作りました。WEBでの情報発信は、「恋愛ってこうしたらいいと思うよ」「結婚についてはこう考えてみたら?」というライトなアドバイスが中心です。今回の『恋愛障害』では、そこから一歩踏み込んで、読んだ方が実際に自分を変えるための活動を始める……「心のエクササイズ」を開始できるところまで寄り添いたいと考えました。

──なぜ恋愛がうまくいかないのか、という分析・批評だけにはとどまらない内容になっていますよね。後半は特に、自尊心が低くなってしまっていることを自覚し高めていこう、もっと自分を労ろう、という促しがメインとなっています。

トイアンナ この数年、恋愛やキャリアに関する相談を受け続けていて、多くの問題の根源には、自尊心の低下や欠如があると感じました。そういう方はまず、自分を大切にする感覚がわからないんです。だから、自分を大切にしてくれない人から自分をうまく守れない、あるいは愛情を向けられてもうまく受け止められない、ということが起きてしまうんです。こうした傾向で人が長期にわたり苦しむのなら、その苦痛は一種の“障害”と呼べるのではないか。だとしたら、それを乗り越える術を知れば楽になるはずだと思い、この本を書きました。自分に自信のない人が自己肯定を得るためにはどうしたらいいか、なるべく具体的に、ツールとして使ってもらえるよう書いたつもりです。

──本の発売から一カ月ほど経ちました。反響はいかがですか?

トイアンナ 想定よりも大きな反響をいただいてびっくりしました。発売されてすぐに買って読んで、丁寧な長文の感想メールを送ってくださるような方も多かったです。こうした本を必要としている人の手元に一冊でも多く行きわたれば、という気持ちでいたので、ちゃんと届いたんだと感じられる反響があると嬉しいですね。

──Amazonのカテゴリランキングでもしばらく1位を取り続けていましたね。ネットを見ていると、やはり4章以降の“心のエクササイズ”のパートの評判がいいように感じます。

トイアンナ そうかもしれません。ただ、実はそのパートが不安の種でもありました。実際に、読者さんからは「役に立ちました」という声と同時に、「読んでいて辛くなりました」という声も届いています。

──どういうことですか?

トイアンナ 4章の「あなたは過去と向き合えるようになる」では、主に「自分の心の傷を見つめ直す」ことがメインのワークになります。これは心の傷を癒すのに必要な過程ですが、同時にとても怖いことですよね。人によっては、過去を振り返るだけで苦しくなることもある。だから、この本の内容を真剣に受け取りすぎて、逆に病む方がいらっしゃったらどうしよう、ということを懸念していたんです。こういうワークって、あまりに真面目に取り組みすぎるとストレスの元にもなるので。

私もそうでしたが、自分に自信のない人は、他者から言われたことを過剰に気にしやすいんです。これは、マーケッターとして働いていた頃から、消費者行動の傾向として認識していたことでした。

──それに対して何か具体的な予防策をとられたのでしょうか?

トイアンナ 原稿の段階で、想定読者に近いタイプの友人に読んでもらい、忌憚のない意見をもらうようにはしました。あとは「辛くなったら休もう」「適当に取り組もう」という配慮のメッセージもなるべく入れたつもりです。ただ最終的に、「自分は愛し、愛されていいんだ」と思えるところまで辿り着くためには通過せざるを得ないところでもありますから、「飛ばしていいよ」とは書かない。そのあたりで、綱渡り的な感覚はありました。

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