クソリプから始まった危険なカンケイ……
ドキドキのヒトシ・ミーツ・しQ対談、いよいよ最終回です!
<2:あらかじめ世の中に用意された「欲望」に従うと引き裂かれる>
女に救われる男、男に救われない女
――二村さんは「誰でも心の穴が開いている。子供に心の穴をあけない親などいない」。
二村 そう思うんですよねぇ。
――と、おっしゃっている。でも「自己肯定感は後から得られるものではない」とも言っている。ということは?
二村 まあ「あまりにも自己肯定感が強すぎる、という心の穴」をあけられていて、そのせいで周囲に迷惑かけがちな人も、たまにいますけど。
女性の多くは自己肯定感が弱いですよね。そういう人は苦しい恋愛、苦しい結婚に陥りがち。一方、多くの男性は、おっさんになってからインチキな自己肯定をして、イバッて生きている。
どちらにせよ、恋の相手に「愛してもらおう」と努力するのは自己肯定感の外部発注なので、普通うまくいかない。けっきょく人間は、恋愛では救われることはないわけですよ。
いい恋愛ができれば自己肯定ができるようになるはず、でも、その「いい恋愛」をするためには自己肯定感が必要……、という矛盾。
しQちゃん ウゥー、救われないキュウ~、スピリチュアルしかない、こうなったら。
――えー。
二村 スピとか宗教とかがキモくなる可能性があるのは、他の人の話をまったく聞かなくなったり勧誘しようとしたり、お金がかかりすぎたり健康を害したり人生が破滅したりするからで、キモくないスピだったら、いいんじゃないですか? 恋愛で救われようとして男に依存するよりはマトモですよ。
セックスによるオーガズムで救われる人もいるけれど、セックスでメンヘラ度が増す人も多いし。出産や子育てでメンヘラが治る女性もいれば、それによってますます不幸になる女性もいる。自分にとっての向き不向きを見つけるしかない、としか言いようがない。
ただ、何でもいいんですけど、何かによって一度「自分」が壊されてみるのは必要なんじゃないですか。それで救われるか、もっと苦しくなるかイチかバチかってところもありますけど。どうですか?
しQちゃん ちょっと全然、わかんない。宿題にしてほしいキュウ。
――救われないにしても、これ以上傷つきたくない、ってなったら、なんらかの形で身をガードしたほうがいいと思うんですよね。最近、messyで「絶対妊娠しないコンドーム」つくりたいと考えていて。どうやったら妊娠しないかってことをもっと真剣に考えたほうがいい、と思うんですよ。
二村 ピルは?
――飲んでます。
二村 ピルだと副作用が危ない?
――えーと、やっぱり、年齢が上がってくると、ピルはどうしても血栓症のリスクが高まってしまうので。20代ならまだいいんですけど、30代後半以上の年齢になっていくと、積極的に「飲みましょう!」とは言えない。でも30代後半~40代って、まだ閉経してないしセックスすれば妊娠可能性があるから、その世代はコンドームしかない。
しQちゃん あたし30代前半だけど、まさに今、血栓でピル服用をやめてるところキュウ。
――出来ちゃったの? 血栓?
しQちゃん 婦人科で定期の血液検査したら、ちょっと数値が悪くて血栓出来そうだから、中止しようってことに。
二村 体質にもよるんだよね。向いてる人と向いてない人がいる。でも生理不順とか、精神的につらいのには、けっこう効果ある。
しQちゃん せっかくピルでPMSがめっちゃ軽くなったし、28日周期で必ず生理が来るようになってたのに、やめたら辛いキュウ……。友達もピルユーザー多くて、「ピル飲まない生活とか、ちょっと怖くてもう考えられない」と。
――ピルを飲んでることで一番嬉しい、というか安心感があるのは、セックスをしても多分妊娠してない、というふうに思えること。その安心感で生活の質が上がる。私はどうしても絶対に妊娠したくないんです、今。で、さっきの繰り返しですけど、血栓でピル止めても妊娠可能性はある。40代女性の中絶率、低くはないじゃないですか、夫婦間のセックスでデキちゃうんですよね。で、そう考えたら、「ピルが(血栓問題で)危険だ!」っていう年齢から、「閉経」までの間の10~15年という長い期間にね、妊娠を絶対に防ぐ方法って、もっと真剣に考えたほうがいい。避妊リングもあるけれど保険適用外ですし、出産経験のない人は装着できない。もちろん、ピルを飲めない体の女性だっているわけだから、そういう女性の避妊についても。現状のコンドームって、装着するかしないかも装着方法も含めて男に委ねる部分が大きいから心もとない。
しQちゃん あたしはちょっと前まで産みたい気持ちあったけど、最近また迷ってるキュウ。現実的に考えたら、やっぱりリスクが高すぎる。
二村 しQちゃんの今のセックスのパートナーは、結婚には向いてない人なんですか?
しQちゃん うん。相手も「妊娠したら困ります」と言ってるキュウ。不倫じゃねえけど。
二村 不倫じゃなくても、望まぬ妊娠は怖いよね。
――なんでセックスしたら妊娠しちゃうんでしょうねぇ……もっと楽しみたいじゃない。
二村 まったくだよね。
――妊娠しちゃうと、なんか全然楽しめない。もう、本当に楽しめない、私。一回妊娠を経験してから一度も楽しくない、セックス。
しQちゃん よみがえってしまうっていうこと? 恐怖が。
――妊娠や出産自体が恐怖っていうわけじゃないんですけど、また産んで育てるのは、私のキャパでは無理なんですよ。なので、セックスが終わったあとに、次の生理が来るまでの間の不安感が、以前にも増して強くなりました。もう本当に嫌、絶対嫌、っていうすごい恐怖心が。だって妊娠も出産も育児も、また引き受けなきゃならないの? って。
しQちゃん じゃあやってみて、やっぱり、産まない方が良かった、って思うキュウ?
――うーん、そこは難しいな。どっちでも良かったかも。でも、今は(子供が)現実にいるから。今は今で楽しいしすごくいいんですけど。こっちの道でもいいけど、あっちの道でも良かったし、どっちでも良かったんじゃないかなって。ただ、ここから先、もう大きな変化が欲しくないんですよね。だから、二度目の妊娠はNOだ、みたいな。
しQちゃん じゃあ、人に出産を勧めたりとかは。
――しない。絶対勧めない。できて、産もうかどうか迷ってるっていう人には真剣に話をするけど。子供欲しいなー、とか言ってる人に、「いいよ~子供、産んじゃいなよ~」とか言ったことないです。
しQちゃん そのほうが信頼出来るキュウ。妊娠や出産を勧めてくる女は、あたしを同じ不幸に引きずり込もうとしてるんじゃないかって思うキュウ。
――だって自分の人生がね、すごく大きく変わったもん。他人の人生を大きく変える、場合によってはブッ壊すような一大事をさ、気軽に勧めたりできないですよね。そう、だから私自身が純粋にセックスを楽しめるのは、やっぱり、閉経してからかな……って、思います、正直。二村さん、すごいシブい顔して黙ってますけど、どうしました?
二村 ……や、これは難しい問題だな、と思って。
しQちゃん でも、男の人はそこまで考えることすらないですよね、基本的には。
二村 すべての女の人も、そこまで考えているわけじゃないと思いますよ。考えてないから痛い目にあう女性もいるし。あんまり考えてないのに、別に、望まぬ妊娠もせずに、傷つくことなく生きてる女性もいるし。あなたが、セックスを本来なら楽しみたいのに、妊娠への恐怖で楽しめないっていうのは、本当に……、さっきちょっと「引き裂かれは本人の責任だ」みたいなことを、僕、うかつに言ったけど、こうやって具体的に話を聞いていると「引き裂かれ」って、本当に大変だね。
――大変だね。
二村 しQちゃんも編集長さんも、傷つきながら、でも、やっぱり「性」とは関わっていたいんですよね?
それこそまた菩薩の話になっちゃうんだけど、男性は、って言うと主語が大きくなっちゃうから「僕は」って言いますけど、僕は、性にポジティブな女性(良い意味のポジティブ。単に激しいとか、サセ子とか、メンヘラ系ヤリマンとかいう意味ではなく)の存在に、癒されるんですよ。僕の性欲を許してもらえてるような気がするから。そういう人をなんて呼べばいいのかって今すごく言葉を探してるんだけど、皆さんの心にあんまり気をつかわないで言ってしまうと「被害者意識がない人」。
――つまり、傷ついていない女性がいい?
二村 うん。あのね、やっぱり、これは僕が持ってしまっている罪悪感だな。あなたたちの「性を楽しめない、一度妊娠してしまって以降、もう、自分の人生をそんなに揺さぶられたくないから、楽しめたことが一度もない。もうセックスから距離を置いている」っていう発言を聞くと、僕は苦しくなるんですよ。
――罪悪感で?
二村 不公平感ていうか……。いや、僕、そこまで悪いことは、してないだろって思うんだけどね。
――いえ、柴田英里さんがおっしゃっているように、恋愛ってただそれだけで人と人が傷つけあうものだから。
二村 その通りですね。あの、こういう考え方は、ややスピっぽいんだけど……。罪悪感を持ってる人間は、被害者意識を持ってる人間を引き寄せると思うんですよね。
あと、人間って「悪いことしたから罪悪感を持つ」んじゃないんですよ。罪悪感を持っていて、それが心になじんでいるから、さらに無意識に罪悪感を味わいたくて悪いことをしちゃうんです。罪悪感まったくないのに悪いことできちゃうのはサイコパスだけど。普通の人間は、罪悪感が子供のころからあるから、そのパターンしか知らないから悪いことをする。
――それって原罪意識ってことですか?
二村 宗教学的なことは、よくわからないけど。
しQちゃん 子宮委員長はる(参照)も同じこと言ってたキュウ。
二村 加害者意識を持ってる、あるいはそれを心の底に抑圧してインチキ自己肯定してる人と、被害者意識を持っちゃってる人は、引き寄せあって共依存しがち、もしくは憎み合いがちだから、なるべく自分の罪悪感も被害者意識も、もし手放せるものなら手放したほうがいい。そのほうが、自分を苦しめる相手とあわなくなるから。
しQちゃん カルマとか。
二村 カルマとか前世とかは、僕にはよくわからない。それは「インナーチャイルド」だってことにして、カウンセリングの技術で取り扱ったほうがいいんじゃないかって気もします。前世の因縁とかじゃなくて、僕は、やっぱり親子関係だと思うんです。生まれた以上はどんな赤ん坊にも無意識で記憶してしまう経験があるし。インナーチャイルドっていうのは神秘的なものではないでしょう。劇的に出会えれば、おそらく感動的ではあるけどね。あらゆる人間の無意識の中にいる、満たされなかった子供のころの自分と。
話を戻すと、あなたの苦しみが僕のことも苦しめるんですよ。それで、被害者意識がないように感じられる女性は、僕をラクにしてくれる。加害者意識のある男は、被害者意識なき女性とセックスをしたり恋愛をしたりすると、まぁ、救われるんですよ、わりと。それだけで。
――その被害者意識のない女性っていうのが、菩薩的なもの、っていう意味になります?
二村 まぁ、そうとも言えるんですけど、またそこで菩薩って呼んでしまうと「いや、被害者意識のない女だって、人間だ」っていう話で。やはり女性を菩薩扱いして高みに置いてしまうのは、その女性に対する侮辱なんですよ。完璧な菩薩なんて人間として存在するわけがない。それもまた男が「女性を人間扱いしてない」ということ。
どんな人間にも菩薩的な側面と、般若というか修羅の側面がある。触れたら傷つけてしまう部分がある。だから、僕にとって被害者意識がないように感じられる女性が、他の男性にとってもそうだとは限らない。
さらに言うと、被害者意識がないように感じられる女性をあんまり褒めるのも、自分の被害者意識に捉われてしまっている人を、さらに追い詰めることになる。被害者意識にせよ罪悪感にせよ「なくそう」とすることは無理です。抑圧すると、さらに強くなる。
なくそうとしないで、そっと手放すためには、自分のそれを感じないで済むような相手を探して一緒に過ごして癒してもらい、こちらの存在によって相手のことも癒すことが必要。もしくは、その「相手」というのはもしかしたら人間じゃなくてペットかもしれないしコンテンツかもしれない。
ただね、男には、そういう自分の負の感情を感じなくてすむ相手とセックスすることによって傷ついている男は救われる、っていう道があるんだけど(ただし、それによってインチキ自己肯定に陥るってこともありますけど)。しQちゃんと編集長のお話を聞いていると、そのへん、やっぱり性の非対称性があるのかなって思った。しんどい女の人の多くは、負の感情を感じなくて済む呑気な男とセックスしたとしても、救われないっぽいじゃないですか。そこは、なんでそんなに不公平なんだろう、と思う。
――不公平、ですね。
しQちゃん 男がバカで単純、っていうことなんですか、つまり。
二村 どうなんでしょうね。そう思います?
しQちゃん それだと、なんか、男がすごいバカってことになるキュウ。
二村 うーん。女性が、相手が彼女にとっての菩薩っぽい男でも素直になれなくて「わたしなんかと、してくれて……」とか「この人は私のダメさを知らない……」とか、もっとヤバいケースだと「彼のようなマイルドな男は、ものたりない。もっとヒリヒリする恋愛がいい」とか思っちゃうとしたら、そう思わない人がバカっていうより、そう思う人が「考えすぎ」なのでは、とも思うけど。ただ、そこで女性が考えすぎてしまう原因も、社会とか親とかが女の子一般に植えつける自己否定感だよね。
あと、体の構造の問題もあるよね。さっき話してた避妊のことであるとか、要するにセックスそのものや恋愛においても「受け身」かどうかっていう問題。もう一つは、やっぱり社会的なこと、女性のほうが地位や賃金が低いっていう、そういうことも、異性の肉体で救われる救われない、癒される癒されないって心理的な不公平さに関係あるとは思う。
男は女を恐れている?
二村 歴史とか社会学とか民俗学とか勉強したわけじゃないから、僕の話って漫画やSFの発想からの展開になっちゃうんですけど、女性のほうが偉い世界、ってイメージできるじゃないですか。「昔は女性が支配していた」説とか。
しQちゃん それは、卑弥呼みたいな?
二村 そうね、手塚治虫の『火の鳥・黎明篇』とか、ありますけど。もっとアマゾネスっぽいSFもあるし。今こうして築かれている男性社会とは別種の文明が、かつて地球上にはあった、もしくは未来には出現すると。巫女のような女性が社会の頂点かもしれない。したたかな少女たちの集団、たとえばAKB48が政治をやるとか。
しQちゃん ダメだろ。
――秋元Pの傀儡政権みたいなものになりません?
二村 っていう発想がダメですよ。むしろ秋元さんのほうが、集団無意識としてのAKBに操られてるんじゃないの? だって秋元さんって〇〇〇〇〇で一回〇〇したって噂があるじゃないですか。
――ああ、〇〇〇大好きですもんね。
二村 〇〇〇大好きどころか、彼は〇〇〇〇〇とかで儲けたお金を〇〇〇〇〇だか〇〇〇だかで〇〇〇〇って、それで始めたのがAKBなんでしょ? そしたら、それが大当たりしてしまった。それはもちろん偶然ではないし、一個人の才覚でもないですよ。だとしたら彼は〇〇ですよ、AKBの。というか彼が〇〇〇〇〇で〇〇したことを通じて、神様が、あるいはガイアの意志が(笑)、このアジアの辺境の地にAKBビジネスという新しい社会構造を、新しい文明を生め、って命じたんだよ秋元康に。秋元さん自身はAKBに欲情してるんじゃなくて、あの人は〇〇〇〇〇でしか勃起できない人だから。いや、決めつけてますけど、お会いしたことないですけど、俺の妄想の中では、そういう裏があります。
しQちゃん やべえ、伏せ字だらけにするしかない(笑)。ヒトシはAVに勃起するけど、ヤスシは経済には勃起しないのかな?
――少なくとも女には勃起しないと思う。
二村 お金持ちになることには、あの人は勃起しないでしょ。むしろ、お◯をすべて◯った瞬間でしょ、あの人がフル勃起するのは。
しQちゃん へえ。ドキドキ勃起だ。吊り橋効果。
二村 ビーバップ・みのるというAV監督は、そういう体験をしたと言っていましたよ。
――でもそれで、ヤスシがAKBに操られてることにはならないんじゃないかな、って思います。
二村 僕は、何百万円もAKBにぶっこんで人生が破滅している男性には、もうちょっと考えなよって思いますし、もちろんストーカー行為とかは論外ですけど、それらは起きてしまった単なるバグであって、アイドルの一般的なファンの皆さんが熱中してるありさまは、おかしいとは思わない。自然の摂理でしょう。脳科学者の中野信子さんと対談したときに教えてもらったんですけど(参照)アイドルビジネスのシステムはすごく合理的なんだそうです。男性が、女神あるいは巫女さんのようにアイドルを崇めるのは、一夫一婦制が破綻しかけている今、社会システム上その方が平和になるから。やっぱりアイドルってのは、そのために存在している。一人の女神にたくさんの男が恋をして、女神はみんなを愛する。そこには、もちろん肉体的なセックスはないんだけど。誰かに恋をすることによって救われている人々がいる。このこと自体は秋元さんが発明したわけではない。そうでしか社会が成り立たないんだったら、もうそれは、それを社会が求めたってことだよね、っていう話。
僕が問い詰められるような話題ではなくなってきたので楽しくなって調子に乗って喋ってますけど。アイドル好きの男子の、まぁ結婚しながらアイドル応援してる人もいますけど、本当にアイドルもしくはアニメキャラもしくはAV女優しかない、それ以外に性的対象の女性は存在しないって男性は、その人の遺伝子は残せないわけですよね次世代に。でもそれはそれで仕方ないんじゃない? 女性だって、子供を産みたくない人いっぱいいるわけですから、それでいいと僕は思います。話がずれました。秋元康さんの噂と「AKB是か非か」で話が熱くなってしまいましたけど、そんなことはどうでもよくて、巫女さんの話だ。昔は、女性のほうが男より強かったのかもしれないんですよ。
――かもしれない、と。
二村 もちろん差別が現代より、ひどかった時代も長かったでしょう。でも現代の女性のような、こんな自己矛盾的な苦しみ方はしていなかった。昔の女性は気合で生理を止めていたって説があるじゃないですか。畑仕事の最中で、あ、血が出てきたな、と思ったら、きゅっと膣を締めて止めて、そのまま厠に行って、もしくはそのへんの野っ原の木陰で、ぴゅっと出してた、っていうのが昔の女性の生命力の強さで……、みたいなのって、これも子宮委員長が言ってるんだっけ? 三砂ちづるさんだっけ?
――子宮委員長も言ってるしトンデモ系の話ですよね。
二村 妄想だって前提で話を続けさせてもらうと、さらに昔、原始時代は、はたして男によるレイプの時代だったのか、それとも女が本能で遺伝子の強そうな男を自由に選べていたのか。僕は、男が文明なんてものを作る前の時代の女性は、もっと楽しく生きていたように思うんです。
――かもしれない。
二村 産みっぱなしでも、地域の共同体がそれを助けてくれていたり。
――社会全体で子を育てていたかもしれない。
二村 何よりも、大昔の人はセックスくらいしか楽しみがなかったので、セックスで愛しあえるということが男にとってすさまじく高い価値があるものであり、現代の恋愛工学とか「男らしさ」によるセクハラとか支配欲求の衝動によるレイプ魔みたいな、オマンコというものをバカにした話はなかったであろう、と。今の世の中を作ってるのは、どう考えても男性の「生き物として弱さ」ですよ。男が女を怖れたから、女を封じ込めるために経済とか戦争とか政治とか文化とか、くっだらないものを発明したのでは。というのが僕の持論なんですが……。
しQちゃん 私もそう思う。
――しQちゃんが同意したキュウ……。
しQちゃんと原人のAVを撮ろう
しQちゃん とか言いながら、前回「ヒトシは自分では女装はしないで、女装子のAVを監督してて、自分を安全圏に置いている」って話をしたけど、他の媒体の二村さんのトークとか対談を見てても、けっこう安全圏にいらっしゃる。
二村 いまベラベラ喋った理屈も、けっきょく皆さんをケムに巻くためのものですからね……。
しQちゃん びびってないで、ブッ放してけよヒトシ!!!!!
――二村さん、安全圏を飛び出して、欲望のままにしQちゃんと原人のAV撮ってくださいよ。
二村 撮りましょう。
しQちゃん キュキュウ~~~! 原人は、あたしで勃起するでしょうか?
二村 しQちゃんの中の人が脱いだら喜ぶだろうけど、それだと普通だな。原人は女装子とかニューハーフも大好きですから、しQちゃんのまんこより、しQちゃんの美しいちんぽを与えたほうがいいんじゃないですか?
しQちゃん あたしの美しいちんぽを?
――つまり誰か男優さんに、しQちゃんの着ぐるみをかぶってもらって、原人のアナルに突撃する作品になる?
しQちゃん やばいキュウ原人かわいいキュウ~。
二村 messyがギャラを払ってくれるのであれば、タチができて巨根で、脚が綺麗なニューハーフ女優さんをキャスティングしましょう。声は、しQちゃんが吹き替えましょう。それ超エロいんじゃないですか? いつものように喋ってるしQちゃんの頭部から、下半身だけエロい、女か男か分からない両性具有の裸の下半身が生えてたら。
しQちゃん ぜひ黄色いタイツを履かせて!
二村 黄色いタイツをビリビリ破ると、すごいエロい女の下半身とチンポが出てくる。
しQちゃん 本当にいいんですね? 原人を掘りたい! 夢が叶う!
――でも、しQちゃんの頭って本当に重いので、ピストンするの大変ですよ。
しQちゃん じゃあ原人騎乗位!
二村 原人が「される」騎乗位ではなく、原人が痴女のように「する」騎乗位ですね。
――原人のアナルに、しQちゃんのちんちんが入ってる状態?
二村 そうですね。いいですね。
――原人すごいですね。これは「ある朝、目覚めたら、あたしにチンコが生えてきたキュウ」ってことなんでしょうか?
二村 子宮の妖精なのに……(笑)。
しQちゃん うん、しQちゃんの中にある男性性が具現化した、みたいな。
二村 だったら別に下半身が巨根のニューハーフじゃなくても、しQちゃんの頭のどっかがパカっと割れて、そっからバイブの付いたマジックハンドが出てくる、とかでもいいんじゃないの。
しQちゃん やっぱね、生チンコが良くて。それをどうしても原人のアナルに挿れたい。
――どうしても(笑)。
二村 じゃあ、やりましょうよ。うん。原人はプロですから、ギャラさえ払えば、きっと、やってくれると思いますよ。知らんけど。
しQちゃん 原人のことが好きすぎて、原人を犯したいキュウ。
二村 楽しみになってきましたね。今日は、しQちゃんといろんな話ができて良かった。こういうのってさ、楽しいですよね。
しQちゃん あたしも楽しかったキュウ、ヒトシ。自助グループ感あったキュウ。
二村 自助グループ感……。
しQちゃん 女子会という自助グループ、みたいな。
――ありますね。世の中では「女子会はマウンティングだ」なんて声もあるんだけど、なんでそんな疲れることわざわざやるのかと。自助グループ的な女子会しかしたくない。
しQちゃん 普通そうだと思うキュウ。マウンティングって、元気じゃないと出来ない……。
――体力がある、パワフルな人がやってそう。
しQちゃん なんか、結婚式の二次会とかも、究極のマウンティング会キュウよね~。
二村 そこに登場するパワフルなマウンティング女性っていうのは、男性社会でうまくやれてる、インチキ自己肯定した女性だよね?
しQちゃん たしかに。名誉男性化した女がやりがち。あたしはマウンティングされてることに気づかなくて、それも込みでムカつかれるタイプ。嫌われちゃう。
――挑発しているように見えるのかもしれませんね。名誉男性か~……。前回も話に出たけど二村さんと湯山玲子さんの共著『日本人はもうセックスしなくなるのかもしれない』(幻冬舎)の中で湯山さんがおっしゃってるのは「女性よ、まず人間であれ。しかる後に、自覚的に女装をしたい人はして、人生を楽しめ」っていうことですよね?
二村 そうですね。それは、湯山さんの言ってることを俺がまとめてるんだったっけ?
――そうです。で、湯山さんはそれを受けて「徹底的に人間であって、人間だから尊厳もあって、そこをベースで女を発揮したり、別段発揮しなくてもいい、という整理の仕方は、相当女をラクにすると思いますね」と。「しかしながら、そもそも前に述べたように、人間という概念を発明する前は男は男であり、女は女で、何の悩みもなかった。故に、人間という概念を疑う必要があるのでは?」という考え方。
しQちゃん あたしも湯山さん派。玲子に同意キュウ~。
――人間という概念を疑う?
しQちゃん 疑っちゃう。あと、欲望もセックスもそんなに大事なことではないと思う。
二村 男と女は、そもそも違う生き物だと思う?
しQちゃん 男と女って分ける考えがそもそも間違っていると思う。……という考え方もあるんじゃないか、って最近。加齢によって。
――加齢によって?
しQちゃん 加齢によって、セックスとかモテとか、そんな重要じゃないんだ、って気づいた。じゃあどうしたらいいのか、まだわからないんですけど。
――もうちょっと詳しく。
しQちゃん あ、もうちょっと詳しくですか? 男と女、今、童貞……今だって、モテる人モテない人、童貞、ヤリマンヤリチンみたいな世界じゃないですか、言葉が。そこ以外の方が多いと思うんですよ。
二村 そうなんだよね。本当は「普通の人」が、ヤリマンでもヤリチンでも重度メンヘラでも中年童貞でもない「リバーシブルなセックスなんて考えたこともない、でも恋愛なんとなく苦手」みたいな真面目な人々が世の中の大多数なんだよね。だから次は、その層に向けて本を書きたいと思ってるんですけど、夜も更けてきましたし、この続きはニンニクのきいたホルモン焼きでも食べてビール飲みながら話しましょうか。
――ホルモン屋さん行きますか。
しQちゃん イグゥ!!!!
<2:あらかじめ世の中に用意された「欲望」に従うと引き裂かれる>
<おしまい>