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生涯年収2700万円の差? “美人は得”社会に蔓延する羨望と嫉妬

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「美人税」でブスとの格差をなくすべき?

 「悪女」とは、もともと「性質のよくない女」「容貌の醜い女」(大辞林)という意味の言葉だったが、現代では美女の象徴として語られることが多い。そのため「悪女」は男から熱い眼差しが向けられるだけではなく、しばしば女からも憧れの対象として崇められる。

 女性ファッション誌や週刊誌でも、「悪女」は目指すべき女性像として扱われる。「悪女占い」なるものまで頻繁に掲載され、どのタイプの「悪女」かによって恋愛や人生指南がなされる。試しに筆者(男)が『JJ』(光文社)2002年10月号の「悪女占い」をやってみたところ、「可愛さを武器にした21世紀ブリッコ悪女」の深田恭子タイプと診断された。男をプロポーズせざるを得ない状況に追い込み、それでいてその言葉を聞いたときに、涙を流して庇護本能をくすぐるのが上手いのだとか。筆者が34歳のおじさんで本当に良かったと思う。

 本来ならばネガティブなイメージがあった「悪女」が、羨望の存在として扱われるのには、小説や映画などフィクションの世界で絶世の美女として称揚されてきた影響が大きい。フィクションの世界ではなくても、「美人は得」という価値観が世間には蔓延している。

 「やっぱり美人は得だと思う。男におごってもらえる回数だって多いし、職場でも特別扱いされる。ブスがやったら許されない失敗も、美人だったら許される風潮がある」とは、知人女性(30代)の言葉だ。こうした考えは、誰もが潜在的に抱いているものだと思う。

 「美人は得」の価値観が、男を操縦して甘い汁を吸う「悪女」のイメージと合わさり、目指すべき存在としての女性像を形成している。羨望と嫉妬の眼差しが交差する境界に美人が存在するのだとしたら、見た目の美しさは現在において「悪女」の一要素だといえる。

 『世にも奇妙な物語’16春の特別編』(フジテレビ)に、佐々木希主演の『美人税』という作品がある。「美人は男からご飯をごちそうしてもらったり、他の人が叱られたりする中、優しくされたり、人生において得をしている」ことから、美人税の導入を決めた日本が舞台の作品だ。税金による再分配で、ブスと美人の不公平を是正しようとするわけである。

 この世界では、専用機器のセンサーにより美人度が測定され、その程度に合わせて消費税のように美人税が徴収される(相続税にも適用)。飲食店などに行くたびに20%の美人税をとられる佐々木希は、当初は理不尽さに憤慨するが、自分より美人税の税率が高い同僚を目の当たりにし、対抗心を燃やしてさらなる「税率アップ」を自ら目指すようになる。

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宮崎智之

東京都出身、1982年3月生まれ。フリーライター。連載「『ロス婚』漂流記~なぜ結婚に夢も希望も持てないのか?」、連載「あなたを悩ます『めんどい人々』解析ファイル」(以上、ダイヤモンド・オンライン)、「東大卒の女子(28歳)が承認欲求を満たすために、ライブチャットで服を脱ぐまで」(Yahoo個人)など、男女の生態を暴く記事を得意としている。書籍の編集、構成も多数あり。

twitter:@miyazakid

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