インタビュー

18歳年下・無職・イケメントルコ人との“格差婚”は、なぜ破れたか/『破婚』及川眠子さんインタビュー【前編】

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 アニメ・エヴァンゲリオン主題歌「残酷な天使のテーゼ」などで知られる作詞家の及川眠子さんが7月29日、18歳年下のトルコ人夫との出会いから別れまでを綴った「破婚」(新潮社)を上梓した。発売前からすでに重版がかかり注目を集めている。

 ふたりが出会った当時、元夫・Eさんは23歳で及川さんは41歳だった。及川さんが旅行で訪れたトルコで、ふたりは恋に落ちる。絨毯屋の店番をしていたEさんと、作詞家として順調な日々を送っていた及川さんの収入格差は歴然としていた。遠距離恋愛の交際当初から、及川さんはEさんに様々な理由で送金を求められ、お金を渡した。Eさんがトルコで旅行会社を起業するための資金も及川さんが出資。Eさんの家族に何かお金の必要なイベントが発生すると、やはりまた及川さんが援助する。

 もちろん及川さんも最初は「貢ぐ」つもりなど毛頭なかった。日本の女性を金ヅルのように見ているトルコ人男性たちの存在も知っていたから、出会いの時点で警戒心を持っていた。しかしEさんは非常~~~~にしつこく、金を出すまで折れない。及川さんにとっては「何でそんなことに数十万円必要なわけ?」と理解不能な金銭要求も、Eさんは「トルコではこうなんだ。あなたはトルコのシステムを知らない!」で押しきる。結果、13年間の結婚生活で及川さんがEさんのために使った金額は3億円。さらに離婚時には7000万円の借金を負った。桁外れの金額につい注目してしまいがちだが、本書には、over40女性の恋愛・結婚につきまとう数々の問題が描かれている。

(聞き手:高橋ユキ)

Eは悪いだけの男じゃない

――結婚後、及川さんはEさんの家族から嫁(イェンゲ)と呼ばれたり、“子供作れ攻撃”にあったりと、トルコ人も日本人と変わらないんだなということにまず驚きました。

及川 彼はトルコ人でもいわゆるアナトリア、内陸地方の出身。そこのカルチャーは、ちょっと昔の日本の田舎のカルチャーにすごく似てる。年上に対する礼儀を重視したり、「家」が大事だったりとか。

――読んでいて、今の自民党が作りたがっている家族の結びつきに近いのかなって思いました。貧乏な家族・親族同士が助け合って、みたいな。

及川 そうそう。違うのは、日本だったら長兄が家を継ぐでしょう。でもトルコは一番下の男の子が継ぐの。他のきょうだいは家を出て行く。大抵、男性は嫁をもらうと実家を出て行きます。末の子が最後まで家に残って親の面倒を見る。というのは、「一番最後に生まれた子は、一番親といる時間が短いから」。

――「嫁」と呼ばれたり、子供を持つ気のない及川さんに「子供をつくれ。私たちが育ててあげるから」としつこくされたり、といったあれこれは、不快ではありませんでしたか?

及川 私はトルコに住んでいなかったから、やり過ごせたんだと思う。基本的には日本に住んで仕事をして、Eが日本の家に来たりして、私は年に数回、3週間くらい向こうの家に滞在だけだから。もし向こうに住んで、Eの家族・親族から毎日のように色々言われてたら、ものすごくストレスがかかったと思うけど、まあ3週間くらい「嫁」と呼ばれても別にね、はいはい、って。嫁プレイしていればいいだけだから。

――割り切っていたんですね。結婚するタイミングで、Eさんが家族に「実は自分の責任で不妊なんだ」と嘘をついてくれて、それでもう子作りについて口を出されることはなくなった、とありましたよね。意外とEさん良いヤツじゃん、って、そこで思いました。

及川 だからEは悪いところばかりじゃないのよ。この本のプレスリリースでも「劣悪婚」とか書かれていたけど、私にとっては別に劣悪婚でもなんでもなくて幸せだった時期もあるし、やっぱり愛情があったから。だから13年も一緒にいたわけで。最後の方はちょっと、Eは狂っちゃったけどね。

――確かにAmazonの内容紹介では「超劣悪婚の全てを告白」となっていました。最後のEさんの描写はすごく怖かったです。トルコで最後に会ったときのEさんは、顔つきや人格が変わってしまっていて、不潔な身なりに濁った眼差し、唇を歪めて顔の片側だけでニヤリと笑い、人を値踏みするような表情になっていた……と。

及川 そうそう大変だったのよ、いまとなってはもう過去だけどね。

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