というのはもちろん、今年1月に表面化したSMAP解散騒動によって、木村への見方が大きく変わったことに由来する部分が大きい。9月でデビュー25周年を迎えるSMAPだが、同じ月日を共に歩んできたチーフマネージャーが、メリー喜多川副社長および娘の藤島ジュリー景子副社長との関係悪化に伴い退社を決めたことに端を発し、ジャニーズ事務所からの独立が計画されていた。当初はSMAPメンバーたちも独立の意向を持っていたが、しかし副社長陣営はこれを認めず、木村が「やはりジャニーズ事務所に残るべきだ」と翻意したことで独立計画は頓挫。事務所への裏切り行為を画策したとして、中居正広らメンバーは公開謝罪までさせられた。
木村がジャニーズ事務所への残留を決めた裏には、芸能界において強い権限を持つジャニーズ事務所の副社長陣営を敵に回してはならないという、妻・工藤静香の采配があったと見られている。一連の騒動を経て、木村は副社長陣営の寵愛を獲得したようで、冒頭に記したようにスマスマを終了させ木村の単独番組を立ち上げるという話も出ている。ジャニーズ事務所と懇意である週刊誌「女性セブン」(小学館)の最新号では、香取慎吾が「騒動後の、事務所の木村優遇」に忸怩たる思いを抱えており、それゆえ25周年記念のコンサートも新アルバム制作も頓挫したのだ……と伝えられているが、事務所の見解としては「“筋を通した”木村を優遇するのは当然のこと。従えない香取に問題がある」と認識しているようだ。
ジャニーズ事務所が多くの熱心なファンを持つ男性アイドルを多数抱え、テレビや広告の世界で強いパワーを誇ることは動かしがたい事実である。そしてタレントの出演を巡り、恫喝まがいの「かけひき」が通用することもまた、業界としては当たり前のことなのだろう。その事務所から離脱することは大きな賭けで、賭けに出なかった木村を部外者が責めることもできない。やだ、もはや木村拓哉が、流行の発信者であり、若者を扇動する「カッコいい先輩」としての孤高のアウトローであるとは、どうしても思えないのである。
(清水美早紀)
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