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激太りおデブちゃんが再起のために選んだ思想

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Photo by Paul Acciavatti from Flickr

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フェミニズムどうでしょう

はじめてフェミニズムを知ったときの感動といったらなかった。

「すごい、ドンピシャリ……! 私のもやもやの答えはここにあったんだ、ブラボー! みんな知ってるのかな、知らないなら教えてあげなくっちゃ(うずうず)。みなさーん、フェミニズム、知っていますかー!? フェ・ミ・ニ・ズ・ム・で・す・よー!!」

それから、「上野ゼミ」にもぐって、勉強して、フェミニズムに関心がある人たちに出会って、色々なことを見て、聞いて、考えて……。ふと気が付くと「なんかちょっと、もういいや。しばらくはあんまり聞きたくないかも……フェ……(言葉にもしたくない感じ)」

上野先生は大好きだけど、なんともいえないこの食傷感。なんかちょっともういいや。そんなこんなで、フェミニズムフェミニズムと盛り上がっていたのも束の間、私はフェミニズムに「挫折」してしまいました。

でも、フェミニズムって、一度知ってしまうと、なかったことにはできないものなんですよね。「フェミニズム、どうもね……」と思いながらも、フェミニズムで批判されているような愚の骨頂的見解を耳にすれば、腹が立って「あんたバカ?」ってつっこみたくなる。フェミニズムをまったく理解していないひとの的外れも甚だしいフェミニズム批判を耳にしても、庇って反論したくなる。

そんなフェミニズムに対するなんともいえない思いを抱えながら、結婚して、出産して、子育してみて思うことは……

「やっぱり、フェミニズム……挫折しちゃうのもムリないでしょう!」。

フェミニズムに興味を持ってはみたものの、「わかる、わかるし、おもしろいけど……。うーん、でもまあちょっと私はいいや」と思ったことがある人は案外多いのではないでしょうか。だから、こんな私の気持ちも、結構共感を得られるような気がする……のだけど、どうなんでしょう(ドキドキ)。

そんなこんなで、なぜフェミニズムは「挫折」するのか。そして、フェミニズムを経て経験した結婚、出産、育児とは一体どんなものなのか。これからしばらくの間、フェミニズムにはまり挫折した「私」が、つかずはなれずの距離を保ちつつ考えていきたいと思います。

フェミニズムに出会い「上野ゼミ」へ

ところで、「上野ゼミ」「上野先生」ってなんのことやねんと思った方も少なくないでしょう。先生とか言っちゃって、何? カルト宗教?? コワッ! みたいに感じた人もいるかもしれません。いやいや、ちがいます。そのような怪しいものでは決してございません。上野先生とは、東京大学名誉教授、立命館大学大学院特任教授の上野千鶴子さんのことです。

そのギョーカイでは知らない人はいない、フェミニズム研究の第一人者でもある社会学者……、芸能界でいうところのビートたけしさんといったところでしょうか。するどい感性を持っていて、頭脳明晰、容赦ない。かっこよすぎてびっくり。その毒舌っぷりから激コワなイメージもありますが、気を許したひとにはすんごく優しい。愛情深いし、超一流の教育者です。ただ、ギャグはちょっと昭和のノリだけど……むしろそんなところまでたけしさんにそっくり! とにもかくにもその業界でのスーパースターです。

で、そのスーパー上野先生の東京大学でのゼミが、「上野ゼミ」。具体的にどんなものかについては、タレントの遥洋子さんが上野ゼミにもぐって学んだ奮闘記『東大で上野千鶴子に喧嘩を学ぶ』(筑摩書房、2000)に詳しく書いてあります。かくいう私もその本を読んで、「なんだかわからないけど、このゼミに行けば間違いなさそう、私の人生きっと変わるに違いない!」と一念発起し、上野先生に熱烈アプローチをした結果、ゼミに参加できるようになったのでした。

大学3年生の夏にフェミニズムに出会ってから、大学院の修士課程を修了するまでのおよそ4年間、私は上野ゼミに出席し続け、そこそこ真面目に、精力的に勉強しました。上野ゼミでは、ジェンダーの視点で世の中を見ていく術を学びました。ジェンダーとは、一般的には、生物学的な性差に対する、「男らしさ」「女らしさ」といった社会的・文化的につくられた性差といわれていますが、学問的に簡単に説明すると、「人間を男と女とに二分する線」のようなものと言えます(図を参照)。

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そして、ジェンダーの視点で世の中を見ていくというのは、「『人間を男女という二つの属性に分けて物事を考えること』について考えること」、あるいは、「人間が男女という二つの属性に分けられてつくられた世の中について考えること」と言うことができるでしょう。

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早川ゆり

1983年東京都生まれ。立教大学大学院社会学研究科博士課程前期課程修了。修士(社会学)取得。東京家政大学在学中にフェミニズムに出会い、東京大学の上野千鶴子ゼミの扉を叩く。以後約4年間「もぐり」でゼミに出席。現在は二児の母で、結婚や子育てにモヤったりモヤらなかったり奮闘中。夫は社会学者の阿部真大。

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