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都知事選同様に、イケてないアメリカ大統領選。次期大統領はヒラリーとトランプ、どちらの嫌われ者?

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Photo by Mike Mozart from Flickr

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東京都知事選はやはり小池百合子氏圧勝となりました。messyの連載では、小池氏しかいないのだろうと思いつつ、小池氏に対する懸念も表明してきました。

「もう誰も選びたくない」が本音の都知事選 有力候補者が掲げる「女性の働き方・生き方」関連政策の検証
小池百合子氏の「男女平等」は、「努力しない人はいらない社会」に繋がりかねない。

今回の投票率は59.7%と、平成に入って二番目に高かったそうです。ただしこれは「小池氏に都知事になってほしい」というよりは、「他があまりにもひどい」というのが内実でしょう。ともあれ、初の女性都知事の誕生です。

都知事選と比較するのもおかしな話ですが、アメリカのヒラリー・クリントン氏も初の女性大統領候補となりました。今回は、日本では表面的な報道に終始しているヒラリー・クリントン氏について考察していきたいと思います。

「頑張れ、アメリカ」のトランプと「現状維持」のクリントン

ご存知の通り、ヒラリー・クリントン氏はビル・クリントン米元大統領の妻であり、90年代にはファースト・レディーとしても活躍した人物です。ヒラリー・クリントン氏の生い立ちや夫との関係については、Wikipediaでも参照いただくとして、このコラムでは、なぜ彼女がここまで不人気なのかについて考察したいと思います。

一説では、ヒラリー・クリントン氏の最大の課題は「好感度」とも言われているほど、敵の多い候補でもあります。一方のトランプ氏も、一見すると大人気のようですが、実はアメリカ国民の多くからは嫌われている候補者です。今回の大統領選は、「嫌われ者どうしの選挙」と言えるのではないでしょうか。

ヒラリー・クリントン氏と民主党大統領候補の座をめぐって戦っていたバーニー・サンダース氏と比べると、クリントン氏の政策は明らかに企業寄り、富裕層寄りです。サンダース氏が掲げていたのは、教育政策、社会政策、経済政策の改変により、政府の再分配機能を強化することで経済格差を縮小し、貧困層・中間層にもっとチャンスが回ってくる社会にする、というものでした。結局、さまざまな選挙システムに伴う「疑惑」とともに、サンダース氏は候補になることができませんでしたが、彼の大衆寄りの政策によって、クリントン氏も大衆寄りの政策を掲げはじめたように、その影響力は今後も看過できません。

一方、共和党の大統領候補であるトランプ氏の政策にはあまり具体性が無く、ただただ「アメリカを元気にするぜ!」と言っているだけです。彼が提案しているのは企業寄りでも、富裕層寄りでもなく、「頑張る人が報われる社会の実現」です。ただし、その捉え方が非常に偏っています。トランプ氏はアメリカで頑張る人(白人)が報われないのは、「不法移民の大量流入」と、ざっくりした理解による「“グローバリゼーション”がアメリカの足を引っ張っているから」というものです。もちろん、その発言に根拠は無く、現実的にはどちらもアメリカ経済に恩恵をもたらしてきたものでした。

対して、クリントン氏が掲げているのは、近年の民主党議員の多くがそうであるように、「企業民主主義」とも言えるものです。政治家が代弁しているのは市民ではなく、企業なのです。クリントン氏の政策に疑問を掲げる知識人の多くが、クリントン氏が企業のために動く政治家であるという点を指摘しています。

クリントン氏に批判的な知識人は、クリントン氏の政策の第一目標が「現状維持」であることを批判しています。つまり、いま困窮状態にある人々、ますます生活が苦しくなっている中間層、外交問題におけるアメリカの好戦的な姿勢、マイノリティに関する構造的差別の問題、経済グローバリゼーションに対するスタンスといった点を改善することなく「現状維持」のままでいいのかを問うているわけです。

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古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。東京大学社会科学研究所 客員研究員。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

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