ED治療薬を飲みながら撮影…サヨナラの向こう側
チョコ それからは、男優の仕事は減っていたのもあったし、減らしていたのもあったし、自分の中では、プロレスラーがメインっていう感じでしたから徐々にフェイドアウト。AV男優って言われるよりも、プロレスラーって呼ばれる方が好きで、気持ちは確かにAVから離れてましたよね。3年間くらいは、店をやりつつ男優もやってましたけど、それが一番辛かった。
――どうして辛かったんですか?
チョコ 今から7年くらい前だから、43歳の頃のことなんだけど。この店を始めてから酒をガンガン飲むようになって。AVの撮影は朝が早いんですが、遅刻は絶対したくなかったから、ほとんど寝ないで行って、お酒も残ってるからヘロヘロで。そうすると、さすがの私も感じましたよ……勃ちがだんだん悪くなる。そしてED治療薬のレビトラ、シアリスにちょっと頼って。こんなの飲むようになったら男優としてはもう終わりだなと思いながら。とにかく、男優の区切りとして20年間は全うしようと続けつつ、辞め際を考え始めましたね。店もオープンから3年経ちこのまま続けられる自信がついてきて、こっちでやっていこうって気持ちになって、引退を決意しました。最後の3カ月くらいは、引退ご祝儀みたいな感じでいっぱい仕事がきましたね。
――最後の撮影は覚えていますか?
チョコ 最後の撮影、最悪でしたよ。2009年12月27日、都内のホテルで撮影があって。年末だから、自分のお店も7~8人連れの団体予約が入ってるわけですよ。21時半から開ける予定だったんですけど、19時くらいには終わると思っていた撮影が押しちゃって、なんとスタートしたのが20時過ぎでしてね、「じゃ、チョコボールさん、ラスト! よーいスタート!」。でも、体内時計ってわかってて、正確に40分でキッカリで終わりましたよ。それが21時くらい。ラストの撮影だから、感動的に「お疲れ様でした」ってやらなきゃいけないのにそんな余裕なかった。射精した後に、礼儀として女優さんの顔は拭いてあげるの。それが終わった瞬間にダッシュ。すぐタクシー飛び乗って、何とかギリギリで、団体さん迎え入れて「いらっしゃいませ」って。
――ある意味、忘れられない思い出になりましたね。
チョコ 焦った。これが最後なんだと思ったら、せつないなぁって感じ。引退撮影とは別で、他の監督との最後の仕事で忘れられないのもありますね。引退のセレモニー、去り方を何かひとつ、やりたかったんですよね。山口百恵がマイク置くみたいな。その当時、朝青龍が確か引退の時、土俵に頭こすりつけて、サヨナラみたいなことをやったんですよね。だからチョコボール向井はですね、ベッドにチンコを擦り付けて、サヨナラってやったんです。そしたら、監督に「何やってんだ」って不思議がられましたが。それが最後の時でしたね。今思うと、去り際はどうかわかんないけど、時期が良かった。全部がうまく進みましてね。2010年以降に男優続けてても、なんもいいことなかっただろうなと思いますね。
<続くパート3では、チョコボール向井が感じるAV界の時代の変化。そして、溢れんばかりだった性欲は、50歳を迎える今……>
☆10周年イベントを11月に開催予定(加藤鷹デー予定)詳細はチョコさんのお店まで!
チョコボール向井の店『CHOCOBALL FAMILY』
東京都新宿区2-12-1 渡辺ビル2F
TEL:03-3358-5113