ゴールデンタイムのレギュラー本数がまるで衰えず、58歳という還暦間近の年齢でありながら高い人気を保ち続けているお笑いモンスターの明石家さんま。多くの視聴者が番組を見る可能性があるゴールデンタイムだけではなく、土曜・日曜の昼間や夕方の視聴率を取るには難しそうな時間帯の特番などにも、メインMCとしてたびたび登場している。その時間帯にはもったいないくらい面白い番組になっていたりすることがあるので、「ゴールデンタイムに放送されていたら、もっと多くの人にオモシロをお届けできたのになぁ」と、ちょっと残念に思ったりもする。
さんまちゃん的に、出演する番組に対して何か基準などあるのだろうか? 面白そうなニオイのする番組に敏感なのだろうか? あれだけの大御所なのに「とりあえずオファーされた仕事は拒まず」だとしたら凄い! やる気満々モンスターである。もちろん、深夜番組にまでその触手は伸びている。10月4日の深夜0時20分からTBSで放送されていた『さんまのファンタジスタ』は深い時間帯にも関わらず、95分もの特番になっていたのだった。
壇蜜、剛力ときて…
この番組での“ファンタジスタ”の定義は、ある有名人に対し、並はずれた想いや知識を持つファンのことをさす。番組に呼ばれた数組のゲスト芸能人の、熱いファンタジスタたちが実際にスタジオに集結し、「ファンだからこそ知っている、だが世間にはまだ知られていないゲストの魅力や情報を紹介していく」とのこと。テレビでは見られない知られざる素顔や意外な性格・交友関係などまで、訪れるゲストたちの魅力をファンタジスタがそれぞれに熱く語り、ゲスト本人にその場でその真意を解説してもらうというトークバラエティ番組である。
今回のゲストはセクシータレントの壇蜜、若手女優で歌手の剛力彩芽(さんまちゃんの2013ナンバーワン・オキニ!)、お笑い芸人のピース・又吉直樹という、まるで関連性のない三組。彼らがカフェ風にセッティングされたスタジオへ順番に訪れ、“常連客”という設定のさんまちゃんとトークを繰り広げた。さんまのMCは、深夜番組であろうとやはり変わらない高いテンションで、ツッコミも冴え渡っていた。カフェ風の制服を着たピース・綾部祐二、ハリセンボン・近藤春菜、陣内智則らがゲストごとにアシスタントの“店員”設定でMCをサポートしたりもしていた。
スタジオではゲスト席の後ろに選ばれし一般のファンの人々の席が用意されていたので、カフェ風のスタジオの中で、究極のファンの集いが開催されている状況だった。大好きな芸能人と同じ画面に映ることができるのである! 嬉し過ぎる演出~♪
それぞれのゲストごとにファンの人々は映画館の全席完全入れ替え制のように全員入れ替わっていたので、ゲストによってその一般ファンたちのカラーが相当違っていたのが興味深かった。大好きなゲストの登場シーンで大歓声を上げる一般席のファンたち。その異様な熱気がテレビ画面からモワモワと伝わって来るようだった。アツいぜ~!
壇蜜と剛力彩芽という華やかなゲストの後に登場したトリがなぜか又吉で、やや地味だなと思ったが、深夜の時間帯で番組も終わりの方だしちょうどいい感じだったかも。壇蜜と剛力の時は賑やかで男性ファンの多かったカフェスタジオであったが、又吉の出演時は一転、女性だらけになっていた。中には金髪ギャルもいて意外であったが、ほとんどが文学系のような大人しめの女性ばかりであった。又吉は女性人気が高いのだ。
一般のファンとは別に、ゲストと実際に関わり合いのある関係者ファンタジスタも何組か訪れて、それぞれの想いの丈を語っていった。
「又吉のファッションに惚れたファン」として一組目に登場したのは、ファッションデザイナーのドン小西であった。テレビで見かけた又吉の独自のファッションセンスに驚き、「同じニオイがしたね」と、すぐファンになったそうだ。又吉のこれまでの独創性あふれるファッションをスライドショーで映し出すとドン小西は食い気味に、
「人間の体型を無視してるもんね!」
「これだけよく足を短く見せたっていう、人間を作ってくれた神様への冒涜だよ!」
褒めてるんだかけなしてるんだか分からないコメントを放ち、しまいには「バケモノだよ!」と、留めを刺したドン。そんな言い方をされて又吉は何とも言えない表情になっていたが、ドン小西は「褒めてるっ♪」とのことで、又吉のバケモノ的ファッションセンスに最高ランクの評価を与えているようだった。
1 2