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『HiGH&LOW』は祭である ケンカに次ぐケンカに魅了され、ジェンダー的にももやもやしなかった理由

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(C)2016「HiGH&LOW」製作委員会

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EXILEや三代目J Soul Brothersファンだけでなく、今まで彼らに興味のなかった層にまで届いているように見える映画『HiGH&LOW THE MOVIE』。2クールにわたってテレビで放送されていたドラマ『HiGH&LOW』(日本テレビ系)の続編です。

ホモソーシャルや男らしさについて考えてきた本連載にはうってつけの題材では! と思い、公開後かなり早くに見てきました。

本作は「山王連合会」「White Rascals」「鬼邪高校」「RUDE BOYS」「達磨一家」という5つのチームが緊張関係にあった「SWORD地区」が舞台になっています。物語は、RUDE BOYSの拠点である無名街で、突然大爆発が起こったことから始まります。爆発後、いまはなき最強のチーム「MUGEN」のリーダーであり、親友の龍也の死により、自暴自棄になって街から姿を消していた琥珀(AKIRA)が現れます。かつては「MUGEN」のメンバーとして共に過ごしてきたコブラ(岩田剛典)やヤマト(鈴木伸之)への琥珀の態度も豹変していまいました。そして、SWORD地区の支配を目論む海外組織「張城」や「MIGHTY WARRIORS」との関係を深めていたのです。実は、琥珀にはある思惑があり……というのが『HiGH&LOW THE MOVIE』のストーリーです。

『HiGH&LOW』は祭である

無名街で大爆発が起こり、RUDE BOYSのメンバーの“家族”たちが何人も亡くなったというセリフがあります。しかしこの映画では、ケンカや抗争ばかりが描かれているというのに、人の死を感じることがありません。もちろん、ドラマシリーズには亡くなった人もいるし、この作品でも琥珀の親友の龍也が亡くなったという回想エピソードは随所に出てくるのですが、この映画では、ケンカで人と殴り合った結果の死というものは描かれていないのです。

しかも、ケンカに次ぐケンカのシーンを見ても、あまり痛そうに見えない。ハマった人がリピーターになっていくのも、目を背けるような痛々しさがないというのが大きいのではないかと思います。

しかし、なぜ痛そうでないのか。それは、アクションが実に巧いということが関係あるでしょう。特に個人的には、リーダーのスモーキー(窪田正孝)率いるRUDE BOYSの乱闘シーンが顕著です。RUDE BOYSには、ピーという赤い髪の登場人物がいるのですが、ピーを演じるZENはアクロバティックな動きをするパルクールパフォーマーでもあります。彼が繰り広げるアクションの流れが非常にスムーズで、圧巻で、初めてみたときは「あの動きのすごい人は誰?」と衝撃を受けました。よく考えると、ZENに象徴される、ダンスのように美しいアクションが繰り広げられることで、ケンカのシーンを見ても、「痛い」というよりも「すごい」「きれい」「もう一回見たい……」となるのかもしれません。

その他のアクションシーンも、大人数が参加しているワンカットでの撮影は目を見張るものがあるのですが、「撮影現場での安全が確保された上でやっているんだろうな」という想像がなぜかできました。「暴力性を描くためには、生々しいアクションがいい」というときもありますが、魅せるアクションには準備や段取りが必要です。

これらの要素や、達磨一家の日向(林遣都)による「SWORDの祭は達磨通せやー」というセリフを考えていくうちに、この映画は「祭」なんだ、と思うようになりました。

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西森路代

ライター。1972年生まれ。大学卒業後、地方テレビ局のOLを経て上京。派遣、編集プロダクショ ン、ラジオディレクターを経てフリーランスライターに。アジアのエンターテイメントと女子、人気について主に執筆。共著に「女子会2.0」がある。また、 TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifeにも出演している。

twitter:@mijiyooon

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