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愛される小陰唇とメリーさん

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前回、MOTTAINAIお化けになるおじさんたちの「まんこ私物化」問題を書いたところ、ツイッタ―で様々なご意見をいただきました。

「男だけでなく女も「私物化」するよ!」

という男性のご意見を見て、そうえいば女性でも同じ女性にズケズケ口出しする人がいたことに気付きました。
母親や、ご近所、親戚のおばさん。
「早く結婚しろ」とか「子供を産め」とか、本当にウザいですよね……。

なので、男性でも女性でも、「自分より下と思っている人」に対して自分の物差しで図ろうとする人は、いる。と訂正させていただきます。

それから、「別に努力できることなら男好みに変えたいし、『私物化』されるのは楽しいけど、何か?」という女子大生もいました。

はい、そのご意見も、否定しません。

自分をひたすら「無」にして他人に侵食される快感として「私物化」をたのしめる人なら良いのでは、思います。完全なる「無」を究めれば、銀座のカリスマホステスや壇蜜レベルに昇りつめられるかもしれません。

かくいうわたしこそ、かつては男に「私物化」されるのが大好きな、“愛されたい女”でした。
そういう女を煽る「愛され商法」に乗っかり、雑誌やモテ本を読みあさっていた時期もありました……。

足が太いのに、「ジーパン履いてる女が好き」と言われれば、がんばってストレッチ体操をし、スリムなジーパンを履けるよう努力しました。
デートに「ミニスカと二―ハイで来て」と言われたら、凍える真冬の寒さの中でも鼻水たらして耐えました。
「大人っぽいモノトーンファッション好み」な彼とつきあっていた頃は、全身カラスみたいなどぶ色コーディネートでした。
髪型も、スタイルも、「愛され」るようカスタマイズすれば、「今日の感じ、いいね」と、たまに褒めてもらえます。
(あくまでもたまにで、ぜんぜん褒められない場合がほとんどです)

努力、努力。

努力は報われた瞬間が、最高です。
「愛され」ているかのような幸せも感じられます。
雑誌やモテ本や、電車の中づり広告でも、それが女の幸せだと煽ってますし。

でも、本当に「愛され」ているのでしょうか?

わたしが「愛され」病を患っていた頃は、常に不安でした。
「愛され」て幸せなら不安なはずはないのに、なぜ?

それは、わたしより可愛くて「愛され」そうな女の子は沢山いるから。わたしの代わりはきくのです。

実際、いくら「愛され」るようがんばっても、振られるものは振られます。
おまけに、日本の男は総じてロリコン。
わたしが年をとったら、どうすればいいの?

当時のわたしは、ある女性のことばかり考えていました。

伝説の老娼婦メリーさん。

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メリーさんは横浜の中心部でしばしば目撃された、歌舞伎役者のようにおしろいを塗り純白のワンピースをまとっていた、伝説の老女です。終戦後進駐軍兵士相手に身体を売っていた娼婦のなれの果てと噂されていたそうです。(2005年1月没)

おそらく90歳近いおばあさんなのに「女」を捨てられず、全身真っ白な幽霊の様に街をさまようメリーさん。そのエピソ―ドに未来の自分を重ね、わたしは何度もゾッとしました。

老いて愛されなくなることから逃れられない恐怖と不安はわたしを扇りつづけ、小金がたまれば顔にヒアルロン酸を打ちまくりました。

気づけばまんこにまで「愛され」を意識するようになり、ビラビラを整形手術するにいたりました。

そこまで必死で、ギャグとなってしまったのはわたしぐらいかもしれませんが、だからこそ、気づいたのです。

愛さレ―スにゴールはありません。

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なのに、雑誌や女性向け商品のうたい文句は、今もわたしたちを煽りつづけています。

“愛される○○”
“あなたの○○、今のままで大丈夫?”
“彼に一生愛される○○になろう!”

○○に「ビラ」を入れてみたら、そのバカバカしさがわかるはず。

一体、女はどこまでがんばればいいのでしょう?

しかも、女はこんなにがんばっているのに、男はどうでしょう?
少なくともわたしの歴代の彼氏たちは、いつもダサかったし、割り勘だったし、貧乏くさかったし、大事にされてる感じも全然しませんでした……。

ここで、話を冒頭のイラストに戻します。

「愛さる小陰唇」なんて、当然ながら、ありません。
わたしは「愛され」の代わりに、「愛する」と言いたいです。

他人から愛されることばかり考えていたら、不安で不安で仕方ありませんが、自分を愛し、自分の中に味方を作れば、少なくとも不安を感じなくなります。

もうビラビラ(ビクビク)怯えて生きるのは、やめませんか?

ところで、久し振りにメリーさんの画像をググって気付いたのですが、
当時はただ、怖い! としか思えなかったメリーさんの姿が、なぜかとても神々しいのです。

もっと言えば、僭越ながらわたしと同じ匂いがして、いとしさすら感じます(お召し物もフリルがビラビラしたワンピースだし)。

メリーさんの目にはまったく迷いがありません。

メリーさんも、「純白のワンピース」「無垢の象徴の白」という「愛され」幻想にこだわりつづけた挙句、わたしのように何かが一回転してしまったのでしょうか。

生きていらしたら、お話をお聞きしながらお茶などしてみたかったです。

■ろくでなし子 /漫画家。日本性器のアート協会会員。自らの女性器を型どりデコレーションした立体作品「デコまん」造形作家。著書に『デコまん』(ぶんか社刊)。『女子校あるある』(彩図社刊) 
ろくでなし子ホームページ http://6d745.com/
日本性器のアート協会ホームページhttp://www.jsoa.jp/

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ろくでなし子

漫画家。日本性器のアート協会会員。自らの女性器を型どりデコレーションした立体作品「デコまん」造形作家。著書に『デコまん』(ぶんか社刊)。『女子校あるある』(彩図社刊)

ろくでなし子ホームページ

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