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強姦被害者を黙らせる日本 女性を抑圧する社会ほど、強姦事件の認知件数が少ないことを示すデータ

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Photo by Brynn Tweeddale from Flickr

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先週は貧困女子高生叩き、今週は強姦被害者叩きと、どうしようもない状況が続いています。彼女たちの容姿などに言及したプライバシーなどを侵害するような酷いものばかりですが、共通しているのはどちらも被害者・当事者が女性であるということです。これが男性だったら年齢や容姿などで、ここまでバッシングされることもなかったのではないでしょうか?

当事者・被害者をバッシングする風潮が強い中で、彼ら・彼女らが声をあげることは非常に難しいものです。特に、レイプ事件に関しては、警察や医療関係者、第三者によるセカンドレイプも問題となっています(「なぜレイプ被害者が何もかもを失ってまで犯人を追い詰めなくてはならないのか。『涙のあとは乾く』」)。今回の事件でも被害者非難、被害者のプライバシーを無視するようなマスコミやネット民のあまりの酷さにも注目が集まりつつあるようです。

セカンドレイプの問題については、既にネットに複数の記事が上がっているのでそちらを読んでいただくとして、今回は日本がいかに「声を上げづらい」状況にあるかについて考察していきたいと思います。これまでも少し触れたことがありますが、日本はレイプや性犯罪について声が上げづらい国です。またジェンダーの平等性に関しては、大きく他の先進国から引き離されており、女性をめぐる様々な問題が「そもそも問題だと認識されていない」状況ともいえます。

日本は強姦事件の認知件数が少ない

今回は、国連が出している犯罪統計(UNODC Statistics Online)とOECDのジェンダー平等指数に関するデータと経済指標を用いて、各国と比較して日本で「レイプが認知されているかどうか」について考えてみたいと思います。

使用したデータに含まれているのは国名(分析にはデータが揃っている33カ国を使用)、一人当たりGDP(2000年代の平均)、差別的家族法制度(男女の最低結婚年齢の違いなど)の有無、女性の身体に対する抑圧(場合によっては男性が女性に手を挙げるのも仕方ないと思っている女性の比率など)、息子を好む比率、男女不平等なリソース分配(男女で相続制度が違うなど)、男女不平等な政治・市民権状況(女性議員比率の問題など)、男女賃金格差、強姦件数(10万人あたり)、全性犯罪件数(10万人あたり)、強盗件数(10万人あたり)です。

これらの指標はOECDが男女不平等指数として提示しているもので、高いほど女性に対する差別度数が高いことになります。

日本の状況を見てみましょう。

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かなり単純化している数値であり、先進国といっても本当に様々なので、細かく検討していく必要はあります。少なくともこの数値からいえることは、平均値と比べても日本の男女不平等の状況は決して楽観できるものではない、という点です。また「強姦罪件数」「性犯罪件数」「暴行罪件数」については、「認知件数」なので、被害者が報告をするか現行犯でなければ「認知」されないので、泣き寝入りしたケースは全くカウントされていません。したがって「件数」と書くと紛らわしいので、以後「認知件数」と呼ぶことにします。

強姦など性暴力被害者がほとんどの場合、声を上げることができていない状況については国内外で研究報告が多数あります。強姦を含め、性暴力のほとんどは知人によるものであることから、被害者は周囲との関係性などに考慮して声を上げることをためらいます。そして、性暴力は被害者が社会的スティグマ(被害者が差別や非難の対象になる)を負わされ、警察や弁護士に相談しても立件が難しいため、泣き寝入りが多いのです。日本ではまだ具体的な研究報告がなく実態がわかりませんが、アメリカThe National Crime Victimization Surveyに基づいた報告では、実際に起こったレイプを含む性犯罪事件のうち33.6%しか警察に報告されていないと推計しています。

このグラフで目を引くのが他の国と比較した場合の日本の強姦認知件数の比率を他の罪と比べた場合の低さです。各国の平均値をみると強姦認知件数:その他の性犯罪認知件数:暴行事件認知件数の比率は0.04:0.15:0.81ですが、日本ではこの比率が0.027:0.17:0.80となっています。一見すると小さな差ですが、そもそも他の犯罪に比べて認知件数が少ない強姦事件の比率が3割も低いというのは、注意する必要があります。強姦認知件数と性犯罪認知件数の比を足すと総数は日本の値も平均値もほぼ同数の0.2程度になるので、日本では強姦事件は強制わいせつなど、その他の性犯罪にカウントされている可能性もあります。

しかし、強姦や性犯罪(痴漢や強制わいせつなど)は本当にこんなに少ないのでしょうか? 私自身も含め、家族、友人、知人など周囲にはレイプや痴漢に遭ったという女性が本当にたくさんいますが、彼らのほとんどは警察には報告しませんでした。「こんなの大したことないし」「恥ずかしいし」「いっても無駄だし」「言うほどのことでもないし」と、何もせず忘れることを選んだからです。

レイプ・性犯罪被害の体感値と、公的発表の認知件数の「数値」がこんなにも乖離していることを考えると、やはり問題は日本のみならず世界中で、強姦の多くがそもそも全く報告されていないことだと考えざるをえません。

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古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。東京大学社会科学研究所 客員研究員。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

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