連載

女性発信の官能小説で気づかされる、日常的なエロス

【この記事のキーワード】

彼氏がいようといまいと、ビッチだろうと喪女だろうと、どんな女性のもとにも“独り寝”の夜はあります。丸ごと自分だけに使える貴重な時間、ぼやぼや過ごすのはもったいない。オナニー(ONN)、妄想、オトナのオモチャ……明日の、そして未来のエロライフに繋がる“攻め”の独り寝を、独り寝ニスト&バイブコレクターの桃子が提案します。

momoco16

カバーかければカフェでも読めるし! Photo by thomask oslo from Flickr

 勝手に始めた「秋のエロ・カルチャー月間」、2週目は官能小説です。性の目覚めが活字によるものだった私(連載第14回)は、いまでも月に何度となく官能小説のお世話になります。藍川京さん、館淳一さんあたりのベテラン作家さんが好きで、昭和のSM小説大家、千草忠夫作品なども手に取ります。最近だと草凪優さん。全体的に渋い好みですね。

 数名の作家さんによる短編が収録されたアンソロジーも好きですが、やっぱり長編が好みです。私が重視しているのは、登場人物の“関係性”。タブーな間柄だったり、ほんとうはセックスするはずのない関係だったり……そんなふたりのあいだにセックスが介在することで、距離感や、支配・被支配の関係が変わってくるというドラマが好きなので、どうしても長編のほうがいいんですよね。それでいながら文庫だと数百円なので、コスパもすばらしい!

momoco16b

ちょっと古いけど、このシリーズが好き。『十九歳―人形の家〈4〉』

 もちろん、官能小説独特のことば選びや言い回しも好きです。視覚的刺激がないからこそ、気持ちがダイレクトに動かされて、身体がうずいたり、甘いしびれを思い出したりします。何も見ていないのに、見ている以上にまざまざと頭のなかで絵を描けるときもあります。そんなときは、ただ物理的な刺激で気持ちよくなるよりも、よほど豊かな快感に浸れるので、ONN後の満足感もひとしおですよね。

 こんな具合に大御所好きの私ですが、生来が新しもの好きでもあるので、この秋、官能小説界に華々しくデビューした新レーベル「フルール」がとても気になっています! 今年9月にデビューしたばかりのレーベルで、「性による性のための能」ーー略してジョジョカンがコンセプト。作家さんも出版社の編集者もイラストレーターも、すべて女性だそうです。

 しかも、男女の官能を描く「ルージュライン」と、BLに特化した「ブルーライン」があるっていうんですから、行き届いていますね。電子書籍もあるようですが、紙派の桃子は文庫本を選びました。

欲張りな首すじ

momoco16c

首輪好き必読書。『欲張りな首すじ』

 舞台は大手IT企業。主役の男女はそこのSE……という段階で、私はちょっとためらいました。私が読んできた官能小説は、自分自身とはかけ離れた人物が登場するものが多かったんです。人妻とか、伝統工芸の家にもらわれてきた養女とか。非日常を求めているから、自然とそうなっちゃう。一般的な会社員である私にとって、舞台がオフィスというのはあまりに日常的で、物語で盛り上がれるかどうか疑問だったんです。

 でも、仕事ばかりで恋愛とはご無沙汰な主人公女子が、ストレスやプレッシャーから逃れたいときに、自分で自分に革製の首輪をはめ、携帯で自撮りする趣味がある、というのを知り、「わかる!」とうれしくなりました。私もリアルな友だちには内緒でバイブのコレクションをしています。そういう自分だけの秘密があると、なんだか仕事をがんばれるんですよね。

 ところが、イケメン上司にバレちゃう。仕事は完ぺき、いつも理性的。私生活はまったく見えないし、恋人もいないさそう。浮いた話もない。つけ入る隙のない「要塞みたい」な男。まぁ、嫌味な存在ですよね。そばにいたら劣等感バリバリ刺激されますよね。でも、そんな人がほかの人には見えない顔を、自分だけに見せてくれるんです。これはたまりません。秘密の共有は、とんでもない媚薬ですもの。

1 2

桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

@_momoco_

Facebook

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

艶蜜花サーカス ~フィリア・ドゥ・フェティソ~ (フルール文庫 ルージュライン)