小栗は2014年8月の『クイック・ジャパンvol.115』(太田出版)で、『ぼくらの同世代も上の世代でも“この人何も考えてないのによく、生き残ったな。”っていう人はいますから、事務所の力もありますし』『(日本の芸能人が労働組合を作ろうと動けないのは)たぶん傷つきたくないからだと思うし、今の自分の立場を失いたくないからだと思う』と日本の俳優が芸能事務所に左右されてしまう現状を憂いた。そして俳優の労働組合を立ち上げたいとも語り、日本の芸能界を変えたいという願望も。さらに『“自分は誰かに殺されるかもしれない”くらいの覚悟で戦わないと、日本の芸能界を変えるのは相当難しいっすね』と過激な発言もしていたのだった。
最近、日本の芸能界特有の問題として関心を集めているのはSMAPの解散騒動。この騒動では、これまでは陰で噂される程度だった事務所の重役たちの名前が頻繁にメディアに登場し、芸能界の事務所問題がすでに世間に広く浸透しつつあることを知らしめた。また、有吉弘行と夏目三久の熱愛報道に関しても事務所および“芸能界のドン”の名前が頻繁に登場。「交際を否定しなきゃいけないのは事務所のせいだ」「有吉が夏目の事務所に消される!」と、ここでも芸能界の闇が垣間見え問題視されている。
もし小栗の目指しているような組合が作れれば、昭和芸能界を形成した大手事務所の権力者が幅を利かせすぎている日本芸能界、映画、テレビ、広告などにも良い変化があるかもしれない……と見るのは楽観的すぎるだろうか。しかしアメリカには大規模な芸能人たちの組合SAG-AFTRA(全米映画俳優組合・テレビラジオ芸能人組合)があることで有名だ。小栗が海外進出により、組合についてのノウハウを学んでくれば、近い将来に日本芸能界の仕組みを変貌に導く可能性がある。
俳優としての躍進だけでなく、その先の芸能界のあり方までも見据えている小栗。すでに演技力やチャレンジ精神で同世代を引っ張っているのは確かだが、今後は芸能界全体を牽引していく存在になるかもしれない。
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