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男女差別問題。差別する側は、自ら生きやすさの芽を摘んでいる。

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Photo by thematthewknot from Flickr

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ここしばらく日本における「差別」の問題について扱ってきました。今回は、改めて「差別」とはなんなのかについて考察したいと思います。

差別を簡単に定義すると「ある個人について、その人が所属すると他者から思われるグループ、社会階級、人種、民族、ジェンダーなどのカテゴリーに基づいてプラス・マイナスの両側面において差異を付けること」となるでしょう。

この「差別」は個人に対して行われることもあれば、集団に対して行われることもあります。また、差別と気づかずに行なわれている差別や、法律や制度上、また文化や社会習慣として差別が内包されているものもたくさんあります。

たとえば、日本の法律はジェンダーに基づく差別を内包しています。結婚できる最低年齢が男女で違うこと、強姦罪が「女性に対してのみ」しか成立しないこと、結婚が男女の間でしか成立しないことなどは法律に明記されています。また、皇室典範には男性しか天皇になれないとされていますし、そもそも皇室に生まれなければ天皇になれないのは出自による職業差別でしょう。皇室に生まれたら、女性以外は皇族という「職業」から離脱できないのはジェンダーの面においても、職業選択の自由においても差別です。これらはすべて国による、法律制度上の差別です。

社会慣習として、文化としての差別はもっと顕著です。女性は相撲の土俵に上がれません。女性は寿司職人になれないとされてきました。結婚したら9割以上の女性が男性の姓に変えます。男性保育士は奇異の目で見られます。ミスコンはたくさんあって話題になるけれど、ミスターコンはほとんど話題になりません。女性車両はあっても男性車両はありません。外国人が日本で不動産を借りる・買うのは大変です。男女賃金格差もいっこうに是正されません。

差別は日常にありふれています。それらには「あるグループを優遇する」ものと「不利益を被らせる」ものがありますが、一番の問題は「ある集団に所属していれば享受できる権利・機会・権威」から、その集団に所属していないとみなされることで排除され、そこへのアクセスを拒否されることです。

そして、こうした排除のための差別はほとんどの場合、「持てる者」「数が多い者」「力が強い者」など、数や権力で勝る側(マジョリティ)がそうでない側(マイノリティ)を対象にして起こります。

差別は「個人が差別的感情を抱く」「個人が差別的行動を取る」といった「個人」のレベルを超えて、「ある集団による他の集団への差別」といった規模で起こると大きな問題を起こします。なお「個人が自分の所属を盾に、そこに所属しない個人を差別的に扱い不利益を生じさせる」こともまた「個人」のレベルを超えた集団的排除です。

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古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。東京大学社会科学研究所 客員研究員。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

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