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姉が健常者だったらよかったのにと考えたことは数えきれない、けれど。/「家族に障害者がいる日常」前篇

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きょうだいに、障害があったら? Photo by geir tønnessen from Flickr

 9月上旬、リオデジャネイロではオリンピックに続き、パラリンピックの熱戦が繰り広げられました。障害者への理解がさけばれる時期ですが、「オリンピック」の名を冠した世界大会は、もうひとつ存在しています。4年に一度、知的障害を持つひとたちが夏季と冬季のオリンピック競技種目に準じたさまざまなスポーツトレーニングなどを通じて自立と社会参加を目指す「スペシャルオリンピックス」です。

 同じ障害者でもパラリンピックとスペシャルオリンピックスの“区別”に表れるように、身体障害者と知的障害者ではさまざまな点が異なります。なかでも重度の知的障害を持つひとがどのような日常を送っているのかは、知る機会がないどころか存在に接したこともないのが一般的ではないでしょうか。

 筆者には、重度の知的障害のある姉がいます。姉とともに送ってきた生活を、少しだけご紹介します。

 自治体によって知的障害の等級の名称は違いますが、姉は「最重度」に区分されます。障害の原因は、難産の末の帝王切開で投与された陣痛促進剤の副作用ではないかと聞いています。病名などはありません。私よりも4つ年上で今年40歳になりますが、知能は2歳半くらい。自立生活は不可能で、食事やトイレ、お風呂の介助はもちろん、着替えも見守りが必要です。

姉の障害と、妹の存在

 物心がついたころから、姉が「普通」ではないことは、見た目からも行動からもよく認識していました。親の努力で身体は健康に育ち発語も問題ありませんが、意味のないことをずっと話しつづけています。語彙は少ないので何を言いたいのかは、家族や周囲は表情と状況、その言葉を過去どのように使っていたかの経験則で判断するしかありません。

 発している言葉は、本当に突飛です。機嫌がよく突然歌を歌い出したり、何かに怒っていて同じ曲のワンフレーズだけを怒鳴っていたり。何に怒っているかの判断はいまだにむずかしいです。自宅にいるときはいくら叫んでくれてもかまいませんが、外出時にされると周囲の目が気になるのも本音です。

 自分なりのこだわりがあり、外出したら必ずコンビニなどで缶コーヒーと袋菓子を買う、は構わないのですが、食品の包装紙は全部はがしてしまう、家中のタオルを集めて自分のかばんにしまってしまう、をされると結構不便です。慣れましたが。

 私には姉のほかに、2つ年下の妹もいます。ふたりで仕事の愚痴を言いあっていたとき、満面の笑顔の姉から「黙ってせっせと働きな」と言い放たれたことがありました。語彙が少ないはずの姉の「アラフォー独女」的毒舌に、大笑いしました。

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