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志布志市のPR動画「うなぎ少女」は、行政が取るべき表現か?

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志布志市 ふるさと納税PR動画より(現在は削除済み)

志布志市 ふるさと納税PR動画より(現在は削除済み)

鹿児島県志布志市による「うなぎ少女」動画が女性差別との批判を受け、削除されました。ツイッターなどでは批判的な意見が多いなか、「何が差別なのかわからない」という意見も見られます。志布志市はその後、「差別の意図はなかった」といった弁解を述べつつ、「不快な思いをさせた」から動画を削除するという対応をとりました。「不快な思い」を理由にすることは、製作者側ではなく、受け取る側の問題にしているということです。このような頓珍漢なコメントをしている時点で「無意識の差別」が頭に刷り込まれていると考えられます。

今回の動画の問題点は大きく二つです。

・児童ポルノ的表現である
・行政の広報である

今回の動画では、学校のプールでスクール水着を着た少女が物憂げに「養って」と訴え、それに対して男性ナレーターが「できるかぎりのことをする」という決意を固めるところから「物語」が始まります。少女は学校のプール周辺で生活しながら、水中を泳いだり、プールサイドで日向ぼっこをしたり、 シーツのような布でできた「テント」を「私の部屋」といって喜んだり、手がぬるぬるしてペットボトルがつかめなかったりしています。そうして一年間「飼育」すると、彼女が「さようなら」といって水に飛び込み、うなぎに姿を変えて、去っていきます。そして、全く別の新たな少女が「養って」と訴えるのです。

こうした一連の表現は、「学齢期の少女を監禁・監視・洗脳し、性行為も含めて少女と接している」ということを暗喩する、「児童ポルノ」ともいえるようなスクール水着美少女イメージビデオです。たとえば、彼女の手がぬるぬるしているのは「精液が手についている」「性行為で使用する潤滑ジェルが手についている」ような状況を暗に示しているようなものです。

しかし、この動画の 「どこがポルノなのか」「何が問題なのか」わからないという人もいるようです。それこそ志布志市の「差別の意思はなかった」「愛情を込めて育てていると伝えたかった」といったコメントはそれを如実に表しているでしょう。「食・動物への愛情」と「性愛」を混同し、しかもその「性愛」の対象を学齢期の少女に対して向けている、そのことが「少女の性的搾取・消費である」という問題点に全く気付けていないのです。

「何が問題かわからない」という人は、埼玉少女監禁事件を考えてみるとよいでしょう。最近初公判が開かれたこの事件の寺内樺風容疑者の動機は長年の誘拐願望、洗脳への関心とされていますが、初公判では2年間にわたる監禁を「監視していたという意識はありません」と述べています。つまり、「何が問題なのか」わかっていないのか、わからないふりをしているのです。

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古谷有希子

ジョージメイソン大学社会学研究科 博士課程。東京大学社会科学研究所 客員研究員。大学院修了後、ビジネスコーチとして日本でマネジメントコンサルティングに従事したのち、渡米。公共政策大学院、シンクタンクでのインターンなどを経て、現在は日本・アメリカで高校生・若者の就職問題の研究に従事する傍ら、NPOへのアドバイザリーも行う。社会政策、教育政策、教育のグローバリゼーションを専門とする。

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