高校時代に自分がゲイであることを友人にカミングアウトしはじめ、早6年。まだ一人しか男を知らなかった純情ゲイ少年が、昼ドラをすりつぶしたような恋愛を越え、今ではすっかりオンボロなオカマになりました。顔面劇場まるだしちゃんです。男か女かなんて二元論では語れない、ブスロジーを提唱する私はぴっちぴちの大学生(肌年齢は限界)。どうぞよろしくお願いいたします。
もう夏も終わり。すっかり秋らしくなって参りました。「あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を 独りかも寝む」という短歌があります。山鳥の長い長い尾のような、この長い秋の夜を……。私はただ一人でさみしく寝るのであろうか。という意味。ブスじゃん!!! ただのブスじゃん!!! みなさんも、ブスはブスでも「語り継がれブス」にならないように!何 百年も語り継がれるならまだしも、噂程度の中途半端な語り継がれブスは辛いわよ~!
ここでいう「ブス」は、不遇の身体的特徴を指してるのではないのです。どんなに見てくれが良くたって、オシャンティなキャッフェーで優雅な午後を過ごしたって、根性が「ブス」ならば、 そのほころびはいつの間にか身をも心をも蝕み、人をブスな妖怪にしてしまうのです。くわばらくわばら。
さて、今日は、「ど忘れ妖怪ハエババア」を読み聞かせ形式でご紹介します。皆さん、ハエってどういう生き物か知ってらして? 生ゴミや犬の糞のみならず、人の涙・唾液・傷口からの浸出液といった体液までも食物にしてしまう貪欲なハエ。やつら、人に近づいてどんなに手で払われても、また近寄ってくるでしょう。どうやらハエって、脳みそが小さすぎて、危険があるはずの場所でも30秒後には遥か記憶の彼方に忘れてしまうそうなの。でも何度果敢に挑んだって、手で追い払われるか、最悪、ハエ叩きでバチン! よね。そんなハエたちの呪いが生んだ、悲しいお話です。
_____
夏の終わり、自分の地元に帰省した、23歳の女の子。田舎にある実家に数泊した後、浪人時代を過ごした都市まで4時間かけて向かいます。その近辺に住む友人とオールナイトのイベントに参加することになりました。
昔ながらの友人も来場しており、朝まで飲み明かそうと、彼女は最寄り駅にキャリーケースを預け、張り切って会場まで向かいました。
友人と合流し、お酒を飲んだり、友人との久々の再開に賑やかな夜を楽しんでいます。
時刻は朝4時をまわり、少しずつ人が少なくなっていきます。
気づくと会場は完全なるエンディングモード。イベント会場のある都市からはるか彼方に実家のある彼女にとって、完全に世紀末パターン。
一緒に来ていた女友達も、ついに言いました。
「じゃ、あたしたち帰るねー!!」
「え? 嘘でしょ!!!」
彼女の声は空を切り、寒く乾いた夜空に静かに溶けていきます。
「明日早いんだー!」
マッハでひとりぼっちになった彼女。
消える友人。そして誰もいなくなった。アガサ・クリスティもびっくりです。
仕方なく最寄り駅まで荷物を取りに行こうと、ひとり歩き始めました。
すると、携帯にメールの着信が。
殿方「今日イベントにいた?」
以前から連絡をとっていた殿方からのメールが来たのです。彼と初めて会ったのは、友人たちとのボーリング。そのときは連絡先を交換することもしなかったのですが、ある日から連絡をとるようになり始めました。
女子「うん! いたよ! いた?」
そんな他愛ない話を続けていると、彼からひと言。
殿方「今日どこに泊まるの?」
女子「今日は朝まで飲む予定だったから宿とってなかったんだ」
殿方「そうなんだ! ソファくらいしかないけど、良かったら家泊まりにくる?」
出ました!!! 自然なお泊まり誘致!!! イエス!!! フライングゲット!! 彼女は飛びつきました。
女子「だめじゃなかったら行ってもいいかな?」
殿方「いいよー!!」
それからすぐに合流し、タクシーで彼の家へ向かいます。
家につくやいなや、シャワーをおもむろに浴びだす彼。彼女は少し大きな彼のジャージを借りて、ソファでうとうとしながら待っていました。
「眠い?」
軽く眠りに落ちていた彼女は、彼の声に目が覚めます。
「嫌じゃなかったら一緒に寝ない?」
きゃーーーーーーーーーーーーーー!!!! 魔法にかけられた彼女は彼と一緒に寝ます。
殿方「彼氏いないの?」
女子「いないよ~」
殿方「こんな可愛いのになんで彼氏できないんだろうね」
彼女の乙女心は完全に彼の手の内。
この時点で冷静に考えれば、もう完全なブスフラグです。完全にブスリンピックを招致しています。でも女の子ってそういう一過性の言葉に弱いもの。もしこの男が彼女のことを本当に好きなら、探りを入れる前に告白してるわよ! ラブ イズ ブラインドとかいって黙んな!!!
西野カナみたいなこと言わない!
そのままベッドの上で彼女はキスをされ、身体を許してしまいます。ことを終えた後にベッドでそのまま眠るふたり。
遅い起床、コンビニの朝ご飯。別の友人と会う約束のあった彼女は、彼の家をあとにします。出がけのキスをし、また会うことを約束しました。
それから三日後。
彼女はいとこの家でひとりでツイッターを見ていました。そこで彼女は、彼と友人の会話をみつけました。
「今日はのろけてしまってごめんね!」
彼が友人に対して言っていたひと言でした。
??????????????????
???????なんの話???????
??????????????????
「幸せそうでよかったよ! 恋人さんと仲良くね!」
彼女は全てを理解しました。そう、すでに彼には恋人がいたのです。つまり浮気性のダメンズトラップにかかってしまったのです。アルティメットブスです。ブスリンピック2013は既に彼女のもの。彼女のお・も・て・な・しはセックスのみ! 滝川クリトリス! 死んじゃう!!!
彼女、実は二番目の女ポジション常習犯なのです。失敗を学ばない。一瞬の甘い言葉に簡単にその気にさせられて、愛人まがいの関係に終止してしまう。完全に情婦です。みゆきも「情婦の証言は法廷では無いのに等しい」と言っていました。
————
「ど忘れ妖怪ハエババア」
簡単な甘い一過性の言葉に惑わされ、愛人まがいな関係を構築してしまう騙されやすい妖怪。基本的に学ぶことを知ず、同じ過ちを繰り返してしまう。危険を忘れて人間のところへ戻ってしまうハエの呪い。まさにウンコにたかるハエである。
「妖怪大図鑑」参照
————
今日の話ね、長々と話したけど、これあたし!!!!!!!
バクワラ
彼女とか乙女とか言ってたけど、これあたしの実話! 一夏のブスンチュール! 相手もゲイだし、その恋人ってのも男!
普段人のことをブスブス言ってるあたしが一番ブスでした。ドラァグクイーンのお姐様に「不憫ね……」って言われたわよ! あたしってばただのおもてなし情婦! そしてこの便乗魔!
もう身体はいいから愛が欲しい(本音)
さ! 夏の思い出は遥か彼方! 秋の夜長に泣かないように、同じ過ちは繰り返さない! 語り継がれ美人になるわよ!
■顔面劇場まるだしちゃん /(@toyamarudasi)爆発寸前のオカマ。北海道の僻地から湧いてでたセックスシンボル。イラストレーター、グラフィックデザイナーとして活動する傍ら、全てのセクシュアリティの人のためのブライダルLetibeeの代表として活動している。お尻が突き出ているという一身上の都合によって、高校時代のあだ名は「ケンタウロス」