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人は何のために結婚するのか。契約結婚で「主婦」に就職したみくりを駆り立てるものとは『逃げるは恥だが役に立つ』

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『逃げるは恥だが役に立つ』公式サイトより

『逃げるは恥だが役に立つ』公式サイトより

恋愛マンガ? お仕事マンガ?

こんにちは、さにはにです。今月も漫画を通じてこれからの女性の生き方のヒントを考えていきたいと思います。よろしくお願いします。

今回ご紹介するのは、海野つなみ先生の『逃げるは恥だが役に立つ』(講談社)です。1989年にデビューされた海野つなみ先生はコンスタントに作品を発表されていて、姉弟間の恋愛感情を描いた『回転銀河』(講談社、2003年)や「小公女」をSF風にアレンジした『小煌女』(講談社、2009年)など、ちょっと凝った設定やテーマに取り組まれてきました。巧みなストーリー展開、セリフや表情などで詳細に記述される人物の心情、息抜き的なギャグなど、情報量の多い作品でありながら構成が大変に丁寧で、どの作品からも安心して作品世界に没入させてくれる技術力と安定感が感じられるように思います。

2012年11月に『Kiss』にて連載開始された『逃げるは恥だが役に立つ』は、2015年に第39回講談社漫画賞・少女部門を受賞するなど高い評価を得ている作品で、10月11日からはTBS系列にて新垣結衣さんと星野源さんの主演でドラマ化されました。

本作の中心となるのは、心理系の大学院を卒業するも正規で就職ができない森山みくり(25)とIT系の企業で働く「高齢童貞」の津崎平匡(36)を巡る人間関係です。派遣契約を打ち切られたみくりは次の仕事をなかなか見つけることができず、父に紹介されて家事代行の仕事を個人的に請け負うことになります。

就職活動に失敗した経験がトラウマになっているみくりは「誰からも必要とされていない」「貯金がない」「将来に不安がある」といった悩みを抱えていて、正社員になりたいと願っている人物です。こうした人生の煮詰まりを突破するべく、平匡の自宅に主婦として「就職」するという提案をみくりが自ら行うところから物語がスタートします。業務内容や給料、「恋人は作っても良い」「寝室は分ける」など細かい取り決めをして「契約結婚」を始めた二人ですが、周囲は当たり前に夫婦として扱ってくるので、色々厄介なことが起きてきて……という本作の展開がつきつけてくるのはズバリ「結婚とは何か」「仕事とは何か」という問いのように思います。ナタリーで行われている海野先生のインタビューでも、本作を恋愛マンガとするかお仕事マンガとするかで読み方が変わってくるとおっしゃっています。そしてこれは、家族社会学者が長年追いかけ続けた問いにもつながるように感じられます。

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永田夏来

さにはに先生。ニックネームの由来は"SUNNYFUNNY"(パラッパラッパーというゲームのキャラクター)→"さにふぁに"→"さにはに"です。1973年長崎県生まれ。2004年に早稲田大学にて博士(人間科学)を取得後、現職は兵庫教育大学大学院学校教育研究科助教。専門は家族社会学ですが、インターネットや音楽、漫画などのサブカルチャーにも関心を持っています。

twitter:@sunnyfunny99

永田夏来研究室

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