福山が演じる静は、借金まみれで下ネタ大好き、芸能人のスキャンダルをものにすることと、下半身のことにしか興味がないという、「ゲス野郎」設定だ。無精ひげにもじゃもじゃ頭、革ジャンというワイルドな出で立ちの福山が終始下ネタを連発するのだが、どうにも<愛されるキャラクター>に仕上がったとは言い難い。「福山ならばこの設定でも独特の色気と清潔感が滲み出るだろう」と期待されたのかもしれないが、ただの不潔なおじさんなのである。
ちなみにドラマ『ラブソング』では、主役の福山とヒロイン役の藤原さくらの27歳差の恋愛ドラマということで、「年の差があり過ぎて不自然」と視聴者から否定的な意見が多く上がっていた。『SCOOP!』ではヒロイン役の二階堂と恋愛関係という設定ではないものの、彼女も22歳。『ラブソング』同様のおっさん×20代女性の組み合わせには、違和感が拭えない。
今までの福山像とは大きくかけ離れた役柄ということで、映画の宣伝では、“あの福山雅治が落ちぶれたパパラッチで、ヨゴレ役!”と、今までの福山雅治像とのギャップを大いに生かした宣伝方法を採用。これでもかと福山ギャップを押しまくり、福山頼みとしか思えない作戦を決行した。週刊誌編集部を舞台にしているため、実際の週刊誌にも福山が多く登場したわけだが、インタビュー記事自体は無難であたりさわりのないモノばかり。非常に中途半端で、まったく振り切れていない。話題にならないのも当然である。
同作は1985年に制作された映画『盗写 1/250秒』を原作としているので、原作ファンも多少なりともいるのだが、ここまで福山ギャップをゴリ押しされると、映画の内容はどうでもよくなってしまう。福山自身としてはこの映画で既存のイメージを一新したかったのだろうが、脱皮はまだ難しそうだ。年相応の大人の恋愛や、『そして父になる』のように父親役に取り組む機会を増やしていけば、役者としての道はまだ良い方向へ伸びそうにも思えるのだが……。
(ボンゾ)
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