連載

「すぐ薬に頼る」「我慢が足りない」婦人科受診を阻止する母親、植えつけられた生理痛の罪悪感

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 まず、子宮内膜症の特徴的な症状としては生理痛、生理時以外の下腹部痛、腰痛、月経過多などいろいろあるわ。だけど、なによりも夢子が驚いたのは、子宮内膜症の症状のひとつとして“排便痛”があげられていたことよ。排便時以外でも椅子に座る瞬間、ヤリで刺されるような痛みを夢子はよく肛門の奥に感じていたの。いままでこんな形容しがたい痛みがあるのは自分だけだと思っていたから、夢子はびっくりして思ったわ。

「自分が感じていた痛みは、ちゃんと言葉として表現してもいい、まっとうなものなんだ!」

 病名のだいたいのアタリを付けてからは夢子は本にも手を伸ばしてみたわ。子宮内膜症に関する本を何冊か買ったり図書館で借りたりして読んでみたんだけど、夢子の意見ではどれも役にたたなかったの。どの本も現役の医師が書いていたからしょうがないんだけど、医師が所属する病院の宣伝以上の内容は載っていなかった。

「本音で書ける環境にいる人が書いた本を見つけるのって、むずかしいんだな」

 と夢子は思ったわ。ただし、夢子が手に入れた本のなかでは1冊だけ、ものすごく役に立ったものがあって、それは子宮内膜症の患者団体さまが書かれた『あなたを守る子宮内膜症の本』(日本子宮内膜症協会著・コモンズ)だったわ。役に立ったどころじゃなく、子宮内膜症に関してはこれだけ読めばOKじゃない?と思うほどそれは素晴らしい本だったの。

 そんなふうにして、夢子は受診前に子宮内膜症に関する知識を着々と蓄えていったの。

 その結果知ったのだけど、子宮内膜症は「子宮」の病気じゃなくて、「子宮内膜」が起こす病気なの。これ、よく間違われるのよ。子宮内膜って本来、子宮の内側だけにあるはずの粘膜なのね。だけど、ときどきいるのよ。「勘違い子宮内膜ちゃん」たちが。そのコたちがダグラス窩(だぐらすか=女性では子宮後面と直腸の間にあるくぼみ)、卵巣そして仙骨子宮靭帯(せんこつしきゅうじんたい=子宮をお腹に固定する靭帯)など、体のいろんな場所に必要もないのに粘膜を作っちゃうのよ。

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イラスト/大和彩

「勘違い子宮内膜ちゃん」たちは、無駄に張り切ってる細胞ちゃんだから、場所を間違えてるのにも関わらず、そこでいきいきと活動しちゃうの。それがお腹のなかに炎症が起こしたり、発熱したり、臓器の癒着を起こす原因になっちゃって、痛みや不妊を起こすといわれているわ。

 そのほかにも、子宮内膜症は性病ではないし、性病が原因で起こる病気でもないこと。出産経験のある女性でも発症すること(つまり妊娠・出産しても治らないということ)。閉経して生理が完全になくなるまで完治しない病気であること。MRIやCTでは診断するのに限界があるから、「あなたは子宮内膜症ですよ」と確定するには手術してお腹の中を目で見て、取った組織検査することが必要であり、それ以外は推測でしかない「臨床診断」になること。治療の世界標準はピルの服用であること。……など、いろんなことを夢子は初めて知ったの。

 夢子は受診前準備の集大成として、インターネットや読書で知った用語を駆使して、自分の症状や月経の様子などを表にしたものをパソコンで作ったわ。受診のときに医師に渡すためよ。

(大和彩)

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

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