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性の「しょっぱい」面にクローズアップ。「AERA」セックス特集のリアリティ

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 女性誌におけるセックス特集の「セックス☆キラキラ攻撃」に食傷した2016年の夏も遠くなり、今秋は「セックスって、しょっぱいよな~」と思わされる特集記事に遭遇しました。AERA「日本人とセックス 500人調査」です。

 すてきなセックス体験が登場しないわけではないのです。たとえば、彼氏との相性がとてもよくて、最初はイヤだった足指舐めでだんだん感じるようになった女性とか。前夫と10年間セックスレスだった女性がいまの彼とは充実の性生活を送っている(毎回、オーガズムあり!)とか。後者の女性は「私にとってセックスは、自分の存在を再認識し合う行為でもあります。身体を重ねることで相手を必要とし必要とされている実感がわいてきます」と、超模範的なコメントをされています。これが「セックス☆キラキラ攻撃」をくり出す雑誌における「実態のないステキ女子」の発言なら、あーハイハイ、と流しますが、結婚、出産、離婚、そして新たな出会いという生活史がかいま見える女性のひと言であれば、意味合いが変わります。

 企画の核になっている「500人アンケート」は、20、30、40、50、60代の各100人ずつ、配偶者やパートナーがいる男女に聞いたもので、そこで見えてきた日本のセックスの実態は、「セックスは好き、だけどできない」となるそうです。日本家族計画協会の調査などでも、既婚者の4割以上がセックスレスと報告されていますし、これ自体に意外性はありません。

生活者目線でのセックス

 でも、そこで紹介されている「子どもが大きくなってなかなか寝なくなり、タイミングがうまくいかず没交渉」「夜に洗濯やお風呂の掃除、家計簿付けなどもやっているので、とてもセックスできる状況ではない」、子どもがいる家庭では「子どもが寝てから、隣で声を抑えて」「子どもがリビングでスマホの動画を見ている時に」セックスしているなど、それぞれのコメントが、セックスする男女である以前に、生活者としての実感にあふれていて、あらためて「セックスとは浮世離れしたキラキラ☆イベントではなく、生活の一部なのだ」と感じました。

 女性誌の「キラキラ」が空虚に見えるのは、先述したような実態のなさ、生活感のなさが理由でしょう。現実にいるかどうかもわからない女性のキラキラ☆セックスライフを羅列し、「セックスできれいになる」「愛される」と謳われても白々しいだけ。セックスに“素敵”を求めるなとはいいませんが、実際、そんな絵に描いたような性生活って長続きしませんよね。

 同記事からは、セックスレスとは個人の問題ではなく社会の問題なのだということも伝わってきます。日本の住宅事情、長時間労働、労働のスタイル、結婚後は夫婦が男女ではなく「家族」になり、ふたりだけで出かける習慣がない文化。世代が上になるほど女性と男性のセックス満足度の差が広がるというアンケート結果からは、年齢を重ねた女性の魅力に鈍感な日本社会の未熟さも見えてきます。

 その結果、「したい!」と思っても、その実現が困難な状況にいる人たちが少なくないというわけです。う~ん、しょっぱいな~。

 となると、セックスレスの解決も「個人の努力」では限界があることになります。もちろん、セックスはとてもプライベートな行為ですから、個々が一切の努力を放棄してしまっては、よりよいセックスライフは望めません。でも、セックスの頻度、満足度がともに高い国との違いは、個人の意識や意欲の差ではなく、やはりライフスタイルや社会構造の違いによるところが大きいのではないでしょうか。

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桃子

オトナのオモチャ約200種を所有し、それらを試しては、使用感をブログにつづるとともに、グッズを使ったラブコミュニケーションの楽しさを発信中。著書『今夜、コレを試します(OL桃子のオモチャ日記)』ブックマン社。

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