さて、ミタゾノさんは必ず一回、メインゲストの「悪」を暴いて窮地に陥れてから再生を促すスタイル。数々の裏面を持つキスパンは、生放送番組出演中にその時を迎えました。かわいそうすぎる~~~。ミタゾノさんは現場に元カレを乱入させ、いかにドイヒーな女かを元カレが暴露したあと、「お母さんをいじめるな~」と子供たちまで参戦、ダメ押しにミタゾノさんは勝手に入手した母子手帳や出産直後の写真をスライドショーで流します。追い詰められたキスパンは子供たちの前で「ずっと思ってたの、アンタたちなんか産まなきゃよかった!!」「せっかく頑張ってたのに台無し!」と絶叫。無理心中はかってもおかしくないっすよ……。これにより全仕事降板、CM違約金も発生したうえ世間から猛烈なバッシングを浴びたキスパン、子供たちはおばあちゃんと愛媛の田舎で暮らすことに(最初っからそうしてれば良かったんじゃ!?)。第一話の汚職都知事(板尾創治)もでしたが、悪人を最大限“悪人らしく”描き、ここまでやる? ってくらい徹底的にどん底に突き落とすドラマです。
もちろん崩壊の後日談、すなわち再生までを描くのですが、ちょっとココが弱いというか、「そんな簡単に改心する~?」って感じなんですよね。暴力こそふるっていなかったもののネグレクト状態で自分のことしか考えていなかった女性に、子供たちの「お母さん大好き」攻撃がダイレクトに効くでしょうか。「キスパンも本当は子供たちと一緒にいたいけど……」的な描写がもう少し前半で足されていれば、まだ良かったかもしれません。それに、社会的に失墜した人間がそうやすやすと復帰できる社会じゃないですもんね、今の日本。ドラマ=架空のお話ですから、リアルに忠実である必要はないですが……。キスパンは子供たちからのメッセージで号泣して心を入れ替え、愛媛に帰り、地方局のアナウンサーになるのですが、いやいや地方局だってこんなスキャンダル起こした女子アナ起用できないでしょ。地方に引っ越しただけで汚名が消えることもありえません。
悪人を極限までイヤな人間として描き、ミタゾノさんが悪を暴いて虚像を崩壊させる。この筋書きを私自身は痛快に感じましたし優れたエンタメ作品に仕上がっていると思いますが、「胸糞悪い……」と感じる視聴者さんもいると思いますので、感想は割れるところでしょう。一話完結でゲストの背景までがっつり描くのは難しいんですけどね。なんといってもミタゾノさん自身の背景が気になるので、私は最後まで見届けたいと思います!
来週は、夏木マリが演じる家政婦と「家政婦対決」、激しそうなバトルだな……。
(ドラマ見届け人:トミジョー)
――
『家政夫のミタゾノ』レビューはコチラから!
▼ミタゾノ視聴者も裏切られた「破滅と再生」。一番ゲスいのは誰だ?クイズ状態/『家政夫のミタゾノ』第三話レビュー
▼財産に群がり「寄生虫」化した息子夫婦! 40歳年の差妻の目的は「愛」か「お金」か。/『家政夫のミタゾノ』第四話レビュー
▼見ず知らずの「泥棒」を「お父さん」と慕う少女。4時間の“親子ごっこ”は何のため? /『家政夫のミタゾノ』第五話レビュー
▼「愛され教師」の裏の顔を掘り起こす! ミタゾノが本当に破滅させたいのは誰だっ!?/『家政夫のミタゾノ』第六話レビュー
▼「人」も「干物」も味を出すのに必要なものとは? /『家政夫のミタゾノ』第七話レビュー