連載

日本のトップスクールが男女不平等を拡大させているという罪

【この記事のキーワード】

hatakeyama_banner_500

旧帝国大学の女子学生比率は世界的にも異常な低さ

 この連載では、日本の大学・大学院における女子の就学率は先進国でも最低レベルなだけでなく、卒業後の賃金が高いと考えられる工学部などのSTEM系学部での女子学生割合も日本は先進国で最低レベルにあることを紹介してきました。

「日本で女性の大学院生の数は男性の半分以下しかいない」という事実が示唆すること
「リケジョ」の失敗により低賃金状態におかれる日本の女性たち

 日本の女子教育の課題は他にもあります。その一つが学校歴です。

 日本では学歴と学校歴が混同されることがしばしばあるので、先に違いを明確にしておくと、学歴は高校・大学・大学院のような教育段階であり、学校歴は東京大学や開成高校のような卒業した学校の名前、医学部・法学部のような卒業学部を指します。

 アメリカのアイビーリーグや、イギリスのオクスブリッジのように、大学にはトップスクールと呼ばれるエリート養成所のようなところがあります。日本の場合は、東京大学や京都大学をはじめとする旧帝国大学などがトップスクールと言えるでしょう。しかし世界のトップスクールの大半では、女子学生の比率が50%前後となっている一方で、日本のトップスクールは世界標準を到底満たしているとはいえません。まずはこのことを確かめてみましょう。

graph01

 表1 は、2016年現在における、旧帝国大学の女子学生比率を示しています。全ての旧帝国大学で女子学生比率が低く、日本のトップスクールでは女子学生は少数派となっていることが一目瞭然です。最下位の東京大学は、なんと女子学生比率が20%を割り込んでいます。また、前回の記事で、日本では人文科学系やサービス系など卒業後の高賃金が期待しづらい学部に女子学生が多いことに言及しましたが、2007年に人文科学系の大阪外国語大学を吸収した大阪大学であっても女子学生比率は1/3を超えません。

graph02

 表2は、世界の主なトップスクールにおける女子学生比率を示しています(TIMESの大学ランキングより)。この表が示すように、北米・ヨーロッパ・アジア・オセアニア・アフリカのどこの地域でもトップスクールにおける女子学生比率は50%前後となっています。男女が平等に学んでいるのがトップスクールのグローバルスタンダードだと言え、日本の旧帝国大学の状況の特異性が浮かび上がります。

1 2 3

畠山勝太

NPO法人サルタック理事・国連児童基金(ユニセフ)マラウイ事務所Education Specialist (Education Management Information System)。東京大学教育学部卒業後、神戸大学国際協力研究科へ進学(経済学修士)。イエメン教育省などでインターンをした後、在学中にワシントンDCへ渡り世界銀行本部で教育統計やジェンダー制度政策分析等の業務に従事する。4年間の勤務後ユニセフへ移り、ジンバブエ事務所、本部(NY)を経て現職。また、NPO法人サルタックの共同創設者・理事として、ネパールの姉妹団体の子供たちの学習サポートと貧困層の母親を対象とした識字・職業訓練プログラムの支援を行っている。ミシガン州立大学教育政策・教育経済学コース博士課程へ進学予定(2017.9-)。1985年岐阜県生まれ。

[PR]
[PR]

messy新着記事一覧へ

幼児教育の経済学