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『やっぱり猫が好き』がやっぱり好きな理由

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やっぱり猫が好き

『やっぱり猫が好き 2003』フジテレビ

 『やっぱり猫が好き』は、リアルタイムで放送されていたときから約25年後の現在まで、私の心の中の「ぶっちぎりで好きなテレビ番組ナンバー1」に君臨している番組です。どのくらいぶっちぎりかというと、私の中では、「好きなテレビ番組」の1位から10位くらいまでは全部『やっぱり猫が好き』で占められている、というレベルのぶっちぎり具合です。11位以降にランキングする「好きなテレビ番組」は特にないので、私は『やっぱり猫が好き』がやっぱり好きなのだなぁ、としみじみ思います。

 『やっぱり猫が好き』は、1988年から深夜にフジテレビ系列で放送されていた番組です。1991年のシリーズ終了後も、07年まで2~3年おきにスペシャル版が制作され続けており、ファンイベントなども繰り返し開催されています。私のみならず、この番組には熱狂的なファンが多いのです。

 ファンイベントが開催されるのも、しごく当然だと思います。『やっぱり猫が好き』は、分かる人にしか分からない細かいギャグがふんだんに盛り込まれ(未だに元ネタがわからないギャグが私には多いです)、ストーリーも意外な展開が多く、見た後に感想を誰かと共有したくなるタイプの面白さを味わえる番組です。

 私とて例外ではなく、『やっぱり猫が好き』の感想を誰かと語り合いたい!と、この25年間、熱望し続けました。ですが、残念ながら周りにはファンがおらず、私はこの熱い想いをもてあまし続けてきました。

 一応、隙あらば布教は試みているのですが、成功したことが一度もありません(私が口下手だから、という理由はひとまずおいておきましょう)。『やっぱり猫が好き』は、何がどう面白いのか、説明するのが難しく、したがって、人におススメするのが困難な番組でもあるのです。

アンチ・バブルな構成

 『やっぱり猫が好き』は、バブル時代の日本で生まれた番組です。バブルの頃のJapanといえば、ディスコです。ヴォーギングです。キラキラしたミラーボールに照らされた、ナイトライフです。しかし『やっぱり猫が好き』には、そのようなステレオタイプなバブルの世界は、出てきません。

 『やっぱり猫が好き』は恐らく、ジュリアナ的なバブルJapanへのアンチテーゼとして生まれた番組なのではないでしょうか。限りなく無駄をそぎ落とした番組です。

 登場人物は基本的に3姉妹である長女・恩田かや乃(もたいまさこ)、次女・恩田レイ子(室井滋)、三女・恩田きみえ(小林聡美)の3人のみ。シーンは、かや乃・きみえ姉妹の住むマンションの一室のみです。全てのストーリーは、この一室で、たった3人で展開します。この3人が、部屋に籠って、ちゃぶ台やこたつを囲み、お茶して、しゃべって、部屋の中を動き回る。それだけの番組。

 ね? 知らない人からしたら、「コレのどこが面白いの?」というカンジでしょ……?

 けれど、お客さん、勘違いしちゃあ、いけないよ! 滅法、面白いんですって、これが!!

 限りなくミニマルなこの番組が、脚本の力とキャスト3人の凄まじい力量によって、無限の広がりと奥行をもったコメディドラマになり、見ている人の胸に迫ってくるところが、面白いんです! それはまるで、ただの平たい紙切れに、いくつか折り目を付けるだけで、立体的な花や鶴ができあがる折り紙を見ているよう。そんなお芝居の魔法をみている気持ちになるのです。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

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