小栗の舌鋒はさらに鋭くなり、「なんで次のクールのドラマを今撮るのかって思うわけ」「2クール前に撮っておけば、良い循環になっていくんじゃないかと思う」と直球の業界批判まで飛び出す。だが番組ではここで「ドラマ業界がざわつく話が始まった」「ここからは映像だけでお楽しみ下さい」とテロップが流れて、熱弁がシャットアウトされてしまう。さらに時間が経過して「10分後」というテロップが流れると、小栗が深刻なトーンで「何か色々考えなきゃと思う…」と呟いているところが映されたのだが、すぐにスタッフから「一旦止めます」とストップがかかったことからも、よほど過激な発言、というかテレビ局にとって都合の悪い話をしていたのだと推測できる。
番組中に暴走してしまうほど昨今のドラマ低迷や業界の体質を憂いている小栗だが、言葉だけでなく実際に「脚本を吟味する」「半分以上の台本が上がっていないとクランクインしない」という行動を起こしているのが流石だ。小栗の熱い役者論が多くの人の心を動かすのは、口だけでなく行動を伴っているからなのだろう。
なお、小栗は人気マンガを原作とする2017年公開予定の映画『銀魂』で主演を務めることが決まり大きな話題を呼んでいる。ファンにとっては周知のことだが、これまでにも2014年の『ルパン三世』や今年公開の『テラフォーマーズ』、そしてフジテレビでドラマ化・映画化もされた『信長協奏曲』など、様々なマンガ原作作品に出演してきた。実力派俳優でありながら、色物扱いされがちな漫画実写化作品で活躍し続けている小栗だが、その裏には今回明らかになったポリシーが絡んでいるのではないだろうか。
マンガを原作とする実写化作品であれば、どんなストーリーになるのかあらかじめ見通しが立つうえ、原作サイドに確認を取る必要があるため脚本の上がりもオリジナル作品より早いことが多い。だからこそ、じっくり作品と向き合いたい小栗は、あえて実写化作品を選んできたのではないか。
最近では新たに製作されるドラマ・映画の多くが原作付きで、とどまることなき“実写化ブーム”の様相を呈している。ヒット作も次々に生まれ、映像業界を盛り上げているが、そこで小栗が果たしている役割は大きい。業界をより良くしたいという熱い思いが、これからどんな風景を見せてくれるのか期待していきたい。
(ボンゾ)
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