一つ目が俳優としての存在感である。『逃げ恥』では基本的にコミカルながら、しんみり涙を誘うシーンの表情も巧い。契約妻であるみくり(新垣結衣)がベッドに残した匂いに包まれて挙動不審になったりする様は「童貞よりも童貞っぽい」と高い評価を得ていた。もともと劇団大人計画に所属し、20歳前後から舞台に立ち実力を磨いてきた。大人計画といえば喜劇であり、星野はコント番組での評判も上々だ。
次に、シンガーソングライターとしての実力も折り紙つき。当初はインストゥルメンタルバンドで活動していたものの、2010年にソロデビューすると楽曲が次々にヒットして、2015年には『NHK紅白歌合戦』への出場も果たしている。草食系を連想させるキャラクターに合った優しい歌声で多くの女性ファンを獲得しているようだ。嵐など他アーティストへの楽曲提供もしており、NHKEテレの幼児向け番組『みぃつけた!』で今春に流れていた星野作曲・宮藤官九郎作詞の『グローイング アップップ』は全国のパパママを号泣させる掛け値なしの名曲だった。
星野のファッションセンスも注目されているらしい。とあるサイトで行われた「彼氏に真似してほしいファッションの男性芸能人は?」というアンケートでは、無難系の向井理や奇抜系のオダギリジョーを抑えて1位に輝いたこともある。星野のファッションは派手すぎず地味すぎない“ほどほど感”が特徴だが、ポイントは常に清潔感に溢れているところ。ミュージシャンとしての才能に抜群の演技力、さらに清潔感ときたらモテない理由がない。また、コラムニストとして作家活動もしており、5冊の著書をリリースしている。「なんとなく頭が良さそう!」という印象まで与えてくるとは……。
そんな星野の魅力を2006年にすでに見抜いていたのが、『SCOOP!』などで知られる映画監督の大根仁だ。大根はブログで「星野君の表現スタイルはどう考えてもニュータイプ」「バランスが良いとかそういうことではなく、音楽的才能と役者的才能が生まれつき同じ分量で備わっている」と、役者とミュージシャンの二刀流で活躍する実力を絶賛。さらにその上で、星野の魅力について「これは世代的なことが大きいのだけれど、変な自己主張やがっつきが無いこと。『俺、なんでもやれちゃうもんねえカッコ良いだろう』という邪気がまったくない」というように語っていた。
一見目立たないが才能の塊、というのは男女問わず「私が見つけた!」と言いたくなるもの。結局のところ一番モテるのは、そんな“私だけの彼氏”ポジションの男性なのかもしれない。しかもそばにいてほしくなるような優しげなオーラと清潔感を備えている星野がブレイクしたのは必然だった。もちろん、あくまでも大衆が見ているのは彼の「イメージ」に過ぎないのだが。
(ボンゾ)
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