前回に引き続き、『Popteen』11月号(角川春樹事務所)の話から始めましょう。創刊33周年記念号だったこの号ではかつて誌面を賑わしたPopモデルOGたちへのインタビュー記事もひとつの見所となっています。ここで登場するのは、現『AneCan』(小学館)モデルで今年小説を発表した努力家・押切もえさん、離婚発表後も洋服やコスメなどのプロデュース業に意欲旺盛な益若つばささん、そして現『CanCam』(小学館)人気モデルの舞川あいくさん、など。
なかでも面白く読んだのは、押切もえさんや益若つばささんのように、すでに自分の活動がある程度大きな流れに乗っている人ではなく、『CanCam』モデルからさらに次の活動に向けて動かなければならないであろう舞川あいくさんのインタビューでした。彼女は今後の展望について、こんな風に語っています。
――これからはモデルはもちろん、プロデュースの仕事もしたいし、演技はぜんぜんヘタクソだけどドラマにも挑戦したいし、いつかはオーガニック系のお店も出したい!!――
この発言を読んだ人の多くは、「なるほど、いろいろやりたいことはあるけれど、なにひとつ方向性が定まっていないのだな……」という印象を受けると思います。おそらく彼女の夢は、先輩モデルたちが見本となって描かれているのでしょう。モデルでプロデュース業と言えば、それこそ益若つばささんが有名ですし、モデルから女優へという道も一般的なものとして認知されていると言えましょう(今日において『モデルあがりの女優なんか認めない』という価値観でドラマ・映画を観る視聴者も少なくないはずだが……)。
ただ、私個人は「オーガニック系のお店を出したい!!」という、この願望にひっかかるものがありました。それは「え、こんな人でも『いつかは』という遠い未来に、オーガニック系に辿り着きたいの?」という意外性を含めたひっかかりだったのですが。
舞川あいくさんが夢に描いた「オーガニック系のお店」とは、自然由来成分の石けんとか、キャンドルとか、香料が入ったビンに棒が数本立てられてなにやら良いにおいがするアレとか、フランスや北欧の小物とか(無印良品でも売っていそうなアイテム)……が売られており、店員がみな片桐はいりみたいな顔をしている店のことなのかな……。日頃行く「お店」のカテゴリーがレコード屋か古本屋くらいしかない文化系アラサー男子の私には具体的にはよく掴めないところですが。
そんな妄想を膨らましつつ考えてしまうのは、オーガニック系、ひいてはナチュラル系のファッション・ライフスタイルは、女性が考える「落ち着き」の一形式なのでは、ということす。
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