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「“異性”を好きになって当然だ、お前はどの“異性”が好きなのだ」と当然のように問う社会のおかしさ/ジュンペイさんvol.1

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(C)ふわふわのイス

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ご無沙汰してます。こんにちは、ヒラマツです。すっかり不定期連載になってしまい……という恒例の言い訳はもう省いて(相変わらず好き勝手に開き直りすみません)、お待たせしました。再開します! 今回は家族観インタビュー第2弾です。

結婚願望がなく、妊娠を機に未婚の母になる選択をした私は、妊娠中になるべく多くの「多様な家族観」を知りたくて、友人知人に「男女カップルとその子供で成り立つ家族」以外の家族形成の方法を模索・実行する人たちを紹介してもらい、インタビューを実行しました。この原稿はそれからおよそ3年が経過した今、messyに掲載すべくリライトしたものになります。

Family? CASE2 セックスをしなくても生殖はできる。レズビアンカップルに精子提供を試みるジュンペイさん」~第一章~(取材日:2013年10月)

今回のスピーカーは、友人のジュンペイさん。生物学を専門として教育職についていたこともあった男性です。私が知り合う数年前から、ジュンペイさんは鬱の症状があって仕事や性愛に対して情熱の持ち方が分からなくなるなど、不安感や悩みを抱えていました。しかしそうした中でも、生殖や教育など未来にバトンを繋ぎ渡すような営みに対しての興味関心が断ち切られることはなく、仕事以外にも何らかの形で関わっていきたいのだと言います。

私が未婚の母になろうとしている(インタビュー時はまだ妊娠中)ことを知って、共通の友人であるAさんを通じてジュンペイさんから声をかけてくれたのがキッカケで、今回お話を聞かせていただくことになりました。ジュンペイさんは独身ですが、この当時、知人のレズビアンカップルへ精子提供を行っていました。そして一昨年、そのカップルのもとに、めでたく元気な赤ちゃんが生まれました。ジュンペイさんの提供した精子が無事受精・着床し、育った結果です。ウチの子供とも歳が近く、個人的にも超嬉しいニュースでした。おかげで数少ないママ友もできました。

なんで「好きな人」ができたら「付き合う」ことを目指すのか。そのために必要とされる「告白」ってなんなんだろう?

――以前、Aさんから、ジュンペイさんの幼稚園時代の話が面白かったって聞いたことがあるんです。詳細は伺っていないのですが、どんな話だったのかな? 心当たりありますか?

ジュンペイさん(以下、J) 多分、幼稚園で男の子の友達とチンチン同士くっつけて遊んでた話じゃないかな? 先生に「そんな使い方するもんじゃありません!」って怒られたんですよね。でもチンチンの生殖行為での使い方なんて知らなかったから「じゃあ、どんな使い方すんねん」と思った……って話をAさんにしたことあるかも(笑)。

どういう流れでその話をしたかって言うと、先生のツッコミが面白かったっていうのもあるけど、性別化されていない性の遊びみたいなのをしてたんじゃないか、と思って。多形倒錯とか性倒錯と言ったりするんだけど、本能とか自然に対して逆立ちしているというか。幼児って特に欲望の向かう対象が色々で、色々なものと欲望的に結合するみたいな、そういう感覚が自分にもあったんじゃないか、って、そういう流れで出た話だったと思う。

――“常識的な欲望”みたいなものが存在していて、大半の人間はそれに沿うものなんだ、みたいなことに気付いたのはいつごろだったと記憶していますか?

J んー、中学生になるころには。かな。気付いたら、男女間の性愛文化みたいなものが、自分の身の周りに広まってて、けどそれが自分にはすんなり入ってくるものじゃなくて、「なんだ? これは」という感じで戸惑った。だって「好きな人同士が付き合う」って風習は「お腹が空いたらご飯を食べる」みたいな自然なことではないよなって思って。

僕が好きになる対象の性別はほとんど女性だったけど、好きだからといって「付き合う」っていうスタイルで一緒に時を過ごすというのは、よく分からなかった。というか、「告白」っていう儀式も不可解だったなぁ。告白をして断られたらもう友達としてそこらへん一緒に歩くのもできなくなるみたいな、「変な常識」もあるし、いきなり0か100かっていうのは、自然じゃないし合理的でもない気がして、「その仕組み良くないで」って思ってた。

それと、人を好きになった時には、「異性だから」とか「女性だから」といったカテゴリーで説明できないような特異な気持ちを感じることがある。確かに後から考えてみれば、好きになった相手は社会的なカテゴリーでは“異性”だし“女性”と言われるけど、それは後付けの説明であって、決して順序は逆転しない。なのに、「好きになったら、“異性”だった」という物事本来の発生の順序が、いつのまにか「“異性”だから好きになる、“異性”を好きになって当然だ、お前はどの“異性”が好きなのだ」という風に、カテゴリーが先に立つように転倒されてしまう。しかも社会がそれを押し付けてくるような感覚は、僕にとっては、不可思議だったし不愉快でもあった。

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ヒラマツマユコ

1992年、広島生まれ。2014年、京都造形芸術大学卒。都内在住。
2013年に子供を産んだが、未婚。というか非婚?
中学時代、不登校・引きこもり・鬱などを経て、17歳で高卒認定を取得。貯めに貯めた充電を使い大学時代はフル稼働。今は美術関係の仕事をしている。

@itomushi

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