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少女凌辱エロ漫画がなぜ女子に支持されるのか。「知るかバカうどんファン」インタビュー

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知るかバカうどん『ボコボコりんっ!』(一水社)

知るかバカうどん『ボコボコりんっ!』(一水社)

殴られ、蹴られ、犯される。可愛い女の子が血まみれになり、目も当てられないほど凌辱される漫画を描く女性漫画家の知るかバカうどん。初の単行本『ボコボコりんっ!』(一水社)は、品薄となり重版が決まったほどの人気だ。彼女が登壇するイベントの最前列には女性ファンが並び、Twitterでも登場人物のコスプレをする熱狂的な女性ファンの姿が見られるように、愛読者は男性に限らない。女の子が酷い目に遭う漫画とその作者は、なぜ女子に支持されているのか。2名のファンに、その理由をうかがった。

香菜さん(仮名)「怖いけど見たくなる。女性が安心できる凌辱エロ漫画」

──知るかバカうどん先生(以下、うどん先生)の漫画は、ジャンルとしては男性向けアダルト漫画です。女性である香菜さん(仮名)が、うどん先生を知ったきっかけは何でしたか?

香菜 インターネットで、少女の誘拐をテーマにしたクジラックス先生の漫画「ろりともだち」(単行本『ろりとぼくらの。』に収録)を知りました。当時、実際に誘拐事件があったので、なんだか気になって。その後、似たテーマの漫画を探していたらうどん先生の作品にたどり着きました。

──うどん先生の作品はエロだけでなく過激な暴力表現が特徴ですが、抵抗はありませんでしたか?

香菜 抵抗がないとは言えません。でも、暴力を振るわれる女の子側に、その子の背景があるところが好きでした。殴られてエッチなことをされるためだけに存在するのではなく、普段は部活を頑張っていたり、好きな男の子がいたり。ただの暴力コンテンツや凌辱エロ漫画とはちょっと違う印象です。それと、もともと後味の悪い「鬱展開」があるストーリーが好きなんです。怖い話やモヤッと終わるお話って、好奇心で気になっちゃうじゃないですか。うどん先生の漫画も好奇心の強い人がつい見ちゃうんじゃないでしょうか。エッチな気分になりたいというより、怖いものやヤバいもの見たさのほうが強い。

── 一番好きなお話はどれですか?

香菜 全部好きで、選べないんですけど……同人誌『JS★ボコボコりんっ!』のオヤジギャグとかが好きです。おじさんが女の子に「ぴーちくぱーちく五月蠅いねん いうても今、七月やけど」って言う(笑)。うどん先生の漫画って暴力やエロなのに笑っちゃうときがあります。

──2016年11月11日の高円寺でのトークイベントTwitterなどで、うどん先生も「暴力表現のあるアダルトビデオを見て笑ってしまう」とおっしゃっていますね。

香菜 女の子の顔面を酒の瓶で殴るとか流産目的で妊婦のお腹を蹴るとかは、現実の世界ではやってはいけないことです。だけど、うどん先生は「漫画の中でとことん酷いことをする」を突き詰めています。「悲惨すぎて抜けない(笑)」って言う男性もいるくらい。突き詰めすぎてギャグみたいになっている面と、安心できる面があると思います。

──うどん先生の漫画を読んで、安心するんですか?

香菜 はい。まず読み終わったあとに「これはフィクションだ」と思える安心です。読んでいる最中は、怖い、酷いという思いが強いし読後感も悪い。でも、「ここまで酷いことは、自分の身に起こったことがない。自分の人生はまだマシだ」と思って安心します。だから、つらい気持ちのときに安心したくてうどん先生の漫画を読むこともあります。

もう1つは「幼女・少女が『神聖なもの』として描かれていない」という安心感もあります。例えば、『おさんぽJKいちごちゃん』のJKリフレで働くいちごちゃん。いちごちゃんには好きな男の子がいて、リフレで働くのはその男の子のため。だからお客さんを大切に思えずバカにしている、という女の子側の感情的な背景が描かれます。現実にJKリフレで働いている子や援助交際をしている子なども、そういうことをしている時間だけがその子の全てじゃない。エロとは別の時間や人間関係を持つ女の子たちの「人間らしさ」がわかるのは、うどん先生ならではだと思います。

──アダルト漫画が好きだと言うと「エッチな子だ」と決めつける人もいると思います。そういう経験はありますか?

香菜 ありますね(笑)。うどん先生のファンだとTwitterに書いたら、男性から「君は、こういうことをされたいんだね^^」というリプライが来たこともあります。うどん先生の漫画の魅力は、暴力を振るわれたりレイプされたりする女の子が、最後までエッチで気持ちよくならないところ。「少女が『神聖なもの』として描かれない安心感」に近いですが、女の子は基本的には暴力・レイプなんてされたくないし、気持ちよくないと思います。うどん先生はそこを誤魔化しません。この人はちゃんと読んでないなーって笑っちゃいました。

──アダルト作品の中で女性の「人間らしさ」が描かれていることは、女性にとって魅力的ですか?

香菜 はい。表現方法は全く違いますが、女性向けAVを見るときの安心感にも似ています。男性向けAVのレイプシーンで女性が気持ちよくなる演出を見ると、男性のために作られた人形みたいで気持ち悪い。でも、女性向けAVでは、女性の感情の変化や性的な気持ちよさに配慮されています。うどん先生の作品の女の子にも感情があって、性暴力を嫌がり、痛がっている。どちらも「女性が感情ある人間として描かれている」のが共通点です。それは魅力だと思うし、私にとっては見やすいアダルトコンテンツ。世の中のアダルト作品が、どんどんそうなっていくといいのになって思っています。

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