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みうらじゅん原作・安斎肇監督映画『変態だ!』において、元ヅカ女優とAV女優それぞれの裸体が表現するもの

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みうらじゅん☓安齋肇の『変態だ!

 12月10日に公開された映画、『変態だ!』。企画・原作・脚本はみうらじゅん、監督は盟友の安斎肇が務めた同作は、ミュージシャンへの夢をあきらめきれない冴えないオトコと、その妻と愛人をとりまく愛憎劇で、過激な性描写で公開前から注目を浴びていた話題作です。

 シンガーソングライターの前野健太演じる主人公の妻役には、人気AV女優の白石茉莉奈が出演。愛人の薫子役は元宝塚歌劇団の男役スター、月船さららで、劇中のクライマックスである雪山でのSMセックスシーンを熱演しました。人間がとりつくろうことを捨ててその本質をむきだしにする場面を演じるとき、文字通りの裸をさらすことは作品にとって重要な要素。女優が脱ぐということについて、『変態だ!』をきっかけに改めて考えてみました。

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月船さらら(左)と、白石茉莉奈(右)

『変態だ!』の主人公は、愛情あふれるセックスを楽しんだあとに一緒にお風呂にはいるような、仲のよいかわいらしい妻がいて、さらに子どもにもめぐまれながらも、独身時代から続く薫子との関係が断ち切れずライブとウソをついてラブホテルで薫子とSMプレイにふけっています。ほぼ全編がモノクロの中、妻とのセックスシーンと、終盤に主人公の変態性に“凌駕”されてしまった薫子の場面のみがカラーで展開されます。

「清く正しく美しく」がモットーの宝塚出身の女優が、劇団卒業後に映画でヌードになることは決して珍しいことではありません。娘役トップスターだった黒木瞳が映画『失楽園』でヌードシーンを演じたことはよく知られており、深作欣二監督の『おもちゃ』で映画に主演デビューした宮本真希は、身請けされる舞妓役に文字通り裸で挑み同作で東京国際映画祭の最優秀女優賞を受賞しています。

脱ぎすぎるヅカOG!

 月船は、1996年に宝塚歌劇団に入団し、男役トップスター候補として主要な役に起用されてきましたが2005年に宝塚歌劇団を退団。直後に篠山紀信撮影のヌード写真集を出版し、天願大介監督「世界で一番美しい夜」ではフルヌードや貞操帯姿も披露するなど、宝塚関係者が「現役生へのイメージがあるからほどほどにして」とこぼすほどの脱ぎっぷりのよさで知られています。

 「作品の中で意味のあるものなら脱ぐことをいとわない覚悟」は、アイドル女優などが演技派への脱皮を図る際の典型的な決意とよくいわれます。月船は宝塚在団中、劇団からの大きな後押しは受けていましたが、決して演技巧者であるとはいえませんでした。ただ、自分のやりたいことや築きたいイメージを確固として持っており、演じたい役を自分で作ると公言して演劇ユニットを立ち上げるなど、41歳になった現在も常に成長を追い求めている女優です。

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フィナンシェ西沢

新聞記者、雑誌編集者を経て、現在はお気楽な腰掛け派遣OL兼フリーライター。映画と舞台のパンフレット収集が唯一の趣味。

@westzawa1121

宝塚OG style キレイの秘密 (e-MOOK)