こじらせアラサー女子を描いた『こんな私はだめですか』
――昨年は、こじらせた恋愛観や甘えられない女性など、アラサー女子をオムニバス作品『こんな私はだめですか』(祥伝社)を出されましたが、このアラサー女子たちのモデルはいらっしゃるんでしょうか。
シモダ 自分のパンツを嗅いで落ち着く女性が出てくるんですが、私自身、結構ニオイを嗅ぐのが好きで……あ、パンツは嗅がないんですけど。でも、自分の汗臭いシャツとかクンクン嗅いじゃうんですよね。別に悪いことしてるわけでもないけど、なんとなく人に言ったら引かれるのかな、っていう感覚は自分の中であったので“性癖”というテーマにして描きました。あ、彼がお風呂場でおしっこをするのを見て「変態!」とドン引きする女性のストーリーもありますが、友人の実体験です。彼氏とお風呂入ってたら、いきなりおしっこをしはじめたとことに対して「ありえないよね!」って。私の中では、何もおかしな話ではないと思ったので、その子には「ありえるよ!」って返したんですけど(笑)。
――性的な行動って極めてプライベートで、公に披露するものではないから、自分では普通の行為なのに、周りから見たら到底理解できない! という行動はたくさんあるんでしょうね。
シモダ たとえばその「お風呂でおしっこ」に関しては、私もお風呂でしますし。小さい頃、中学上がるまで、自分の家の庭でずっとおしっこしてたんですよ。だから外でおしっこすることも、そんなに抵抗はないんですよね。それで、20代後半の時に、友達とその友達の会社の同僚2人と山登りに行った時、トイレを我慢できなくなっちゃって。でも、近くにトイレはない。と悩んだんですが、以前勤めていたパート先の同僚のおばちゃんと山登りに行ったときに、「そこら辺でしなさい。水に溶けるティッシュだったら平気だから」と言われたのを思い出して。その時一緒に歩いてたのが若い男の子だったんですけど、「じゃ、私あっちでちょっとしてくるね!」って。
――ためらわず野ションに行ったシモダさんに、その若い男の子は?
シモダ 「え!? ここでするんですか?」って驚いてましたね。もちろん人が全然見えないところまで行くんですよ? でも、その反応を見て、外で用を足すことは“普通”ではないんだな、って思いましたね。
――7編のオムニバスですが、主人公すべて、わかりやすくハッピーエンド! というわけではないですよね。
シモダ そうなんですよ、わかりやすいハッピーエンド! というのがあまり好きじゃなくて。でも、どのストーリーを描くときも、最初と比べて主人公の気持ちが少しでも上を向いていたり、考え方が変わっていたり、必ずどこかで成長させてはいるんです。
――「認めない」「甘えない」「諦めない」「知らない」「期待しない」「受け入れない」「わからない」という、根深くこじらせ気味の「ない」アラサー女子たちの物語ですが、同世代の女性読者からの反応はありましたか?
シモダ 「甘えない私」の物語が1番人気だったみたいです。厳密にいうと、「甘えない」というか「甘えられない」女性なのかな。これは自分自身が疲れていた時に「ありきたりかなぁ?」と悩みながらも自分も「誰かに甘えたい、弱音吐きたい」と思いながら描いた話だったんですが。
――誰かに思い切り甘えたいけど、甘え方がわからなくなってしまったアラサー女子……、共感者は、たくさんいると思います。次に、最新作についても……12月7日に新刊『あしながおねえさん』(芳文社)が出版されました。
シモダ そうなんです、これも連載で書かせていただいていたものが単行本になりました。連載のときから、「家族で読める漫画を目指しているので“性”とかダイレクトなものは描かないでください」と言われていたこともあって、全く“性”のせの字もない(笑)。ヒューマン、ハートフルな作品な“家族”の物語は、はじめて書きました。一方で、また来年……週刊漫画ゴラクさんの方で連載している『女の解体新書』というものが単行本になる予定です。