知的かつ紳士。そして素敵な仕事人。もっと多くのステージで光が当たるべき人物――AV OPEN2016にて男優賞を受賞したベテランAV男優・田淵正浩さん(49)をご存知でしょうか。
田淵さんがデビューしたのは、22歳の大学3年生だった1990年1月。90年代といえば、加藤鷹さんやチョコボール向井さんなどの自己主張の強い人が一世を風靡していました。彼らと同期の田淵さんは、当時の自分を「いわゆる“ヘタレ”な男。体力もないし、意志もないし、だらしない。その辺にいるダメな人」と振り返ります。そして、「ビビリな自分が本業にできるとは思っていなかった」と。でも、どうして49歳になった今も20代の男優さんに負けないような、高いパフォーマンスを発揮できるのか――その理由は、先日発売されたAV監督・二村ヒトシさんとの共著 『秘技伝授 男ノ作法 人生と肉体を変革させる性交法則』(徳間書店)に詰まっていました。
そこで今回、同書を片手に田淵さん本人にインタビューを敢行! “AV業界屈指の健康マニア”と呼ばれる田淵さんの健康法に迫った前編、ベールに包まれたプライベートセックスを語ってくださった中編に続き、田淵さんの代名詞でもある粘着質なセックスに秘められたまさかの事実にもグイグイ迫ります!!
■前編
田淵正浩に直撃! 男優賞を受賞したベテラン男優が明かす「楽して効率良くセックスできる“健康法”」
■中編
「マインドフルネス・クンニ」とは? 女優人気NO.1のベテラン男優・田淵正浩のセックス論
シックスナインはやらなくて良い、ポルノパフォーマンスです
――同書では、田淵式の前戯や挿入について細かく説明されていましたが、昨今のAVにおいて必ずと言って良いほど組み込まれている「シックスナイン」についてはあまり言及されていませんでした。でも、シックスナインの体勢ってきついですし、舐めなきゃいけないのに舐められて忙しいし……“楽して効率の良い”でお馴染みの田淵式シックスナインの姿勢ってありますか?
田淵「それはよくわかんないです(笑)。そもそもシックスナインお好きな女性ってあまりいらっしゃらない。女優さんも止めてほしいって言うんですよ。『フェラに集中できない』『あれは男の大きな勘違いで、女性は舐めるんだったらずっと舐めてたいし、コチョコチョやられてたら気が散っちゃう』って。でも男たちはほとんど気付いてないんですよ、女性がそう思ってることを。これははっきり書いてください。シックスナインはやらなくて良い、ポルノパフォーマンスです。そういう男女のズレはまだまだありますよね。激しい手マンとか」
――ですよね。
田淵「あと、キスでも『ベチョベチョベチョベチョ、うぉおおおおお』みたいな荒々しいのが良いのって思ってる男もいるけど、女性は全然それを要求してないんです」
――してないですね。
田淵「ソフトな優しいキスで良いのに。AVが荒々しく描いてるからね」
――AVだとソフトキスではインパクトが薄いからなんですかね。
田淵「そうそう。プロレスと一緒です。本当の真剣勝負って見ていてわかりづらいけど、パフォーマンスとしてわかりやすく表現すると、どうしても無理矢理『はぁはぁはぁ』とか言ったりね。現実では『はぁはぁ』する必要ないんですよ、まったく」
――二村さんの言葉に「おちんちんはピストンするためじゃなくまんこの中を愛撫するためのもの」とあるんですけど、是非そうであってほしい。
田淵「そうですね。こういう話がいっぱい出てきて、ちょっとずつ若者の意識が変わってくると良いんですけどね」
――第一人者として田淵さんが啓蒙してください。
田淵「そうですね。プロの男優が言ったほうが良いですよね。『鼻呼吸でちんこの持続性を養い、骨盤の可動域を広げてガシガシピストンしない、田淵式側位で省エネ挿入で良いんだよ』『エコドライブだよ』と」
――女性もAV通りにするならば、かなりの音量で長時間喘がないといけないですけど、どんなに気持ち良くてもあんなに大きな声って演出しないと出ないと思っていて。
田淵「出ないですよ」
――小声で「あ~、気持ち良い~」くらいで良いと思うんですよ。
田淵「AVって監督の頭の中にある勝手な妄想を、女優を媒介として伝えているから、僕は監督の頭とセックスしてるのと一緒なんですよ。そう考えるとすごい気持ち悪いんです。他の男の脳を媒介してる女性としてるってことは、僕はこの男とセックスしてるのかい? って。でもそれを言っちゃうと勃たなくなっちゃうんで、考えないようにしてます」
――すごいホモソーシャルな現場だとは思いますね。
田淵「どうしても台本ありきですからね。横で監督が『もっと盛り上がって!』『はい、イクよ、イクよ、イクよ~!』って声出してますからね」
――その「イクよ」に合わせて男優さんが……。
田淵「『ああああああ!!!』って。それが現実です」
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