10月には主演映画『SCOOP!』が公開されたが、こちらも興業成績が振るわず惨敗状態。邦画界が活気づいていたにもかかわらず、である。同作は芸能スキャンダル専門のパパラッチに転身した凄腕カメラマンがド新人記者とのコンビ結成を機にスクープを連発するというサクセスストーリー。恋愛がメインテーマではなかったが、二階堂ふみとのラブシーンは用意されており、それ自体は必然性を伴うもので悪くはなかった。ただ、作品冒頭から(別の女優との)濃厚なセックスシーンを披露し、下ネタ全開、セクハラしまくりというゲス野郎を演じるということが大々的にプロモーションされ、「男の色気」を猛プッシュしたことが観客を遠ざけたのかもしれない。最終的な興収は10億に届かないと予想され、2013年公開で高評価を受けた主演作『そして父になる』の最終興収32億との差は大きい。
今年の不調を、「福山でも年齢には勝てなかった」「結婚によるファン離れ」と片づけることもできるが、どれだけ若くいようと努めても金太郎飴のように若さをキープすることなんてできないし、仕事だけに専念してプライベートを犠牲にする必要もない。福山とて不老不死ではないしイチ人間だ。問題は福山個人にあるのではなく、そのプロモーションだった。前出の『そして父になる』は方向転換するための絶好の機会であったが、またしても“イケメン路線”に走り、わざわざ「福山はカッコよくなくては」という固定観念を強化してしまった。今の福山に何が求められているのか、あらゆる関係者が見誤ってしまったのかもしれない。
ただ、ドラマや映画と比べると歌手業は順調だ。今年リリースされたベストアルバム『福の音』はオリコンランキングで初登場1位を獲得し、アルバムとシングルの総売上枚数は約2391.7万枚に。12月23日に開催されたライブ『福山☆冬の大感謝際 其の十五 野郎夜!! THE SECOND』はチケット販売開始当日に即完売するほどの人気ぶりであり、太いファンは離れてはいない。来年からは役者としても“現在”の福山を感じることができる作品に期待している。
(ボンゾ)
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