カルチャー

世間にガタガタいわれる筋合いはねえ! 最後まで「デカダンス」要素が見当たらなかった『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』/最終話レビュー

【この記事のキーワード】
『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(テレビ東京)公式サイトより

『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(テレビ東京)公式サイトより

 第4話から追ってきた『潜入捜査アイドル・刑事ダンス』(テレビ東京系)もいよいよ最終回となった。まずはこれまでのデカダンスの足跡を足早に振り返ってみよう。

 熱血ドラマ『漢!刑事泣き虫』に憧れ刑事となった辰屋すみれ(中村蒼)だったが、配属されたのは、表沙汰にできない芸能界の犯罪を暴く警視庁特殊芸能課。辰屋は芸能界の暗部に潜入するため、アイドルユニット「デカダンス」を、元詐欺師・黒澤裕也(大東俊介)、元子役・星輝男(森永悠希)、元ひきこもり・堺章吉(横浜流星)、バカ・出川てつや(立花裕大)と組むことになる。

 暗部に潜入するには、芸能界での地位を確立しなければならない。初めは乗り気でなかった辰屋だが、繰り返し襲い掛かる様々な苦難をメンバーと共に乗り越えることで、アイドルという仕事にやりがいを覚えるようになり、またメンバーとの結束も高まっていた。

 デカダンス最大の敵は、薬物の密売をしているという噂のある大手芸能事務所ライトニングボルト会長の神堂栄一(升毅)だった。神堂を逮捕することこそが、本ドラマの最終目標だと思われていた。だがそんな神堂も、ライトニングボルトお抱えの日本一のアイドルユニット・ファルコンとデカダンスの対決の最中であっさりと逮捕されてしまう。

 そんな中、警視庁特殊芸能課に所属するデカダンスのマネージャー・島崎進(野間口徹)は、デカダンスの周囲で不自然なまでに起こるトラブルをいぶかしみ、独自の調査を進めていた。そして、ユーヤの父親が『漢!刑事泣き虫』演じる吉光全(片岡鶴太郎)、神堂栄一、そして警視庁特殊芸能課長の篠原(近藤芳正)によって自殺に追い込まれていたことを知る。全ては、ユーヤによって仕組まれていたことなのだ。ユーヤは、芸能界でのし上がり、吉光、神堂、篠原への復讐を果たす機会を伺っていたのだ。

 そして前回、吉光の都知事就任パーティー直前に、ユーヤによる殺害計画に気が付いたデカダンスメンバーがそれを阻止するために奔走する。最終的に他のメンバーの作戦に気が付いたユーヤは、仲間を信じて、彼らに身を任せていた。小学生の頃から誓っていた復讐をメンバーに託すことが出来るほどに、デカダンスの絆は強くなっていたのだ。

 一件落着と思われたが、最後にユーヤが意味深なひと言をもらす。「俺はアイドル失格って事だな。憎しみのためにしたことは、罰を受けないといけない」。そして鳴り響く銃声。

 ここからが最終話だ。ユーヤが手に持つ拳銃は天井に向けられていた。ユーヤは、3カ月もの間、自分の復讐に協力してくれたお礼として、辰屋に自身を逮捕させようとしたのだ。辰屋は前話でユーヤに対して「逮捕なんてしたくなかった」と語っていた。躊躇しながらも刑事としての仕事をまっとうする辰屋。ユーヤは、一瞬だけ辰屋に笑いかけ、そして神妙な面持ちになる。

 「結果、何をしたんですか?」「浮気したんですか?」。都知事の逮捕に揺れるマスコミだったが、吉光の悪事よりも、よりゲスなことに興味があったようだ。質問を浴びせられた吉光は泣き出す。スターであり続け、そのためだけに裏社会と繋がってきた吉光は、それが所詮虚像でしかなかったことに気づいてしまったのだろう。

 都知事の裏社会との繋がり、そして警察内部の犯罪関与によって権威の失墜を恐れた永田町は報道規制を敷き、ユーヤの殺人計画だけが報道された。ユーヤの逮捕、5年の実刑判決によって、デカダンスは事実上解散する。

1 2 3

幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)