性的なものが表現されていても、エロいと感じるかどうかは人それぞれです。さらに、それで性的興奮を覚えるかも人によります。
春画ブームで盛り上がっている2014年末、関連するトークショーにいくつか行ったのですが、「春画は猥褻か」というテーマに対し、ある識者(どなたかは失念……)が「春画が描かれた時代と現代とでは“エロのコード”が違うので、今、これを見て興奮する人は少ない」といった主旨のことをお話されていました。たしかに春画で「エロいなぁ、いいなぁ」と感じても、それは性的興奮に直結するものではありません。アダルト動画やコミックを見たときに感じるようなムラムラは覚えないのです。
明言はされませんでしたが、法律で猥褻とは「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、しかも普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するもの」とされているので、ゆえに春画は猥褻ではない、という意味だと受け取りました。現代人でも春画で思いっきりハァハァする人がいないとはいいませんが、それは圧倒的に少数派だろうと私も思います。
ここのところ、自分自身の「エロのコード」について考えさせられることが立て続けにありました。
知らない外国語を聞いているよう
ストリップの世界では近年、「BLストリップ」という新ジャンルが登場しています。先日初めて鑑賞の機会があったのですが、私にはまったく無縁の世界だと感じました。女性の肉体でBLを表現するという、とても倒錯的かつ複雑なジャンルでファンも相当数いるようなのですが、私にはBLそのものに対してエロスやムラムラを感じるコードがないので、そのエロ圏内に入っていけないのです。
BLが一大市場であることは言うまでもなく、その宝の山を愉しめない自分をちょっと残念にも感じます。歴史が長いジャンルですから表現の幅も広く、ライトなものからハードなものまで、お好きな方にとってはよりどりみどり。おそらくストリップを観たことがない方でも、そのステージは萌えポイント、エロスポイントをいくつも見出すことができるのでしょう。けれど、BLジャンルにおけるエロのコードをまったく持ちあわせていないと、単純にどこで何を感じていいのかわからないのです。その良し悪しを評したいのではなく、知らない国の言語をひと言も聞き取れないのと同じ状況だということです。
その一方で、自分でも意外なところで「エロのコード」が反応した出来事がありました。これまで、性暴力や性犯罪を思わせる表現を見ても、私はそこにエロスを感じないしムラムラしないと思い込んでいました。なのに、ある作品を観たときに思わず心のチンコが反応してしまったのです。
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