連載

骨量低下、抑うつ症…副作用の強い薬を勧められ、医師への不信感が募る

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大和彩

病気なりに、健康に暮らす。

【前回までのあらすじ】
実家を出てひとり暮らしを始めた夢子は、子宮内膜症治療のための病院探しを本格的に開始する。しかし、3軒目に行った大学病院の分院では、持参したMRIをちらっと見ただけの医師に卵巣が腫れていると断言されるなど、納得できる病院にはなかなかめぐり合えないのであった。夢子が求める通院先の条件は、①ピルを処方してくれること、②子宮内膜症の治療に詳しいことだった。これまでにかかった3軒はいずれも該当しなかった。

*   *   *

 3軒目の大学病院の分院に話を戻すわね。わたしは医師じゃないからわからないけどさ、MRI画像って、ほんの0.何秒見ただけで読み取れるものなのかしらね? まさかとは思うけど、その病院の医師はどんなMRI画像であろうと「おっ、卵巣腫れてるねぇ!」といってたりして……? という疑念を夢子に抱かせる程度には、そこの待合室の雰囲気は暗かったし医師もいいかげんな雰囲気を醸していたのよ。

 だからロクな問診もせず、内診やその他検査も一切せずにリュープリンという薬を医師がすすめてきた時点で、ここにかかるのはやめようと夢子はきっぱり決めることができたの。

 そこの医師にまずこういわれたじゃない「リュープリンじゃなきゃ、子宮内膜症は治らないよ」って。

わたしが色んな本を読んで得た情報によると、それって嘘よぉ?まぁあくまでも個人的な見解ではあるけどさ。姉妹のみなさんにまず知ってほしいことなんだけど、子宮内膜症それ自体は、そもそも閉経するまでは完治することのない病気なの。リュープリンを使おうが、妊娠・出産しようが、月経があるかぎり再発する病気なのね。

子宮内膜症は、長くつき合っていく病気

 もちろん痛みや不正出血などの症状は治療によってマシになるわよ。ただ、子宮内膜症って、風邪が治るように根本的に治るもんじゃないの。そもそも子宮内膜症の原因はいろいろいわれているけど生まれつきの体質や現代のライフスタイルによってなる部分が大きいと言われているわ。今の医療では根治する方法すらないのよ。

 そんなことただの一般人の夢子でも本を読めばわかることなのに、「リュープリンという薬さえ使えば子宮内膜症は治る」ともとれる誤情報を、国家資格をもった医師が患者にいうだなんて、夢子にはショックだったわ。閉経するまで治らないと患者に告げたら衝撃が大きすぎるからいわないのかもしれないけど、再発することをいわずにリュープリンのような副作用の強いクスリを投与するなんて、逆に残酷じゃない?

「患者の知性を馬鹿にして舐めくさってるわぁ~」としか夢子には思えなかったわよね。

 リュープリンという薬は、脳の視床下部・下垂体に働きかけ、GnRHというホルモン(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)に作用することによって、女性ホルモンの分泌を止めちゃいます、という薬なの。

 リュープリンというのは、お薬の商品名ね。GnRHに作用する薬にはほかにもあって、スプレキュア・ナサニール・ゾラデックスなどがあるわ。

副作用が気がかり……

 通常なら月経前、脳の視床下部から下垂体にGnRHが送られて卵巣が刺激され、卵巣の中の卵子が成長を始めたり、女性ホルモンが分泌されるの。リュープリンを使うと、下垂体から卵巣への命令が出なくなるので、排卵と月経が止まるわ。これは体を閉経と同じ状態にするから「偽閉経療法」とも呼ばれるのね。

 子宮内膜症は月経のたびに症状が悪化していくの。偽閉経療法なら薬の作用で月経が止まるから、間接的に子宮内膜症の進行が止められる、という考え方なの。リュープリン自体が子宮内膜症を治すわけじゃないのよ。

 だけど、リュープリンをはじめとする偽閉経療法系の薬は、月経を止めるために女性ホルモンを止めるでしょ? 身体は閉経するのと同じ状態になるから、薬を使っているあいだに強い副作用が出るの。ほてりや多汗など更年期のような症状が出るのはもちろんのこと、血液検査や骨量検査をしないとわからないような深刻な副作用が多いのよ。たとえば骨量の減少(半年で約26%)でしょ。あとは、コレステロールがたまりやすい血管になったり、うつ状態になるんですって。

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大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

どうせ死ぬなら描いて死ぬ。<どうせ死ぬなら描いて死ぬ。> (コミックエッセイ)