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冷えとり健康法の震源地! トンデモ・ホリスティック情報誌「マーマーマガジン」を一挙プレイバック

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すべて山田ノジル、私物! ビジュアルはとてもいい雑誌です。

 靴下を510枚と重ねるほどに「足裏から毒が出る!」と謳う冷えとり健康法(過去記事もご参照くださいませ)を、世に広めたホリスティック情報誌『マーマーマガジン』。

 現在は2回のリニューアルを経て、詩とインタビューの雑誌へと変化を遂げたご様子です。そこで今回はリニューアル記念として、勝手にバックナンバーをプレイバックしていきましょう(つっこみポイントの少ない号はスキップさせていただいています)。さて、どんなトンデモが誌面を飾っていたでしょうか?

オシャレでメジャー感漂う創刊準備号/20082月発売

 服部みれい氏(後の冷えとりの女王)が編集長として制作のかじ取りをし、アパレル会社のフレームワークより販売がスタート(以下、第14号まではフレームワークス発行)。

 誌面では「murmurとは英語で風のざわめきやささやき声という意味。あたらしい時代に向けて、自然やからだの声ならぬ声にもっと耳をかたむけよう、そんな気持ちをこめて名付けました」と説明されていますが、この後始まる冷えとり布教展開には「まあまあ!」と驚くばかりです。

 この号では「愛する服」を有名人が語るグラビアへカヒミ・カリィや市川美和子といった文化系女子好みの有名人を起用したり、オーガニックコスメを紹介したりと、メジャー感漂う仕上がり。

さっそく飛ばし始める! ニューエイジエッセンスがほとばしる第2/20087月発売

 ナチュラルライフを提唱するアーティスト、アリシア・ベイ=ローレル氏インタビューにコミューンの話が出てきたり、フードコーディネーターによる料理企画のタイトルが「脱石油社会的食生活のすすめ」であったりと、消費社会に批判するニューエイジの雰囲気がさっそく現れはじめる第2号。

 ところで「自分で育てたものをつくる」=脱石油社会的食生活という設定のようですが、レシピに登場するガスコンロも市販の太白ごま油も、石油で動かす工場で作られているんですけどねえ。

カヒミのナチュラル語りが読める第3号/200811月発売

 注目は、創刊準備号にも登場したカヒミ・カリィのナチュラル語り。「喫煙者だったけど野草研究家の取材中にどんぐりの樹に抱き着いたら、吸いたくなくなった」という、妖怪に気を吸い取られたかのごとくエピソードは、ナチュラルに転ぼうと全盛期に発揮していた浮世離れした感性が顕在なのが伝わってきます。

 その他、マクロビ、『沈黙の春』※、ジャック・マイヨールなど、自然派が愛する定番キーワードが盛りだくさんです。小沢健二といいカヒミといい、渋谷系で活躍したミュージシャンといえば〈消費文化の申し子〉という印象であったのですが、その反動で自然派に転ぶんでしょうかね?

 コアなネタが登場する「マーマーガールズ座談会(以下、座談会)」のお題は、〈自然派の洗濯洗剤〉。合成洗剤を「微量とはいえ、皮膚に入る」と語る服部みれい氏、経費毒思想の持ち主であることをアピール開始です。一方、「刺繍講座」企画に登場した「会議中に軍パンに刺繍する」という練習法は脱力度が高く、このバカバカしさは嫌いじゃありません。

※1962年に出版された、米国の海洋生物学者・レイチェルカーソンの著書。農薬による環境汚染の問題を指摘し、世界に環境問題を問いかけたエポックメイキング的な作品として広く知られている

トンデモ度急上昇、控えめに冷えとり健康法が登場する第4号/20093月発売

 第1特集は、『沈黙の春』の著者、レイチェル・カーソンの研究者である上遠恵子氏インタビュー。服部みれい氏と一緒になって〈企業は悪!〉というイメージを植え付けるような陰謀論で盛り上がっております。

 激しいタイトルの料理企画「脱石油社会的食生活のすすめ」は、はやくも「有機的な料理の話」に変更。さすがに企業である出資元からつっこまれたのでしょうか?

 ファッショングラビアは素足にバレエシューズやサンダルを履いているので、まだまだノーマル路線かと思いきや、「東洋医学の健康法」というコーナーに冷えとり健康法が登場し、基本理論を解説。

「からだ全体で美しくなる話」なるコラムでは、ヘアメイクアーティストが「化学物質は子宮にたまりやすい」と語り、「美容師時代に化学物質配合の毛染めをしていた女性が脳の手術をしたとき、コールタール状のものがべったりとついていたと聞いたことがあります」と、まともな美容師さんが迷惑しそうなトンデモトークを披露。

 座談会のお題は布ナプキン。「PMSが楽になった」「紙ナプキンを使っていると生理に対してネガティブになる」「燃やすとダイオキシンが出る」など、現在も布ナプユーザーの間で定番化している使い捨てナプキン(紙ナプキン)をディスるネタが登場。布ナプキンを使うようになってから〈経血コントロール〉できるようになったと報告する女子に対し、別の女子が「昔の人みたい」と合いの手を打つのも、テンプレ通りです(何の話がわからない!という方は、こちらをご参照ください

冷えとりファッション」提案で、本気を見せてくる第5号/20097

 オシャレにスタイリングをした、靴下重ね履きファッショングラビアに力を入れてくる号。冷えとり布教開始号ともいえるでしょう。

 座談会は布ナプキン後篇。メンバーの妊娠報告に「よい生理は体をつくる」と盛り上がり、使い捨ての紙ナプキンを作っている企業に対しては「体のことを考えていない!」と叩きまくる、お約束展開です。

オーガニックと自己啓発の抱き合わせで、意識高い系雑誌になっていく第6号/20099

 第1特集はオーガニックデニムで、第2特集はアフォメーション※という構成は、社会意識高い系を目指しているのでしょうか? 「今、編集部のまわりでアフォメーションが大人気!」とカジュアルに紹介していますが、消費社会に疑問を投げかけ、自己啓発をしていく流れって、どんだけニューエイジにあこがれてるんだ。

 座談会のお題は〈下着〉。〈修行ブラ〉で有名になった龍多美子氏が話題にのぼり、ブレが全くないのはお見事。みれい氏発にて、〈塩ブラジャー〉も登場。

肯定的な自己宣言。引き寄せや自己啓発界隈で使われるメソッドのひとつ

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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