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表情は硬い、でも複雑な感情を読み取らせる浅野忠信の演技がスゴい。『A LIFE~愛しき人~』/第三話レビュー

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『A LIFE~愛しき人~』公式サイトより

『A LIFE~愛しき人~』公式サイトより

 木村拓哉が主演を務める『A LIFE~愛しき人~』(TBS系)の第三回が1月29日放送された。初回14.2%、第二回14.7%と好調な滑り出しで、本放送も13.9%と若干下がったもの高水準を保っている。

 これまでの放送では、病院の経営を優先する副院長・壇上壮大(浅野忠信)、羽村圭吾(及川光博)と、患者を第一と考える虎之助(柄本明)とその娘・深冬(竹内結子)、そして沖田一光(木村拓哉)という対立構造が明かされてきた。そして前回、今後その間で揺れ動くであろうと考えられていた井川颯太(松山ケンイチ)が、意外にも早く沖田側になることが示唆されたのは第二話のレビューで書いたとおりだ。

 育児のために当直に出られない小児科医の深冬は、周囲から自分の働きが0.5人前だと思われているのではと焦っていた。院長の娘であること、また夫であり、病院の経営を全面的に担っている副院長・壮大が病院を立て直すために小児外科の縮小を検討していることもあって、深冬は小児外科指導医の認定を受けて、小児外科・病院に貢献しようと考えていた。

 そんな中、夜になるとお腹が痛くなることがあるという女児が外来にやってくる。実家に娘を預けた夜にその症状が出るため、他の病院では心因性によるものだと診断されたと母親はいう。沖田とともに原因を探るうちに、腸捻転が起きている可能性に思い当たる深冬。二人は検査では確たることが言えないとして手術の検討を始めるが、そのとき一本の電話が虎之助のもとにかかってきた。相手は、小児外科治療学会のトップ・蒲生(越村公一)だ。女児は、かつてジャングルジムから落ちて怪我をした際に、蒲生の手術を受けていた。小児外科界のトップである蒲生と異なる診断をすることは、蒲生に喧嘩を売ることになる。壇上記念病院にとっても、そして小児科の指導医の認定を受けようと考えている深冬にとっても、蒲生との関係が悪化することは避けなければならない。「蒲生教授には逆らうな!」と逆上する父・虎之助の姿をみた深冬は手術を断念し、母娘に転院を勧める。

 当然、病院の都合で患者を見放すことを沖田は納得しない。「院長の娘として、“何よりも”小児外科を守らないといけない」という深冬に、「何よりも?」「手術できないなら、この病院をやめる」「この病院にいるのは、小児科を立て直すためでも、患者さんを見捨てるためでもない。目の前の患者を救うためだ」と声を荒げる沖田。「手術は諦めて欲しい」「俺は経営者でもあるんだ。お前にわからないものも背負っているんだよ」と説得する壮大の声にも沖田は耳を傾けない。沖田にとって大切なことは病院の事情ではなく、目の前の患者を救うことなのだ。愛人で秘書の榊原実梨(菜々緒)から「戦い方を変えたらどう」と入れ知恵をされた壮大は、深冬に切らせないことを条件に、女児の手術に賛成する。沖田を病院に残し、そして深冬を蒲生教授から守るための苦渋の決断だ(沖田の立場を危うくさせる意図もあったのかもしれない)。

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浅野忠信 (幻冬舎文庫)