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養育権を持たない親による誘拐も対象 「行方不明の子どもを探せ!」アンバーアラート

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Photo by Tony Webster from Flickr

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「●月●日、ニューヨーク市マンハッタン86丁目、エイミー・スミス(5歳)が行方不明。ピンクのシャツにジーンズ、白いスニーカー着用。成人男性に車で連れ去られた模様。車種は●●」

 アメリカでは時々、こんなテキストメッセージが届く。これは「アンバーアラート」という、子供の失踪を知らせる緊急メッセージだ。何者かに誘拐されたにせよ、迷って消息を断ったにせよ、捜索は時間との闘い。わずか数時間の遅れが命にかかわることもある。そこでなるべく速く広域に警告を出し、一般人の喚起を促す目的で行われている。

 アンバーアラートが始まったのは1996年。テキサス州で起こった当時9歳のアンバー・ヘイガーマンという少女の誘拐事件に端を発する。戸外で自転車に乗って遊んでいたアンバーが何者かに車に連れ込まれ、車はそのまま走り去ってしまった。その瞬間を目撃した近所の住人が警察に電話。現場にいたアンバーの兄が自宅に掛け戻って両親に通告。両親はFBIとメディアに電話し、近隣の住人も加わっての捜索が行われた。しかし4日後、無惨にも首を刺されたアンバーの遺体が小川で発見された。小川は誘拐された地点からわずか8kmの距離だった。事件から20年近く経った今も犯人は捕まっていない。

 アンバーが誘拐された時、地域全体に素早く情報を流せていれば誰かが二人に気付き、アンバーの命は助かったかもしれない。このことから子供の失踪・誘拐をラジオとテレビで緊急に流すシステムが考案され、亡きアンバーにちなんでアンバーアラートと名付けられた。後にテキストメッセージでも流されるようになり、今ではフェイスブック、グーグル、ツイッター、ヤフー!と連携し、アイフォン・アプリも出来ている。1980年代に牛乳の紙パックに行方不明児の顔写真が印刷されていたことを思うとITの登場がこうした分野にも貢献していることが再認識される。

 今年は1月の一カ月間に全米で17件のアンバーアラートが出されているが、ほとんどは発生当日か、遅くとも2~3日後までにアラート・キャンセルの通知が出ている。ただし、テキストメッセージには「アラートはキャンセルされました」としか記されないため、無事に見つかったのか、アンバーのように手遅れとなってしまったのかは事件発生エリアのローカル・ニュースを観なければ分からない。また、キャンセル後は氏名など子供の個人情報は削除される。

 上記17件のうち何件がアンバーアラートによって解決されたかは未詳だが、1996年のシステム開設以来、全米で計857人の子供がアンバーアラートによって救われたと公表されている。

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堂本かおる

ニューヨーク在住のフリーランスライター。米国およびNYのブラックカルチャー、マイノリティ文化、移民、教育、犯罪など社会事情専門。

サイト:http://www.nybct.com/

ブログ:ハーレム・ジャーナル

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