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家族を捨ててもいいし、会いたくないなら逃げていい。/『カルテット』第三話レビュー

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軽井沢から千葉までって何時間だろう(画像:『カルテット』公式サイトより)

軽井沢から千葉までって何時間だろう(画像:『カルテット』公式サイトより)

 今週はすずめ(満島ひかり)の過去と秘密が明かされるらしい、と楽しみだった『カルテット』(フジテレビ系)第三話。いざ放送がはじまると、冒頭からある程度明かされちゃった、すずめの過去です。

 千葉の総合病院に入院中の年老いた男性(高橋源一郎)は、何の病気か知りませんが余命わずか。姪にあたる女性(中村優子)とその息子で高校生くらいの少年(前田旺志朗)が見舞っています。「あいつ、いつ来んのかなあ」とこぼす老男性に、少年は「おじさん、娘に会いたいの?」と尋ね、おじさんは「そりゃあ会いたいさ」と。この男性、すずめの父親なのです。

 父親とすずめは20年以上音信不通と聞き、少年は「その子、Facebookとやっていないの?」と現代の若者らしい提案をし、インターネットで即検索。お節介なほどの行動力を見せ、物語を動かしていきます。

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魔法少女から、魔女へ

 すずめの過去。それは、“超能力少女”として一世を風靡していたこと。もちろん超能力なんてあるはずもなく、父親が娘を利用し「偽超能力」をでっち上げ、テレビ出演させていたのです。すずめは「魔法少女」と呼ばれ人気になりますが、週刊誌に「偽」であることを暴露されました。当然のごとく世間では大バッシングが巻き起こり、すずめは「魔女」呼ばわりされ、テレビ局の人は自殺。父親が詐欺罪で逮捕されたため、まだ10歳前後であったすずめは、親戚の家を転々とすることになります。母親は随分前に亡くなっていました。

 動画サイトには当時の映像があり、幼いすずめはトランプの数字を当て喝采を浴びていましたwakuwakudougaなるサイトにUPされていた動画タイトルは<【90年代動画集③】超能力少女すずめちゃん(TBB「驚きSHOW TIME」)>だとさ。2003年6月18日投稿って……こういうテレビ番組の動画は、UPされては削除され、UPされては削除されのイタチごっこが常なので、UP日は比較的最近にしたほうがリアルなんじゃないかと思いましたが。この動画、息子は女性がすずめについて説明するのを聞きながら、あっという間に見つけていました。ちなみにすずめ、現在は「世吹(せぶき)」を名乗っていますが、以前は「綿来(わたらい)」という苗字だったようです。

 場面変わって雪深い軽井沢の別荘。朝寝坊のすずめは、司(松田龍平)が自分にあてた書き置きを見つけてにんまり。第二話の最後に「愉高(高橋一生)じゃなくて司が好きなんでしょう」と推理した真紀(松たか子)、正解でした。

 ほかの全員が外出し、暖炉の灯る暖かい部屋で一人のびのびしているすずめの元に、ライブレストラン「ノクターン」のアルバイト店員・目が笑っていない美女の有朱(ありす/吉岡里帆)がやってきて、お店で使わないから、と『美人を育てる秋田米』を手渡しました。せっかくなので上がってもらい、ショートケーキとペットボトルのお茶でおもてなし。唐突に「デートしないのか、何で彼氏作らないのか」を問う有朱に、すずめは「告白とか苦手で」と言葉を濁しますが、有朱は「告白は子どもがするもの、大人は誘惑してください」とレクチャーしはじめます。「誘惑とは人間を捨て、猫、虎、雨に濡れた犬のいずれかになること」と冷静に力説する有朱から、すずめは「猫」のレクチャーを受けます(3番目に好きって言っていたもんね)。有朱の戦法では「布団に潜り込んで、はぁ~疲れちゃった→いつキスしてもおかしくないぞの距離を作るまでが女の仕事(顔同士の距離はペットボトル1本分をキープ)」。女からキスしたら男に恋は生まれません、とのこと。へえ……。

 そんな矢先、例の少年が、すずめを訪ねて「ノクターン」にやってきます。「カルテット・ドーナツホール」HPを見つけてここに辿り着いたようです。サーチは簡単でも、すぐ動いちゃう行動力はなかなかすごい。「あなたのお父さん、もうすぐ亡くなります」と単刀直入な少年は、父親が今日か明日亡くなってもおかしくない状態で娘(すずめ)に会いたいと待っている、だから今から僕と一緒に来てください、と呼びかけます。すずめはこれから仕事だと逃げ去りますが、動揺を隠せません。

 すずめは真紀の義母・境子(もたいまさこ)の指示で相変わらずリビングのテーブル裏にボイスレコーダー設置していましたが、洞察力に長けた女・真紀がテープ起こしの在宅ワークをするようになりボイスレコーダーを使用しているのを見て、慌てて片付けます。それがいいと思います。テーブルの裏って死角かもしれませんが、バレない保証はありません。今までバレずに済んできたのは運がよかったからではないでしょうか。ところで真紀の在宅ワーク、何らかのコネクションでもらった仕事かもしれませんが、もしクラウドワークス的なサイト経由だとしたら報酬、超安いのでは? 現役ライター的には余計な疑問がわきました。でも、真紀のタイピング速度、速いです。

 勘の良い真紀にいつバレるか気が気でないし、カルテットのメンバーと過ごすあの家は居心地が良く、ぶち壊しにしたくない。だからすずめは境子に「もうこういうのやめようかなあって」と切り出しましたが、境子は「ロッカーの鍵持ってんでしょう? お金欲しいんでしょう? 海が見えるところに移してあげたいんでしょう?」「あなたの経歴を見込んでお仕事頼んだの 今から行きます? みなさんにあなたの経歴を話しましょうか?」と脅し、報酬の入った封筒を握らせます。コインロッカーには大切な母親の遺骨が仕舞ってあり、「超能力詐欺」の経歴を誰にも知られたくないという弱みから、すずめは拒絶することができません。真紀の義母、怖いなあ。

 差出人が誰なのかは明らかにされませんが、その夜、カルテットのHPに掲載しているアドレスに一通のメールが届きました。メールには、件の動画(すずめが過去、超能力少女として出演している映像)のURLが添付されており、他の3人はスパムなんじゃないかと話し、まさかその少女がすずめだと気付いていない様子ですが、すずめの動揺は増幅するばかり。深夜、すずめが向かったのは司の部屋。ベッドに潜り込んで「猫」になり、ペットボトル1本分の距離を保ち、司を見つめます。戸惑う司は「どうしました? Wi-Fi繋がらないんですか? 部屋に虫的なもの出ました? ……お腹空いたんですね……(中略)」などと言って立ち上がろうとしますが、すずめは司にしがみつき、胸元に顔を押し付けます。猫云々ではなく、心細さに耐えられないのではないでしょうか。しかし司は戸惑いっぱなしで大した反応はせず、すずめ自ら司から離れ「すいません。Wi-Fi繋がらなくて……ごめんなさい急に、びっくりしましたよね。そういうことするつもりなかったんですけど」と誤魔化し、自室へ戻ります。そして翌朝の別荘に、すずめの姿はありませんでした。

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中崎亜衣

1987年生まれの未婚シングルマザー。お金はないけどしがらみもないのをいいことに、自由にゆる~く娘と暮らしている。90年代りぼん、邦画、小説、古着、カフェが好き。

@pinkmooncandy

バナナ&ストロベリー

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