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沖田(木村拓哉)よりも、壮大(浅野忠信)の行く末が気になる。最終回を控える『A LIFE~愛する人~』/第9話レビュー

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『A LIFE~愛する人~』公式サイトより

『A LIFE~愛する人~』公式サイトより

 今期ドラマの中で最も高い視聴率を記録している『A LIFE~愛する人~』(TBS系)の第9回放送視聴率は14.7%だった。平均視聴率は約14.4%で、次点の『東京タラレバ娘』(日本テレビ)がおよそ11.8%であることを考えても、今期で最も成功したドラマといえるだろう。

 次回放送が最終回となる『A LIFE』。まずは2人の主要人物を振り返ろう。

 主人公はシアトル帰りの腕利き医師・沖田一光(木村拓哉)。壇上記念病院の院長・壇上虎之助(柄本明)の手術をするため日本に一時帰国した後、元恋人で虎之助の娘・深冬(竹内結子)に脳腫瘍が見つかり、手術のためにシアトルへ帰らず壇上記念病院に留まることになる。患者のことをなにより優先する沖田は、それぞれの思惑に惑わされることなく自分の道を突き進んでいる。

 もうひとりは沖田の幼馴染で、深冬の夫である壮大(浅野忠信)だ。副院長の壮大は、病院建て直しを第一に考える人物で、経営方針の異なる院長とことあるごとに対立している。深冬を沖田から奪うため、陰で院長に沖田のシアトル行きを提案したのも壮大だ。厳しい父親に育てられ心にぽっかりと穴があいている壮大は、いまでも沖田と深冬が愛し合っているのではないかと不安を抱えている。自信のなさからくる、壮大の感情に従った行き当たりばったりな方針転換に周囲の人間が巻き込まれる。

 常にぶれない沖田と、自己中心的な壮大。ふたりは物語の終盤まで、表面的には対立していなかった。だが前回放送で、自身のシアトル行きを壮大が提案していたことを知った沖田は、壮大への不信感を膨らませていた。そんなとき、手術のために入院していた深冬の意識レベルが落ちたという連絡がふたりのもとに届き……第9回はこの続きから始まる。

 幸い大事には至らなかった深冬。だが腫瘍から出血したことで、オペの難易度はさらに上がってしまう。もっと早く手術方法を見つけていたら、と後悔する沖田。一方、これまで「家族のオペはできない」と深冬の手術を沖田に任せていた壮大が、父親の手術を成功させた沖田の姿をみて一転、「深冬は自分で切る」と言い出す。「手に入らないならいっそのこと失くしてしまえばいい」と、沖田と親しげにする深冬の手術が失敗することを願っているようですらあった壮大だが、深冬への愛情の深さを自分が手術することで証明しようとしているようだ。沖田を深冬の恩人にしたくないのかもしれない。

 そんな壮大のもとに、右目に腫瘍のできたとある大臣の手術依頼が届く。これは好機と、壮大はこれまで秘密裏に進めていた、壇上記念病院を提携先の桜坂中央病院に飲み込ませ、病院経営に口うるさい院長を黙らせるという策略を白紙にし、大臣の手術を前例のない方法で成功させることで病院の名声を築き上げる方針に変更する。壮大から桜坂中央病院に壇上記念病院を飲み込ませる計画を任せられていた第一外科部長の羽村圭吾(及川光博)は、「そんな話は聞いてない」と憤慨した表情を浮かべる。これまで散々壮大に利用されてきた羽村の不信感は、ここで決定的なものとなった。

 「大臣のオペがうまくいったら、深冬は俺が切る」。副院長室に呼び出した沖田に伝える壮大。「あれだけ家族は切れないと言っていたのは誰だよ」。納得行かない沖田は言い返すが、父親の手術で一度ミスをしていることを指摘されると反論できなくなってしまう。「お前はシアトルに帰ってくれていいから」。

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TBS系 日曜劇場「A LIFE~愛しき人~」オリジナル・サウンドトラック