連載

副作用ばかりが取り沙汰される「ピル」について、子宮内膜症患者が思うこと

【この記事のキーワード】
大和彩

病気なりに、健康に暮らす。

【前回までのあらすじ】
子宮内膜症治療のための病院探しを本格的に開始した夢子は、訪れた4軒の病院でいわれることが全部食い違っていたので驚いているところなの。

*   *   *

「卵巣、腫れてませんね」といった医師のいる、4軒目の都会の大学病院での話に戻るわね。ていねいにMRIを見てくれたあと、エコー検査を(肛門から)行ったんだけど、その結果はやはり「卵巣は腫れてない」だったわ。

「先々週、別の病院さんでエコーをしたときは『卵巣が腫れている』ということだったんですが……いまは腫れてないのでしょうか?」

 夢子が半信半疑でそう聞くと、医師は穏やかにこう答えたわ。

「そのときは排卵直後で腫れていただけだったんじゃないですかね。卵巣は腫れたりしぼんだりをくり返しますから」
「じゃあ、私の卵巣はチョコレート嚢胞ではない……?」
「チョコレート嚢胞はないですね」

 医師はそういい切ったの。ここ数週間、1軒目と3軒目の病院でいわれたとおり自分がチョコレート嚢胞だと信じ込んでいた夢子は狐につままれた気分だったわ。

(あっぶねぇ~! 3軒目の病院で『卵巣が腫れてるからリュープリン投与しよう』っていわれたのを鵜呑みにしなくて、ほんとうによかったぁ~! 行く病院によって診断がここまで違うって、こええええ!)

 この医師によるMRIとエコーの見解は信頼できそうだと思ったけれど、夢子にはまだ確認しなきゃいけないことがあったの。恐る恐る、こう尋ねたわ。

「あのぅ、治療はどのようになるでしょうか」
「ピルを処方しますから。それで様子みましょう。また3カ月後に来てください」

あっけなく、ピルが処方された

 夢子は再度、拍子抜けする気持ちだったわ。ピルの処方は、1軒目の病院では医師と険悪な攻防戦の末ようやく勝ち取ったし、2軒目と3軒目ではピルのピの字すら出てこなかったじゃない。それがこんなにあっけなく、しかも医師のご機嫌を損ねることもないままに処方してもらえるなんて!!

 うれしさと安堵で身体が少しゆるむのを感じて、夢子は逆に自分がいかにガチガチに緊張していたか気づいたわ。最後に夢子はこう問うたの。

「ところで、私は子宮内膜症、という認識でよいのでしょうか?」
「ん、内膜症『疑い』、ね」

 軽々しく「あなたは子宮内膜症だ!」と断言しない医師に夢子はますます信頼感を持ったわ。そして決めたの。

「この人のことは、漢字で『先生』と呼ぼう!」

 これは夢子なりの通院のコツらしいのよ。「先生」っていう尊称は、自分にとって特別な存在の人という敬意をこめて使うものでしょ。医師や教師はあくまでもお仕事。その職業を担っている人が自分にとっての「先生」がどうかは別、と夢子は思ってるの。「先生」っていう言葉はさ、『スターウォーズ』のヨーダのような人のために大切にとってあるんですって。

1 2 3

大和彩

米国の大学と美大を卒業後、日本で会社員に。しかし会社の倒産やリストラなどで次々職を失い貧困に陥いる。その状況をリアルタイムで発信したブログがきっかけとなり2013年6月より「messy」にて執筆活動を始める。著書『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』。現在はうつ、子宮内膜症、腫瘍、腰痛など闘病中。好きな食べ物は、熱いお茶。

『失職女子。 ~私がリストラされてから、生活保護を受給するまで(WAVE出版)』

anan SPECIAL 女性の不調・お悩み解決BOOK (マガジンハウスムック an・an SPECIAL)