視聴率上昇の兆しがないまま最終話目前にきたフジテレビ月9ドラマ『突然ですが、明日結婚します』。第六話で月9史上最低視聴率の5.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録し、第七話は6.4%、そして3月13日放送の第八話は6.1%でした。テレビ局としては数字の回復が至上命題、というわけで4月クールは嵐、7月クールは山Pとガッキーで『コード・ブルー』復活と、恋愛ドラマからはしばらく遠ざかりそうですね。でも、恋愛結婚をテーマに据えてここまでやってきた『あすこん』は、最後までその路線でいくしかない。ブレずに当初の予定通りに展開を進めている印象でした。序盤で反発しあい、中盤でラブラブ、終盤ですれ違って破局、最終回で……というセオリーに則っています。『東京ラブストーリー』みたいに、好き合っていたけどくっつかなかった、なんてラストにはならないのでしょうね。
▼flumpoolが棒じゃない!意外と期待できそうな月9恋愛ドラマ『突然ですが、明日結婚します』/第一話レビュー
▼早くも視聴率爆死! 結婚願望ガン無視で「会いたい」と迫る男、逃げ切れない女/『突然ですが、明日結婚します』第二話レビュー
▼友達の家のリビングでエッチするってアリなのか?/『突然ですが、明日結婚します』第三話レビュー
▼みどころがない、興味がない!? 6.6%で最低視聴率を更新/『突然ですが、明日結婚します』第四話レビュー
▼また最低視聴率更新、人物描写が薄すぎて魅力伝わらず!/『突然ですが、明日結婚します』第五話レビュー
▼視聴率5%に安堵、視聴者は「呪いの結婚観」からの解放進んでいる?/『突然ですが、明日結婚します』第六話レビュー
▼「男が女を幸せにする・守る」的価値観が非常にサムい/『突然ですが、明日結婚します』第七話レビュー
■高梨あすか/西内まりや
大手の都市銀行・いずみ銀行の法人営業部で働く優秀な会社員。仕事熱心で努力を怠らず、金融情報に詳しい。母のような優しく温かく家族を支える女性になりたいと思っている。恋する相手と結婚して専業主婦になることが夢。名波と交際開始。
■名波竜(ナナリュー)/flumpool山村隆太
朝の情報番組で司会を務めるテレビ局アナウンサー。イケメンで主婦層人気が高い。過去に女優・桜木夕子と不倫していた「結婚したくない男」。あすかの先輩・小野の住む豪華マンションに居候中。あすかに惚れて告白、交際開始。
■神谷/山崎育三郎
あすかが勤める銀行の系列・いずみ証券のエース営業マン。名波の勤務するテレビ局で経済番組に出演することになる。第二話で突然あすかにプロポーズ、断られてもアプローチを続ける。イケメンで仕事もデキる男という設定。
■桜木夕子/高岡早紀
人気女優。既婚。かつて新人時代の名波と不倫関係になった。ゲストを招いてプレミアムなトークを引き出す新番組『ココロシアター』の司会を名波とペアですることになり、久々に再会。夫はゲス不倫で家から出て行ってしまった。
そういうの、自己中って言うよ
楽しい同棲生活が、マスコミ報道によって地獄に変わってしまった名波とあすか。名波は一人で悶々とし、考えを巡らせます。前回指摘したんですが、あすかと名波、LINEも電話も使わなさすぎ~。
・マスコミにあすかが追い掛け回された →俺なんかと付き合ってるせいだ
・不祥事によってモスクワ支社行きを言い渡された →あすかはキャリアを捨ててついてきたがるだろうな
・でも俺は結婚したくない
結論:これ以上、あすかに迷惑をかけられない。よし、別れよう!
ということで、勝手に結論を導き、別れを切り出しました。
「キライになったわけじゃない」と言いながら「ひとりになりたい。俺には無理なんだよ」と一方的に関係解消を突きつけ、話し合いの余地すらない名波。ひどくないですか? そこは話しましょうよ。いや、話し合いして落ち着いちゃったら、この先の展開が続かないってことなんですかね。『逃げ恥』だったら絶対話し合ってますけど。あのドラマはそういうところが支持されてたと思うんですけど。大抵の恋愛ドラマって、このような形で登場人物にイラッとさせられるんですよね……。
このことを友人たちにも打ち明けられず、あすかは落ち込みながらも仕事に精を出します。が、追い討ちをかけるように名波は桜木夕子を“あすかとの愛の巣”であるはずの家(って小野の親の持ち家だろ……)に呼び、あすかの目の前でイチャイチャ。あすかにワザと嫌われて、自分が悪者になって別れようっていう作戦です。傷口に塩を塗りこむような真似するより、話し合おうYO……! そのうえ名波は、モスクワ行きをあすかに内緒にしたままで、神谷に「僕にはあすかを幸せにできない。あすかをお願いします」と託しちゃいます。さすがに神谷も「高梨さんの気持ちはどうなるの」と真っ当なことを(初めてじゃないですか?)言うのですが、名波は「それがあすかのためなんです」と取り合わず。相手のことを思いやってるフリして自分のイメージだけで物事をすすめる奴~やだやだ~。
疑問なんですけど、「自分はこうこうこうだから、こうするのが良いと思ってます。あなたはどうですか?」と説明&伺うっていう、それだけのことがどうして出来ないんでしょうか。ドラマ的には難易度高い行動なんでしょうか。モスクワへ行く名波との別れを惜しんで号泣するヘアメイク担当のキンちゃん(加藤諒)には、「すぐ戻ってくるよ。待ってて」と優しい言葉をかけることが出来るのに。そこに何も自分発信の特別な感情がないから、優しく出来るんでしょうね。
そんな名波にズバッと「バッカじゃないの。カッコつけちゃって」と突きつけたのは結局、高岡早紀演じる魔性の既婚女優・桜木夕子でした(夕子を再び好きになったりはしなかったんですね、名波)。
夕子は「前は自分の気持ちにまっすぐだったのに。どうしようもない大人になったのねえ」「少なくとも私は、自分の気持ちに嘘ついたことないよ」と優雅に畳み掛けます。「彼女にモスクワ行くこと伝えたの? それが理由なら、どうして伝えてあげないの。優しさを履き違えてるんじゃない?」。
名波「言ったら、あすかはきっと仕事を辞めてついてくる。でも俺には結婚する自信がない」
夕子「そんなのひとりよがりよ」
夕子姐さんの厳しい言葉に、名波は考えを改めるのでしょうか?
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