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「普通」から置いてけぼりにされる寂しさを抱えて/紗倉まな『凹凸』書評

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どうかよろしくお願いいたします(ぺこり)

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 平成27年4月に厚生労働省が発表した「シングルマザー世帯数」は123.8万世帯(平成24年度調べ)。昭和63年は84.9万世帯だったことを見ると、25年間で1.5倍に増加している。

 現役AV女優・紗倉まな(23)の両親も、彼女が15歳の時に離婚した。幼い頃から夫婦喧嘩の絶えない家庭で、ある日、父親が『好きな人ができた』と家を出て行ったそう。ちなみに彼女は、夫婦喧嘩を止めるべく父親の携帯をへし折っている。その後は、「女」として生きる祖母と、「母」として生きる母親のもとで育てられた。そんな彼女が、3月18日に「父性」にスポットを当て、自身の体験に基づいた長編小説『凹凸(おうとつ)』(KADOKAWA)を上梓。

 messy宛に「カバーはとても可愛らしいのですが、中身はちょっとダークです。本屋さんで見つけたら、良かったらぜひ、お手に取っていただけると嬉しいです♪ どうかよろしくお願いいたします(ぺこり)」なんてポップなコメントをくれたのだが、本書が暴こうとしている闇の深さはちょっとどころじゃない。しかし、不思議と「本を閉じたい」という感情は沸かなかった。目を背けられない、というべきか。そして、読み終わった時には「彼女の何が『凹凸』を書かせたのか」という心配にも近い感情が溢れ出した。すぐさま彼女に本書を執筆した所以を聞いてみると、これまで自身が抱いてきた“家族の違和感”を明かしてくれた。

紗倉「普通の家庭、というのはそもそもどのようなことを指すのだろうと思いながら生きてきました。普通のお母さんと普通のお父さんに育てられれば、普通の家庭になるのかな。そうしたら自分も普通の娘になるのかな。そもそも普通ってなんなのだろう、と。

もし、自分たちの価値観や感覚を世間一般に合わせて生きていくことが正解なのだとしたら、同じ屋根の下にいる人間たちは足並みを揃え、小さな幸せも体いっぱいに感じながら生きていくのが一番素晴らしいことなのだとしたら、私の家庭は少しだけずれていたのかもしれません。そうした違和感を覚えながら育ち、二十年以上の時を経て今の私に至るわけですが、きっとこうした『置いてけぼりにされているような寂しさ』を感じながら生きている人はたくさんいらっしゃるのではないかな、と思うようになりました。物語は架空の話ですが、少し手を伸ばしただけで触れてしまいそうなくらいの近さにある日常の話を書き綴ってみたい。そのような思いで筆をとりました」

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