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人はなぜトンデモにはまるのか? 科学者がその裏にある“修行感”を指摘

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科学実験酒場にて、菊池誠先生と記念撮影。山田ノジル(鳩)が手にしているのは、愛読書である先生の著書『科学と神秘のあいだ』(筑摩書房)です。

 今年2月に発売された、『信じちゃいけない身のまわりのカガク あなたはそれで、本当に健康になれますか?』(立東舎)では、当連載でもご紹介しているデトックス有機栽培(オーガニック)水素水などのほか、ゲルマローラーマイナスイオン、禁煙、脳トレ、放射能etc…〈健康〉に影響を与えるとされる物件が勢ぞろい。ボケとツッコミで面白おかしく、「効果効能は本当か!?」という真相にせまっています。

「根拠のない商品に騙されたくない!」と思っている人が護身のために読むもよし、トンデモウォッチャーが答え合わせ的に読むもよし、おそらく当連載の読者なら〈ど真ん中〉と言える内容でしょう。4月には、東京五反田の科学実験酒場(Facebook「科学実験酒場 友の会」ご参照)にて、同書の発売記念トークイベントが行われ、著者のひとりである大阪大学教授の菊池誠先生が登壇。messy班も駆けつけ、こういったトンデモ物件にハマってしまうのはなぜか? というしくみについてお話を伺ってみることに。

菊池誠先生(以下、菊池)「科学的根拠のない、いわゆる〈トンデモ〉にハマる人には、2層あると思うんですよね。ひとつは修行感がキーワードになるコア層。もうひとつは〈よくわからないけど、よりいいなら〉というレベルで選択しているカジュアル層です。

 水素水マクロビオティックなどが好きな人たちのほとんどは〈カジュアル層〉でしょう。具体的に何がどう健康にいいのか聞かれても答えられないレベルで、〈なんとなく健康に良さそう〉とファッション的に楽しんでいる。マクロビオティックなんかは、昨今マクロビと略されているところからして、カジュアルですよね。週末だけ実践するとか、たまにマクロビレストランに行くとかで、ゆるく楽しんだり普通だと満足できないという人たちに対する付加価値として使われたりするぶんには、体に害もないし悪いことではない。でもやはり、〈すそ野を広める役割〉は果たすわけです。そうして広がっていけば、少数とはいえその中から加速してコア層へいく人も必ず出てきます」

「人の上を行きたい」願望からコア層に

 カジュアル層を入り口にコア層へ転ぶきっかけは、愛好者同士の「自分のほうがよりレベルが高い」というマウンティングが動機となるケースも少なくないはず。そのマウンティングで優位にたつためのアイテムとしても、〈修行感〉はバッチリ役立ちそう。また、周りより上へ行きたいという気持ちを利用するには、目新しさもポイントになるようです。

菊池ジェムリンガ(膣に挿入して使うヒーリングジュエリー)などは、パワーストーンの流れで、ニューエイジからくる発想ですよね。信じて使っている人たちはその言葉も知らずにやっているのでしょうが、要は昔からあるもの。でもそこにやっぱり目新しさがないといけないんですかね。パワーストーンをブレスレットやネックレスとして身につけてもまだまだ物足りない、どうせなら体に取り入れたい……そんな流れで、体内に入れる場所は基本3か所くらいしかありませんので、ということなんじゃないでしょうか」

 パワーストーン? うん、いいよね。皆好きだよね。でも、私は(膣に)挿入してますけど(ドヤァ)? みたいな謎のマウンティング、確かにありそうです。

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山田ノジル

自然派、エコ、オーガニック、ホリスティック、○○セラピー、お話会。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のないトンデモ健康法をウォッチング中。当サイトmessyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」を元にした書籍を、来春発行予定。

twitter:@YamadaNojiru

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