虐待しているようにしか見えなくて、気持ち悪かった
――それにしても、「エロに興味があったわけではない」のにアダルト業界でAV監督、という以前に、にしくんが2015年の「第1回全日本クンニ選手権」で優勝したという情報があるんですが、これは一体……? 人前でクンニしたんですか?
にしくん いきなり話が変わった(笑)。
――日本一クンニが上手い男の称号を手にしちゃってますよね(笑)、どういうことです?
にしくん あれは本当にノリだったんですよ! AV男優の田淵正浩さんがクラブイベントをやった時に、イベントスタッフとしてお手伝いしに行ったんです。その時に出会った人が「クンニ選手権」のイベントページをシェアしていて、「こんなのあるよ、にしくん出てみる?」という流れで、軽い気持ちで参加したんですよ。当日、会場に着いたらガチで目の前でクンニをしてるし、されてるし、ビックリしたけど来ちゃったもんはしょうがない、ま、いっか! って挑みました。
――クンニ勝負はどのようにジャッジをつけてるんでしょう。
にしくん 競技場では女性がM字開脚で3列に並んでいて。トーナメント方式なので、対戦する2名が交代で1人の女性をクンニして、クンニされた女性にどちらが良かったかを選んでもらうんです。選ばれた方が勝ち進むという流れで……なぜか勝ち上がってしまっただけです。
――なぜかって。舌技に自信があったんですか?
にしくん そもそもクンニの経験がなかったです。
――ビギナーズラックですか! それはつまり童貞だったのですか?
にしくん 童貞……ではなかった。でもクンニは、もちろん行為としては知っていたけど、わざわざしたことがなかったというか。性の目覚めも僕、遅かったですよ。
――何歳くらいですか?
にしくん どちらかというとエッチなことを喜ぶというよりも、気持ち悪い・怖いって思ってました。男子校だったんで、教室でも廊下でも下ネタは飛び交ってたし、先生も堂々と授業中に猥談を話すようなオープンな環境でした。だから「男としてエロ好きなのが当たり前のことなんだ」って納得するしかなかったけれど、「でも僕は気持ち悪くて受け入れられない」っていう思いもあって、葛藤がありましたね。
――「気持ち悪い」というのは、女性器が?
にしくん いえいえ、もう、その行為が。今でも覚えているんですけど、中学1年生の頃、同級生が「AVって知ってる?」って、ネットで検索した画像を見せてきたんですね。それがフェラ画像だったんですが、僕にはそれが、女性を虐待してるようにしか見えなかった。チンコを口に入れるなんて気持ち悪い行為にしか見えなかったけど、周りは興奮してるし……。葛藤してたけど、どこで受け入れたのかな……今は気持ち悪いとは別に、思っていないです。
――二村ヒトシさんや森林原人さんも男子校出身者ですが、エロに詳しいと学校の同性から人気者になれるとおっしゃってました。
にしくん 僕はそういったことは避けて、ひとりで端っこでご飯食べて、勉強してましたね。
――性行為を気持ち悪いと思っていた中学生の時はオナニーもしなかったですか?
にしくん まだその行為をちゃんと理解してなかったと思いますけど、中学2年生が最初ですね。射精しなかったから覚えています。3年生くらいから、精液が出るようになった。それから、毎日オナニーをしてるような時期もありましたけど、今は週1~2の頻度で。性欲がそんなに強くない感じはしますね。
――インドア派でゲーム好きでエロ嫌いだった中学時代を終えて、高校進学と同時にいきなり外の世界に出て行ったんですよね。そこで価値観というか、セックス観に変化があったのでしょうか。
にしくん いきなりというよりは、徐々に……ですかね。色々と見聞きして知識が増えて、慣れたのか気持ち悪いという感情も減って。ただ、男子校ゆえに、女性とのコミュニケーションが上手にできなかったし、関わることも少なかったと思います。
――恋愛は苦手でした?
にしくん 幼稚園の頃が初恋になるとすれば、好きな女の子はいたし、その子とはよく遊んでました。高校のときも、好きな子は出来たけどうまくいかず。その時に、本当に好きなのか、ただエロい事がしてみたいだけなのか、どっちなんだろうって、また葛藤。で結局、高校のときは経験してないですね。