インタビュー

49歳、10年以上セックスレス。夫は「自分からセックスは求めない」のポリシーを曲げない

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更年期

向き合います。更年期世代の生と性

いまから16年前、同じ会社に勤務していた7歳年下の夫と結婚。現在は15歳の長女と10歳の長男の母である専業主婦の万理乃さん(49)。

金融関係の会社に勤務する夫は結婚後すぐに神戸から山口県に転勤となり、万理乃さんも夫と共に転勤先へ。その後、新潟、東京都内を経て、現在は実家のある神戸で両親が建て替えてくれた二世帯住宅に住んでいる。ただし夫は京都で単身赴任中だ。

長い<転勤族の妻>生活を終えて、幼い頃から住み慣れた街に戻ってきた万理乃さん。長女は目指していた希望の私立中学に合格し、二世帯住宅の間取りやインテリアはすべて自分好みに整えた。傍から見ると何不自由のない羨ましがられそうな生活に思え、羨ましがられるような理想的な主婦の暮らしだが……。

彼女は「自分はお金を稼ぐこともできない」「子供を育ててるといっても、特に立派なわけでもない普通の子供」と焦燥感を感じることがあるのだという。

子宮がんになるんじゃないか――。その不安を払拭するために子宮を摘出

――昨年、子宮筋腫摘出の手術とともに子宮も摘出されたとおうかがいしています。

「はい。6年ぐらいまえから子宮筋腫はあったんですけれど、急に大きくなって。子宮筋腫を摘出する際に同時に子宮も摘出しました」

――お医者様は「子宮も摘出しましょう」と、有無を言わさない感じだったのでしょうか。

「いいえ。筋腫だけを取り除くことも可能と言われたんですけど『出産も終わっているし、子宮がん予防のためにも子宮ごと摘出したら?』というお話があったので同意しました」

――予防医学、最近で言うとアンジェリーナ・ジョリー的な選択、でしょうか。

「そうです。健康面を第一に考えて決断しました。もう子供を産むことはない。セックスもこの先することもないだろうし、子宮はなくっても別にいいかなって」

――子宮がなくってもセックスはできますけれど……。

「もちろんそうなんですけど、私の気持ちの問題というか。子宮がなくなるとセックス時に濡れにくくなったりするのかもしれないな、と考えたんですね、一瞬。医学的にそういうことはないと後でちゃんとわかりましたけど。でもうちの場合、下の子ができてから、一度も旦那さんとはセックスしてませんし。ましてほかの人といまさらするわけでもあるまいし。たとえ濡れにくくなったところで関係ない、ならもう子宮はいらないなと」

――ということは、10年以上セックスレスということになりますね。

「そうです。上の女の子を産んだあとに、私がまったくセックスに興味がなくなってしまったので。子供にしか目がいかなくなり、長女出産後もずっとセックスレスでした。でもどうしてももうひとり子供が欲しくなったので、完全に子作りのためだけにセックスしたんです。下の子を授かってからは一切ないです」

――それで、子宮摘出をお医者様から提案されたときも、ためらいはなかったと。

「ええ、まったく。あの、実はうちの母親が子宮がんを患ってまして。いまは元気なんですけれど。でもやっぱりそれは私の中でずっと気にかかっていることなんですね。子宮がんは遺伝しないと言われているようですが……私も子宮がんになるかもしれない、そんな不安を払拭するためにも摘出を決めました」

――子宮を摘出したのでもう生理はないと思うのですが、いま現在はなにか体調のことで悩みなどありますか? 年齢的にはもう更年期でいらっしゃいますが……。

「子宮をとってから1年後ぐらいかなぁ、体調が悪いなって思うようになりました。49歳の誕生日を迎えてすぐの頃です。卵巣を残せば更年期はすぐにこない、体の(ホルモン)バランスは崩れないってお医者様から言われていたんですけれど……」

――手術直後に体調に大きな変化はありましたか?

「いいえ、まったく。それまで量が多くて貧血の原因になっていた生理がなくなったことで、術後は以前よりも体調はよくなったと感じていたぐらいなんです。それが49歳で急激に変化しました」

――具体的にはどんな症状があったんでしょうか。

「最初に感じたのは、顔のほてりです。ホットフラッシュの症状とはまたちょっと違って。汗をかくわけではないんです。ただただのぼせるというか」

――周囲の人が見てもわかるぐらいに、顔が赤くなっちゃう?

「ひとめでわかります。顔が真っ赤になってますから。ほてりのほかには……なんて言ったらいいんだろう……上手く伝わるかどうかわからないんですけど。全身の血がサワサワとして気持ちが悪くなるんです。加圧トレーニングで、バンドを外した瞬間に血がサーっと流れる感覚があるんですけれど、あれに少し似てるかな。とにかくその全身サワサワが始まると精神的に落ち込んじゃって」

――精神的に落ち込むというのは……?

「体調が悪くなって出かけた先で倒れたりしたらどうしようって、不安になるんです。そのせいで、どこにも出かけたくなくなるというか。サワサワが始まると、座り込んで一点見つめてじっとしちゃうんですよ。でもハッと気がついて『こんなことしてられないから頑張らないと』って自分を奮い立たせて動くようにしています」

――なるほど。お医者様には行かれました?

「行きました。まず更年期かどうかをチェックしてもらおうと婦人科に。血液検査したんですけど、お医者さまの判断ではまだ更年期ではないと」

――う~ん、一般的には45歳から55歳からは更年期世代なので、更年期ではないという言い方は少し乱暴な気がしますが。更年期でないと言われると、ほかになにか悪いところがあるんじゃないか、他の科に行ったほうがいいんじゃないかとなりませんでしたか。

「心療内科に行ったほうがいいのなってちょっと考えたりもしましたが、薬漬けになってしまうのは怖いし。そんなふうに考えていたときに、偶然テレビである体操に出会って。それをやり始めてからこの1週間はまだサワサワに襲われていないんです」

――体操ですか!?

「私、以前から耳が聞こえすぎるという感覚があったんですね。耳鼻科で診療してもらったこともあるんです。正式な名称は忘れましたが<過敏耳>というような説明をされて。その時は特に薬も出されなかったんですけど。それで、先日テレビで<過敏耳>の人は気圧の変化で体調が悪くなりやすく、そういう症状を持つ人にぴったりの体操だと紹介されているのを偶然目にして。耳の合計5カ所ほどを順番に引っ張っていくだけの簡単な体操です」

――その耳の体操をしてからサワサワする感じやほてりがなくなったと?

「この1週間はそうです。耳の体操をする前までは『今日は調子いいな』って思える日がなかったんですが、体操してからは絶好調まではいかなくても、調子いいなと思えるぐらいになりました」

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日々晴雨

都内在住フリーライター、独身。いくつかのペンネームを使い分けながら、コラム、シナリオ、短編小説などを執筆。コピーライターとして企業のカタログやHPなどのライティングに携わることも。

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