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不倫相手の自宅訪問を時間差攻撃で! 恐怖演出で不倫解消を促進する逆ゲス効果アリ/『あなたのことはそれほど』第五話レビュー

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あなたのことはそれほど

手前の人は奥さんではありません/『あなたのことはそれほど』公式webサイトより

『あなそれ』と略され、猟奇的な夫が注目を集めているドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)、原作マンガからほとんどあらすじは変更していないのに、ドラマならではの演出でホラー味を増量して視聴者の興味をひきつけていますね。猟奇的な夫こと東出昌大さん、ついにスパークの第五話です。

前回最後、結婚一周年の記念日に、夫・涼太から「永遠の愛」を誓われた美都。美都が中学時代から大大大好きだった有島くんと偶然再会してダブル不倫関係に及んだことを涼太は把握済みで、それでも「変わらず君を愛するよ♪」と笑顔で宣言したのでした。離婚を突きつけられずホッとした気持ちもありますが、笑顔を貼りつけ優しい態度の涼太が気持ち悪くもあり、有島くんともう会えないのかもと思うと超悲しくもあり……感情の整理ができない美都は、やってはいけない行動に出てしまいました。有島宅・訪問、です。

<登場人物>

■渡辺美都(わたなべ・みつ)/波瑠
旧姓・三好。スナックママの一人娘、母子家庭育ち。地元は横浜。眼科の医療事務として働く女性。小学校時代に転入してきて中学で転校してしまった有島くんに初恋をし、大人になった今もその恋心を保管し続けている。優しく料理上手な涼太にアプローチされて結婚。

■渡辺涼太(わたなべ・りょうた)/東出昌大
インテリア関係の会社の総務部で働く。眼科で美都に一目惚れして求婚。愛妻家で料理上手で洗濯や掃除も得意。朗らかで愛情深く、見知らぬ他人にも親切で、妻の母親ともうまくやっている。妻のケータイチェックや、LINE連投を厭わない。

■有島光軌(ありしま・こうき)/鈴木伸之(劇団EXILE)
サラリーマン。親が転勤族で横浜→所沢に引越し。美都とは横浜時代のクラスメイトだった。所沢の高校の同級生だった麗華と結婚し、一児の父に。学生時代からイケメンで女に不自由しないタイプ。公式紹介によると「基本的には家庭第一なのだが、根が優しく流されやすい性格のため、泣きつかれると弱い」。

■有島麗華(ありしま・れいか)/仲里依紗
旧姓・戸川。父が不倫で失踪、母を家事やバイト収入で助ける学生生活を送ったアダルトチルドレンな苦労人。不美人。高校の同級生だった有島と結婚し妊娠、所沢の実家で里帰り出産。人当たりは良い。(筆者註:髪色や所作など、おばあさんみたいに見えます)

【第一話】再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!
【第二話】気持ち悪いのは粘着夫(東出昌大)ではなく恋愛脳満開の新婚妻(波瑠)の方では…?
【第三話】不倫妻が罪悪感ゼロなのは夫を少しも愛してはいないから
【第四話】夫が陽気なイケメンだったら、妻がもっと成熟した女なら、夫婦は噛み合ったのか? 否、結婚していなかったでしょう

不倫相手の妻と、不倫相手である自分を比較

ずっと有島との不倫に反対していた常識人の親友・香子(大政絢)に、不倫が夫にバレたと報告した美都。香子は「有島とは別れるんだよね? 答えによっては友達やめるけど」「もしかして涼太さん離婚だって? この際、有島に乗り換えようって?」と、いかにも常識人な反応でまくしたてます。有島と別れるのはつらいし、夫は離婚のりの字も出さないし……な現状を「涼ちゃんは今までどおりで気持ち悪いくらい」と言葉少なに説明した美都に、「気持ち悪いって……あんたどんな立場で言ってんの!?」と怒りを表明するところも含めて全部、香子は常識人。しかし美都も、涼太も、常識の範囲外なのです。

美都が「私にはただ気持ち悪い」と評するように、仮面のような笑顔と甘くて優しい声色が絶妙に気持ち悪い東出さん、もうイケメン俳優枠には全然見えません。そんな気持ち悪い夫と、たいして広いように見えないベッドで2人で寝るのもキツいし、セックスこそしないけれど後ろから抱きしめられるのとか非常にしんどいでしょうね。のみならず、添い寝バックハグの姿勢で涼太が放った「僕の奥さん」という言葉に……美都はゾッとしたでしょう。自分がこの人の「奥さん」なのだということを、きっと深く考えていなかったから。最初はさっさとこいつと別れて有島くんと結婚したい、って気持ちで不倫おっぱじめてますしね。

家に帰りたくないのでわざと残業したり(残業してもまだ20時15分)陶芸教室へ行ったりして時間をつぶす美都。その教室は、有島の妻・麗華がかつて通っていたところです。陶芸仲間から「有島さんに借りっぱなしの本がある」と聞いた美都は、思わず「私が返却しておきましょうか。その人、友達の奥さんなんです」と申し出て、ある朝、本当に有島家を訪問しました。有島くんがスーツで会社に出かけるところを確認したうえで、有島宅のチャイムを押し(なんでオートロックなのに部屋番号わかるんだろう)、玄関を開けた麗華と対峙。「私、ご主人、有島くんの中学の同級生なんです」と微笑んでカミングアウトする美都の、いかにもな“つくってるぶりっ子感”がお上手で、波瑠さんなかなかでした。

勘の鋭い麗華、というか勘が鈍くたってこんな突撃訪問を受けたら「夫と何かある女性だな」と気付きます。美都の退散後、麗華は努めて冷静に夫に電話をかけ、「あなたの友達だと言いながら、あなたのいない時間にうちに来るなんて、変な人ね」と牽制。当然、有島は美都に「ありえねえ、ルール違反だ」とクレーム。美都は有島くんに嫌われたくないしまたすぐ会いたいのに、「しばらく会わないようにしよう」と突き放されてしまうのでした。こうなるだろうことはわかりきっているのに、どうして自宅突撃なんてしてしまったのか?

「化粧っ気なかったなあ。あれが有島くんの選んだ“ウチの”か。玄関にお香とかたいちゃうんだ。“ウチの”は。あーあ。有島くんに会いたい」
「お弁当作りそうな人だった。輪ゴムも再利用して、忘れ物もしなさそう。嘘もうまそう、いや嘘をつかなそう」
「有島くんも夫だった。だからどうしても見たかった、有島くんの“ウチの”を。“ウチの”に私を見せにいった。有島くんはどうしてあの人を――」 

上記は美都のモノローグ。“ウチの”妻、麗華がどんな女性なのかを見たかった。見ても吹っ切れるものじゃないので(吹っ切るための行動ですらない)、どうにもならないんですけどね。美都は“ウチの”を見て、「自分のほうが可愛い」と思ったでしょうが、しかし「浮気をしていて料理が苦手な奥さんである自分」と彼女を比較して自己嫌悪に陥ってもいます。ふたりは人間としてのタイプが違う。その結果が“彼”の浮気相手になる女と、本命になる女……なんて安易に分けられるものではありませんが、少なくとも美都が敗北感を抱いている様子はわかります。誕生日のお祝いをドタキャンされて以降、一度も有島くんに会えていないし、夫にバレたことも伝えられていない。奇妙な夫のいる家は息苦しくなりはじめている。

どんどん追い詰められていく美都を決定的に地に落とすのは、次の休日に涼太がとった“超ルール違反”な行動でした。

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